EC物流代行(発送代行)サービス「ウルロジ」を提供し、DMやSEO、SNS運用などのインターネット事業を手がけるディーエムソリューションズ株式会社(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:花矢卓司)が、全国の20-50代の男女で越境EC事業を運営する担当者・責任者700名を対象に「越境EC事業の運用手法に関する実態調査」を実施し、その結果を発表しました。
この調査では、越境ECにおいて事業成長を続ける企業や複数国に展開している企業の運用手法に焦点を当て、市場の現状と将来性を分析しています。調査結果からは、越境EC事業の売上状況や最初の進出先国ランキング、運用時の外注社数、外注による運用状況、効果的なマーケティング施策などが明らかになりました。特に150%以上の成長を達成した企業や5カ国以上に進出している企業のデータを詳細に分析することで、成功要因を探っています。
この記事の目次
今回の調査対象者の属性
本調査は越境EC事業を運営する担当者・責任者700名を対象に実施されました。対象者の属性は以下の通りです。

■調査概要
調査対象:20-50代の会社員男女 700名
調査条件:越境EC事業を運営している責任者・担当者
調査対象エリア:全国
調査期間:2025年4月2日~5日
調査方法:インターネット調査
越境EC事業は9割以上が昨対比成長を実感
「越境EC事業の売上状況について昨対比で教えてください」という質問に対して、調査対象企業の9割以上(91.1%)が前年比で事業成長を実感していることが明らかになりました。特に注目すべきは、150%以上という大幅な成長を達成した企業が全体の12.7%に達している点です。

この結果からは、越境EC市場が活況を呈していることが明確に示されています。単に一部の企業だけが成功しているのではなく、9割以上の事業者が成長を実感しているという事実は、市場全体が底堅く拡大していることを示しています。
国内市場の成熟化や人口減少が進む中、EC事業者にとって海外市場への展開は重要な成長戦略となり得ることが示唆されています。特に150%以上の高成長を達成している企業の存在は、適切な戦略と実行によって大きな成果が得られる可能性を示しており、これから越境ECに参入する企業や既存事業を拡大したい企業にとって、励みとなるデータと言えるでしょう。
越境ECの最初の進出先国ランキング
「越境ECで最初に進出した国について教えてください」という質問に対しては、「アメリカ(28.1%)」と「中国(27.1%)」が最も人気の高い進出先として挙げられました。これに続いて「台湾(18.6%)」、「韓国(12.0%)」という近隣諸国が選ばれています。

アメリカと中国が最初の進出先として選ばれる主な理由としては、市場規模の大きさや経済的な結びつきの強さが考えられます。一方、台湾や韓国などの近隣諸国は、地理的な近さと文化的な親和性から、比較的参入しやすい市場として認識されているようです。
また、調査ではトップに位置するアメリカについて、トランプ関税政策によって今後のランキングに変動が生じる可能性も指摘されています。これは、国際情勢や政治経済の動向が越境ECの進出先選定に大きな影響を与える可能性があることを示唆しており、事業者は常に最新情報を収集し、リスクと機会を見極めながら戦略を柔軟に調整する必要があります。
越境EC運用時の外注先状況は?
「越境ECの運用において外注している会社の数を教えてください」という質問に対しては、調査対象企業の95%が国内または進出先国の支援会社に業務を外注していることが判明しました。この結果から、越境EC事業における外注活用は事実上必須の運営方式となっていると言えるでしょう。

この高い外注率の背景には、越境EC特有の課題が存在します。言語の壁、各国の法律・規制への対応、文化的差異の理解、海外物流の構築、国際決済の導入など、専門的な知識やノウハウが求められる領域が多岐にわたるため、外部の専門家の支援を受けることが効率的な運営につながると考えられます。
さらに興味深いのは、進出先国数による外注会社数の違いです。調査によると、1カ国のみに進出している事業者は1社または2社への外注が中心である一方、5カ国以上に進出している企業では5社以上の外注先を活用する割合が高まる傾向が見られました。

この結果は、事業の発展段階によって最適な外注戦略が異なることを示唆しています。事業初期には、多機能な支援を提供できる少数のパートナーと協力することで、コスト効率を高めながら効果的に立ち上げる「スリム化」戦略が有効です。一方、複数国への展開が進み事業規模が拡大した段階では、各国の専門知識を持つ複数のパートナーと連携する「多角化」戦略によって、より専門性の高いサポートや新たな成長機会を獲得できる可能性があります。
ただし、外注先の増加には課題も伴います。「複数の外注先を利用している方に、外注先の複数化によって工数が増えたり管理が煩雑になったと感じますか」という質問に対して、複数の外注先を活用している事業者の85%が「管理が煩雑になった」と回答しています。

この結果は、越境EC事業の拡大に伴い、複数の専門業者との連携が必要になる一方で、そのコミュニケーションコストや進捗管理の複雑さが大きな課題となっていることを示しています。事業拡大を目指す企業は、外注先の増加に伴う管理負担の増大を見据えた体制構築が求められるでしょう。
越境ECで効果のあったマーケティング施策とは
「実際に越境ECを運用する中でやってよかったマーケティング施策について教えてください」という質問では、昨対比150%以上の成長を達成している「勝ち組企業」において、「クラウドファンディング(46.1%)」が最も効果的な施策として挙げられました。
高成長企業がクラウドファンディングを重視する背景には、単なる資金調達だけでなく、製品の先行発表による認知度向上、熱心なファンコミュニティの形成、市場反応の事前検証など、多角的な効果が期待できる点があると考えられます。

一方、5カ国以上に進出している「玄人企業」では、「リスティング広告(39.8%)」が最も効果的な施策として評価されています。複数国に展開する企業がリスティング広告を重視する理由としては、国や地域を越えて広範囲なターゲット層に効率的にリーチできる点や、各国の検索エンジンに対応した戦略展開が可能である点が考えられます。

さらに興味深いのは、進出先国によって効果的なマーケティング施策に違いが見られる点です。例えば、アメリカ市場ではクラウドファンディングの効果が高く評価される一方、中国市場ではSNS広告の効果が高いという結果が出ています。

この結果は、各国の消費者行動の特性や情報収集チャネルの違いを反映しており、進出先の市場特性を十分に理解した上で、最適なマーケティングミックスを構築することの重要性を示しています。越境EC事業者は、「一つの戦略をグローバルに展開する」というアプローチではなく、各国の市場特性に合わせた戦略の最適化が求められると言えるでしょう。
調査結果まとめ
本調査結果からは、越境ECが多くの企業にとって有望な成長領域であることが明らかになりました。成長を続ける企業や複数国に進出している企業の運用手法を分析することで、越境EC事業の現状と今後の可能性が浮き彫りになっています。
越境EC事業の売上状況や最初の進出先国ランキング、運用時の外注社数、外注による運用状況、効果的なマーケティング施策など、多角的な視点から市場を分析しています。特に150%以上の成長企業や5カ国以上に進出している企業のデータを詳細に分析することで、成功要因の解明を試みています。
EC物流・発送代行サービス「ウルロジ」
「ウルロジ」は、ディーエムソリューションズ株式会社が提供するEC事業に特化した物流代行(発送代行)サービスです。
EC事業者は手間とコストがかかる物流業務をウルロジに委託することで、商品開発やマーケティングといった売上に直結するコア業務に集中することができます。
ウルロジでは、国内物流はもちろん、冷凍・冷蔵商品の配送や越境EC、クラウドファンディングの商品発送といった特殊なケースにも幅広く対応しています。
同社によると、ウルロジはEC業界特有の物流課題を的確に把握し、最適な設備投資を行うことで現場での実践を実現しているとのことです。また、今回紹介したような実態調査を通じて、常に物流体制の改善に取り組んでいます。出荷の波動性への対応や担当者・倉庫の品質管理についても継続的な改善を行っているとのことです。
出典元:ディーエムソリューションズ株式会社 プレスリリース