朝日大学(岐阜県瑞穂市)経営学部の附属研究機関である朝日大学マーティング研究所(所長 中畑千弘)がペット消費に関する調査を実施し、その結果を発表しました。調査結果によると、ペットの餌は既製品の利用者が圧倒的多数を占め、特にドライフード中心の利用が6割超となっています。ただし、犬と猫の保有者を比較すると、猫の飼い主はウェットフードを選ぶ傾向が相対的に強いことが明らかになりました。猫特有の飼育環境がウェットフード選択に影響している可能性があります。
この記事の目次
調査の背景
近年、ペット関連のビジネスは多様化が進んでいます。ペット保険やペット同伴可能なホテル、アパレル製品など様々なサービスが登場しています。この調査では、ペットを飼育する人々がそうしたモノやサービスに関する情報をどのような経路で入手し、何を判断基準として選択し、どの程度の金額を消費しているかという実態把握を目的として実施されたとのことです。
「ペット消費に関する調査」の主な結果
餌はドライフードが中心だが猫保有者にはウェットフード利用者がやや多い
ペットの餌については既製品を利用する飼い主が圧倒的多数を占めており、その中でもドライフード中心の利用者が6割以上という結果になっています。ドライフードは取り扱いのしやすさや賞味期限など安全面での懸念が少ないことから選好されていると考えられます。
興味深いのは、犬と猫の保有者を比較した場合、ドライフード中心の利用割合には大きな差がない(犬62.3%、猫64.5%)のに対し、ウェットフード中心の利用は猫保有者において顕著に多い(犬21.2%、猫27.1%)という点です。これには猫特有の飼育環境や嗜好性が関係していると推測されます。
また、既製品に全面的に依存せず、飼い主自身または家族が餌を調理するケースは少数派ながら存在し、特に女性の飼い主は男性に比べて自家調理の割合が高い(男性4.5%、女性7.9%)ことが判明しました。女性の飼い主の間ではペットの餌を手作りする傾向がより強く見られます。
餌の主な購入場所は「ディスカウントショップ/ホームセンター」と「ネットショップ」
ペットフードの主要な購入先としては「ディスカウントショップ/ホームセンター」(43.7%)と「ネットショップ」(42.8%)が最多で、これに「スーパー」(38.0%)、「ドラッグストア」(34.0%)、「ペットショップ」(28.7%)が続きます。購入場所はほぼこの5業態に集約される結果となっています。
5業態の中で犬保有者は「ペットショップ」、猫保有者は「ディスカウントショップ/ホームセンター」「スーパー」「ドラッグストア」の利用割合が相対的に高くなっています。猫保有者は価格訴求の強い業態をより頻繁に利用する傾向があり、これは猫保有者におけるウェットフード利用率の高さが購入場所選択にも影響を与えている可能性があります。

餌の1番の選択基準は「味・ペットの好み」
ペットフードの選択基準としては「味・ペットの好み」(74.8%)が7割以上で最も高く、次いで「原材料、成分、カロリー」(43.5%)と「形状(硬さ、大きさなど)」(41.9%)がそれぞれ4割以上となっています。食に関しては嗜好性と安全性が最優先事項であることが明らかです。
価格に関する選択基準に注目すると、「コストパフォーマンス(コスパ)」(24.1%)を重視する割合が「価格が安いこと」(18.7%)や「価格が安すぎないこと」(12.6%)を上回っています。単なる低価格よりも、コストパフォーマンスが重視される傾向が見られます。また、犬と猫の保有者間では、猫の飼い主のほうがコスパを重視する割合(犬22.2%、猫28.8%)が高く、価格感度がより敏感であるといえます。

今回の調査結果から
現代社会では、ペットを家族の一員として大切に扱い、共に快適な生活を送るために相応のコストを厭わない飼い主が増加しています。それに呼応する形で、ペット関連ビジネスも多角化が進んでいます。今回の調査では犬と猫の飼い主を対象に、ペットの基本的なニーズである「食」に関する消費実態が調査されました。
人間の食生活において「時短」がキーワードとなっている昨今、ペットの餌についても既製品を利用する飼い主が圧倒的多数を占めていることが確認されています。しかし、同じペットでも犬の飼い主と猫の飼い主では、好まれる既製品のタイプ(ドライフードかウェットフードか)に違いがあり、購入金額や購入場所、選択基準にも差異が認められたとのことです。
また調査からは、9割以上の飼い主が既製品のブランドを決めているものの、そのうち5割以上は他のブランドも併用していることが明らかになりました。他ブランドの試用は男性よりも女性に多く見られる傾向があります。拡大するペット消費市場でビジネスを成功に導くためには、飼い主の属性や購入パターンに応じた、きめ細やかなマーケティング戦略の展開が必要とされています。
調査概要
「ペット消費に関する調査」
■調査期間:2025年3月24日(月)~ 3月31日(月)
■調査方法:朝日大学マーケティング研究所のパネル利用によるインターネット調査
■対象者:居住地 全国
年代 20代・30代・40代・50代
性別 男女
■回収サンプル数:485名
朝日大学マーティング研究所について
【組織概要】
本社所在地:岐阜県瑞穂市穂積1851
所長:中畑 千弘 (経営学部教授)
事業内容: 消費行動の分析および研究、経営コンサルティング、マーケティングリサーチ、商品開発支援、講演会・社会人セミナーの実施等
設立: 2002年4月
出典元: 朝日大学マーティング研究所 プレスリリース