世界貿易の2.5%を占め、深刻化している模倣品問題。2023年度の東京税関の差止数は過去最多の216,387点に達したことが報告されています。オンライン販売の増加で健康被害やブランド企業の損失が拡大している中、株式会社インバースが、この問題に対応するためWeb3技術を活用したEC向け模倣品対策SaaS『BoA』を開発したことを発表しました。簡単な真贋判定で収益向上と顧客満足度を実現し、次世代サイバーセキュリティでデジタル経済の安心・安全を構築することを目指しているとされています。

デジタル化とともに深刻化する模倣品問題

世界貿易の2.5%にあたる年間約65兆円が模倣品として流通している状況が発生しています(OECD推計)。最新の東京税関のデータによると、2023年度の差止数が過去最多の216,387点に達し、前年同期比178.5%の急増を記録していることが明らかになっています。

インターネットの匿名性を悪用したオンライン販売の増加により、模倣品の流通が加速し、消費者の健康被害が深刻化しています。これらの模倣品は劣悪な環境で製造され、鉛や銅、水銀などの有害物質が含まれていることが多く、化学熱傷、アレルギー反応、皮膚の変色などの健康リスクを引き起こす可能性があるとされています。

資生堂「NARS」から見る組織的犯罪

模倣品は主にECサイトを通じて海外から輸入されており、背景には業者の組織化があることが分かっています。例えば、資生堂の人気ブランド「NARS」の偽化粧品販売事件では、SNSで闇バイトとして出品者を募集し、200人規模の組織が関与する犯罪が発覚しました。

このような事例は、模倣品が知的財産を侵害する犯罪組織の資金源となっている現実を象徴しています。模倣品は消費者の健康を脅かすだけでなく、ブランド企業の創造意欲を奪い、業界全体の健全性を損なう深刻な問題となっているのです。

ECプラットフォーム特化型模倣品対策SaaS「BoA(ボア)」

これらの課題に対し、株式会社インバースは、Web3技術を活用したECサイト向けの模倣品対策技術「BoA」を開発したと発表しています。「BoA」の最大の特徴は、買い物客がECサイト上で簡単に真贋判定を行える点だということです。

従来の物理的な方法(例:透かし)では模倣品の使用は防げても購入を防ぐことができず、顧客体験の悪化が課題でした。また、電子的な方法では本人確認の煩雑さやデータコピーのリスクがあることが指摘されていました。

BoA概要図

「BoA」は、インターネットの標準技術、電子証明、ブロックチェーンを組み合わせることで、これらの課題を解決しているとのことです。買い物客はコピー&ペーストのみでオンライン上での厳密な真贋判定が可能となり、実店舗と同等の信頼性を確保できるようになったと説明されています。これにより、ブランド企業や小売店は収益向上顧客満足度の向上を実現できるとしています。

次世代サイバーセキュリティによる信用付加価値のDX

ブロックチェーン技術は、情報の改ざんや削除を防ぎ、安全に管理・共有することに優れていますが、書き込まれる情報の正確性をどう保証するか、また記録された全ての情報が公開されてしまうという課題がありました。

そこで株式会社インバースは、インターネットの標準認証技術と連携することで、ブロックチェーンに記録される情報の正確性を保証。さらに、独自のプライバシー技術を組み合わせることで、情報の正確性とプライバシー保護を両立させることに成功したと発表しています。

この仕組みをデジタル経済の信用保証基盤に適用することで、模倣品流通などのサイバー犯罪対策を抜本的に強化。オンライン上でも企業ブランドの信頼を活用した、安心・安全な取引環境を実現することを目指しているとのことです。

デジタル経済インフラの持続可能性への貢献

経済活動のオンライン化に伴い、利便性向上と引き換えにインターネットの匿名性を悪用したサイバー犯罪が増加し、その高度化に従来の対策では対応が追いついていない状況が続いています。こうしたDX推進の副作用ともいえるサイバー犯罪に対し、ブロックチェーン技術や暗号技術を組み合わせた革新的なセキュリティ対策を構築することで、オンライン販売の安心・安全を担保しているとされています。

株式会社インバースは、消費者とブランド企業が協働して好循環を生み出すデジタル経済インフラの実現を目指しているとのことです。このようなシステムは、特にECサイトでの模倣品問題に悩むブランド企業や小売業者にとって、有効な解決策となる可能性があります。

株式会社インバースについて

株式会社インバースは、「誰にでも安心安全なインターネットを」をミッションに、Web3技術を活用した事業を展開しています。国内外の企業様に自社サービスを提供するとともに、Web3財団から暗号技術分野の助成金を世界最多で獲得するなど、技術力に定評があるとされています。

また、Microsoft、Ethereum、Zcash、Polkadot、Astarなどのオープンソースプロジェクトへの貢献や、東京大学との共同研究により暗号理論の学術論文の発表実績もあり、業界をリードする企業として注目されています。

代表取締役社長は芦沢晋作氏。本社所在地は東京都台東区小島2丁目20-11 LIGビルで、2022年11月16日に設立されています。

今回開発された「BoA」は、深刻化する模倣品問題に対して技術的側面からアプローチした画期的なソリューションであり、今後のデジタル経済における信頼性構築の一翼を担うことが期待されています。

出典元:株式会社インバース プレスリリース

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