博報堂生活総合研究所調査:2025年6月の消費意欲指数は横ばい、新ゲーム機発売でエンタメ関連の消費意向増加

株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所が、全国の20~69歳の男女1,500名を対象として毎月実施している調査「来月の消費意欲」とその結果を基にした「来月の消費予報」について、2025年6月分のデータを発表しました。

今回の調査は5月7日から9日にかけて実施されたとのことです。その結果によると、2025年6月の消費意欲指数は43.8点となり、前月比では-0.2pt、前年比では+0.5ptと、いずれも横ばいの状況となっていることが報告されています。

6月の消費動向 主要ポイント

【Point1】大型連休後の反動と物価高の継続的影響により、消費意欲指数は低水準で推移

同研究所の発表によれば、一般的に6月は大型連休と夏休みの間に位置する時期であり、例年消費意欲指数が低下する傾向がありますが、今年は前月と比較して-0.2ptとほぼ横ばいの結果となったようです。前年との比較においても+0.5ptと大きな変動は見られませんが、過去5年間の6月の数値の中では2番目に低い値となっているとのことです。

消費意欲指数に関する自由回答の分析では、前月と比較して消費にポジティブな回答が減少(5月334件→6月291件)し、ネガティブな回答が増加(5月857件→6月928件)していることが報告されています。具体的なポジティブ回答の変化としては、「季節的な意欲向上(大型連休がある、服が欲しいなど)」が大幅に減少(5月131件→6月45件)し、「旅行の予定がある/行きたい」も減少(5月48件→6月23件)しているとのことです。

一方、ネガティブな回答では「欲しいものがない・意欲がない」(5月351件→6月391件)、「5月までに多く使ったのでセーブ」(5月55件→6月92件)、「梅雨の時期なので出かけたくない」(5月0件→6月23件)といった意見が増加していることが明らかになりました。

前年同月との比較では、消費にポジティブな回答(2024年6月287件→2025年6月291件)とネガティブな回答(2024年6月934件→2025年6月928件)はともにほぼ横ばいだったそうです。詳細を見ると、ポジティブな回答では「出費の予定・欲しいものがある(季節もの以外で、買い物など)」(2024年6月70件→2025年6月97件)が増加していることがわかります。ネガティブな回答では「欲しいものがない・意欲がない」(2024年6月426件→2025年6月391件)が減少したと報告されています。

また、「物価高・値上げ・円安」に関する言及は、前月からはやや減少し(5月185件→6月160件)、5月までの3ヵ月連続増加の流れに一旦歯止めがかかりましたが、前年同月比では依然として大幅な増加(2024年6月114件→2025年6月160件)を示しており、引き続き注視が必要な状況であるとしています。

博報堂生活総合研究所は、5月の大型連休後の反動による節約志向の高まりや、長期化する物価高の影響から、6月の消費意欲は前月に続いて抑制的な傾向が続くと予測しています。

【Point2】新ゲーム機発売の影響でエンタメ関連を中心に消費意向が上昇傾向

同調査によると「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」と回答した人の割合は28.6%となり、前月比で+3.1ptと大きく上昇し、前年比でも+2.8ptの上昇が見られたことが報告されています。

16カテゴリー別の消費意向を分析すると、前月比では「書籍・エンタメ」と「家電・AV」のカテゴリーが20件以上増加し、「旅行」が20件以上減少しているとのことです。前年比においては「書籍・エンタメ」と「飲料」のカテゴリーが20件以上の増加を示していることが明らかになりました。

新しいゲーム機の発売に関する話題が広がっていることも影響してか、「書籍・エンタメ」をはじめとするインドア関連のカテゴリーを中心に消費意向が高まる傾向が見られていると報告されています。

これらの調査結果は、消費者の意識や行動の変化を捉える重要な指標となります。特に、物価高が継続する中でも、エンタメ関連の消費意欲が高まっている点は、消費者の価値観の変化を示す興味深い傾向といえるでしょう。

博報堂生活総合研究所の調査によれば、今後の消費トレンドを予測する上で、カテゴリー別の消費意向の変化に注目することが重要とされています。特に「書籍・エンタメ」カテゴリーの上昇は、新しいゲーム機の発売だけでなく、デジタルコンテンツ全般への関心の高まりを反映している可能性があるとのことです。

また、「飲料」カテゴリーの消費意向上昇は、暑さが増す季節への移行と関連している可能性があります。これらの変化は、企業のマーケティング戦略やプロモーション計画を立てる上で参考になる情報といえるでしょう。

同研究所は、消費意欲指数が全体的には低水準ながらも、特定のカテゴリーで消費意向が高まっているという今回の調査結果について、消費者の選択的な消費行動が強まっていることを示唆していると分析しています。つまり、全体的な支出を抑える傾向がある中でも、特に関心の高い分野には積極的に投資する「メリハリ消費」が進んでいると考えられるとのことです。

経済全体としては依然として厳しい状況が続いていますが、各企業がこうした消費者の変化するニーズを的確に捉え、適切な商品・サービス開発やコミュニケーション戦略を展開することで、新たなビジネスチャンスを見出せる可能性があると指摘しています。

物価高が継続する現在の経済環境において、消費者の意識や行動の変化を的確に捉えることは、企業にとっても消費者自身にとっても重要な課題となっています。今回の調査結果は、そうした変化の一端を示すものとして注目されます。

出典元:株式会社博報堂 プレスリリース

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