シチズン時計株式会社(本社:東京都西東京市、社長:大治良高)は、6月10日の「時の記念日」を前に、小学生の子どもを持つ共働き夫婦400組を対象とした『親子のふれあい時間』に関する調査を実施しました。この調査では、13年前(2012年)に同社が行った同様の調査との経年変化に加え、一部新たな質問も追加し、親子がともに過ごす時間についての変化を詳細に分析しています。
この記事の目次
- 1 調査のポイント
- 2 時の記念日について
- 3 調査概要
- 4 調査結果
- 4.1 Q1.ご家族が一緒に過ごす時間は1日平均どのくらいですか。平日と休日について、それぞれお答えください。
- 4.2 Q2.お子さんと会話する時間は1日平均どのくらいありますか。平日と休日について、父親・母親それぞれのお子さんとの会話時間をお答えください。
- 4.3 Q3.お子さんとの会話はどんな内容が多いですか。(複数回答:3つまで)
- 4.4 Q4.お子さんと最近のニュースや社会の話題について会話することはありますか。(複数回答)
- 4.5 Q5.休日にご両親とお子さんが一緒にいる時の過ごし方についてお聞きします。下記の6項目に割く平均的な時間をお答えください。
- 4.6 Q6.平日にお子さんがご家庭でスマートフォンやタブレットを利用する時間は、1日平均どのくらいですか。
- 4.7 Q6-2.お子さんはスマートフォンやタブレットをどのように利用していますか。(複数回答)
- 4.8 Q6-3.お子さんがスマートフォンやタブレットを利用する際、平日1日あたりの使用時間についてご家庭で時間制限を決めていますか。
- 4.9 Q7.お子さんは学校の勉強以外で分からないことがある時、誰に聞くことが多いですか。(複数回答)
調査のポイント
- 親子で一緒に過ごす時間は、平日2時間19分(2012年比▲41分)、休日4時間19分(▲70分)と減少傾向
- 6割以上の家庭で"時事ネタ"が会話に登場、「物価高」「気候変動」「防災」など生活に身近なテーマに関心
- 「分からないこと」はまず親に相談、高学年は"AIに質問"(15.0%)の兆しも

時の記念日について
「時の記念日」は1920年(大正9年)に生活改善同盟会によって制定されました。この記念日の由来は、"天智天皇が671年6月10日に漏刻(水時計)を設置し、初めて人々に時を知らせた"という『日本書紀』の記載に基づいています。これを記念して、6月10日が「時の記念日」とされています。
調査概要
◆期間:2025年3月27日~3月28日
◆方法:インターネットによる調査(インターネット調査会社を通じてサンプリング・集計)
◆対象:小学生の子どもを持つ共働き夫婦400組(全国)
※小学生が二人以上いる場合は、年長のお子さんとのケースで回答をいただいています。
※文中・表内の百分率(パーセント)の数値は小数点第2位を四捨五入しています。そのため、合計が100%にならない場合があります。
調査結果
Q1.ご家族が一緒に過ごす時間は1日平均どのくらいですか。平日と休日について、それぞれお答えください。

親子で一緒に過ごす時間は、平日2時間19分(▲41分)、休日4時間19分(▲70分)と減少傾向
親子が一緒に過ごす1日あたりの平均時間は、平日が2時間19分、休日が4時間19分となっており、いずれも2012年と比較して短くなっています。特に顕著なのは休日で、70分もの減少が見られる結果となりました。
学年別の分析では、高学年の子どもとの休日の平均時間は4時間5分であり、低学年(4時間34分)と比較すると約30分短くなっています。これは子どもの成長に伴う生活スタイルの変化が影響していると考えられます。
この背景には、習い事や塾といった個別活動の増加に加え、スマートフォンやタブレットの普及により、家庭内でも親子がそれぞれの時間を過ごすケースが増えていることが一因として推測されます。特に休日においては家族全体の予定を合わせることが難しくなっており、親子のかかわり方にも変化が生じている可能性があります。
Q2.お子さんと会話する時間は1日平均どのくらいありますか。平日と休日について、父親・母親それぞれのお子さんとの会話時間をお答えください。

会話時間にも変化、特に休日は父親(▲23分)・母親(▲24分)ともに大きく減少
親子間の会話時間においても、平日・休日ともに減少傾向が見られます。平日については、父親が平均52分(2012年比▲2分)とほぼ横ばいであるのに対し、母親は1時間34分(▲21分)と約2割の減少を示しました。
休日における減少幅はさらに大きく、父親が1時間40分(▲23分)、母親が2時間3分(▲24分)と、いずれも20分以上短くなっています。特に高学年の子どもとの会話時間は、父親が1時間30分(▲36分)、母親が1時間55分(▲38分)と、より大きな減少を示しています。
この背景には、先に示した「一緒に過ごす時間の減少」に加え、子どもの自立やスマートフォン・タブレットの利用増加が影響していると考えられます。同じ空間にいながらも、親子それぞれが個別の活動を行う時間が増え、自然な会話の機会が減っている様子がうかがえます。
Q3.お子さんとの会話はどんな内容が多いですか。(複数回答:3つまで)

親子の会話内容に大きな変化なし、人間関係や身近な出来事が引き続き中心に
親子の会話内容として最も多く挙げられたのは「友達の話」(67.8%)で、次いで「学校行事の話」(47.5%)、「遊びの話(ゲームなど)」(30.0%)という結果になりました。2012年の調査と比較すると順位や割合に大きな変動はなく、引き続き身近な話題が会話の中心となっていることが明らかになりました。
しかし、細かく見ると変化も見られます。「学校行事の話」が8.0ポイント減少した一方で、「世間話(日常の出来事など)」が8.5ポイント増加しています。これは、イベント性のあるトピックから、日々の出来事など、より日常的で気軽なテーマへと会話の内容が広がってきていることを示しています。
また、「塾・勉強のこと」は3.8ポイント減少したのに対し、「先生の話」が3.5ポイント増加しており、学習内容そのものよりも、学校での人間関係や日々のやりとりといった、子どものリアルな体験に親の関心が向いている傾向が見て取れます。
Q4.お子さんと最近のニュースや社会の話題について会話することはありますか。(複数回答)

6割以上の家庭で"時事ネタ"が会話に登場、「物価高」「気候変動」「防災」など生活に身近なテーマに関心
最近のニュースや社会の話題について、親子で会話することがあるかを尋ねたところ、6割以上(64.7%)の家庭で、日常的に社会的なテーマが会話に取り入れられていることが判明しました。特に話題に上がりやすいのは、「物価高について」(26.0%)、「気候変動について」(26.0%)、「防災について」(25.5%)といった、生活に直結するテーマです。
また、「SNS利用の影響について」(20.5%)も比較的高い割合を示しており、家庭内で現代特有の社会課題についても考える機会が設けられていることがうかがえます。こうした時事ネタをきっかけとした親子の会話が、家庭内での社会学習の場として機能している可能性もあります。
Q5.休日にご両親とお子さんが一緒にいる時の過ごし方についてお聞きします。下記の6項目に割く平均的な時間をお答えください。

親子の休日の過ごし方は「テレビ」(▲26分)、「ショッピング」(▲18分)が減少、一方で「ゲーム」「勉強」に充てる時間は微増
休日に親子で一緒に過ごす時間の内容を分析すると、2012年と比較して「テレビ視聴」(▲26分)、「ショッピング」(▲18分)、「食事」(▲14分)、「スポーツ・遊び」(▲11分)が軒並み減少していることがわかりました。特に「テレビ」の減少が顕著であり、スマートフォンや動画配信サービスの普及により、「家族そろってテレビを囲む」というスタイルが薄れつつあることがうかがえます。
また、「ショッピング」の減少は、物価上昇による消費マインドの低下や、EC(電子商取引)の拡大によって、家族で外出するショッピングからオンラインでの購買へと移行している可能性も考えられます。
一方で、「ゲーム」は8分増加しており、親子で楽しむ娯楽の中心がテレビからゲームへと移行している傾向が見られます。また、「勉強」もわずかに3分増加しており、休日においても学びの時間を確保する家庭が増えていることがうかがえます。
Q6.平日にお子さんがご家庭でスマートフォンやタブレットを利用する時間は、1日平均どのくらいですか。

子どものスマホ・タブレット利用は平日で平均「約2時間」、高学年ほど長時間に
小学生の平日におけるスマートフォン・タブレットの平均利用時間は「1時間59分」とほぼ2時間に迫る水準となっており、デジタル端末が子どもたちの日常生活に深く浸透していることが明らかになりました。特に高学年では「2時間12分」と、低学年(1時間46分)よりも約30分長く、学年が上がるにつれて使用時間が増加する傾向が見られます。
利用時間の分布を見ると、「2時間程度」(26.5%)が最も多く、次いで「1時間程度」(21.5%)、「30分以内」(14.3%)となっています。一方で、「3時間以上」利用している子どもも全体の23.0%に達しており、長時間利用が常態化しているケースも少なくないことがわかります。
また、「利用していない」と回答した割合は14.8%にとどまっており、大多数の家庭でスマートフォンやタブレットが子どもの生活に定着している実態が浮き彫りになりました。学習や娯楽の手段としてのデジタル機器活用が進む中で、利用時間やコンテンツ内容への配慮、家庭内でのルール整備などの重要性が今後さらに高まることが予想されます。
Q6-2.お子さんはスマートフォンやタブレットをどのように利用していますか。(複数回答)
※前問で「利用している」と回答した方への質問

スマホ・タブレットの利用目的は「動画視聴」「ゲーム」が2大用途
スマートフォン・タブレットの利用目的として最も多く挙げられたのは「動画視聴」(62.2%)、次いで「ゲーム」(58.4%)となっており、子どもたちの関心はエンターテインメント系コンテンツに集中していることがわかります。特に高学年では「動画視聴」(64.8%)、「ゲーム」(61.3%)ともに、低学年よりも高い利用率を示しています。
また、「家族や友人との連絡」(35.5%)や「SNS」(23.5%)といったコミュニケーション用途も一定数存在し、これらも学年が上がるにつれて利用が広がる傾向にあります。
一方で、「宿題や学習」(20.5%)に活用している割合は比較的低く、高学年でも26.9%、低学年では23.8%にとどまっています。全体として、スマートフォンやタブレットは主に娯楽目的で利用されており、学習用途での活用はまだ限定的であるという実態が浮かび上がりました。
Q6-3.お子さんがスマートフォンやタブレットを利用する際、平日1日あたりの使用時間についてご家庭で時間制限を決めていますか。

家庭でのスマホ・タブレット利用ルールは、約6割が「2時間以内」に制限
家庭でのスマートフォン・タブレット利用について、時間制限を設けている家庭は全体の73.3%に達することがわかりました。制限時間として最も多かったのは「2時間まで」(26.4%)で、次いで「1時間まで」(23.5%)、「30分まで」(11.4%)と続き、合計で61.3%の家庭が「2時間以内」に設定していることが明らかになりました。
学年別に見ると、低学年では「30分まで」(15.9%)「1時間まで」(26.8%)など比較的短時間の制限が多いのに対し、高学年になると「2時間まで」(31.1%)「3時間まで」(11.3%)とやや長めの設定にシフトする傾向が見られます。これは子どもの成長に応じて家庭のルールも変化している様子を示しています。
一方、「制限なし」と回答した家庭も全体の26.7%を占めており、低学年(26.8%)と高学年(26.6%)でほぼ同水準となっています。子どもの自己管理に任せる、あるいは意図的にルールを設けていない家庭も一定数存在することがわかります。
Q7.お子さんは学校の勉強以外で分からないことがある時、誰に聞くことが多いですか。(複数回答)

「分からないこと」はまず親に相談、高学年では"AIに質問"(15.0%)の兆しも
子どもが学校の勉強以外で疑問が生じた際に、相談する相手として最も多く挙げられたのは「両親」(88.8%)でした。特に低学年では9割以上(91.5%)が親を頼りにしており、日常的な疑問解決の最初の窓口として親が重要な役割を果たしていることがわかります。
一方で、高学年になると「(本やインターネットを使って)自分で調べる」(16.0%)や「AIに質問する」(15.0%)といった選択肢も増加しており、自力で解決しようとする姿勢や、AIを新たな「相談相手」として活用する兆しも見られるようになっています。
「友達」や「兄弟姉妹」、「祖父母」など家族以外に相談するケースも存在するものの、いずれも1~2割程度にとどまっており、依然として親が子どもの疑問解決における中心的な存在であることが確認されました。
出典元: シチズン時計株式会社 プレスリリース