株式会社帝国データバンクが、2025年3月の企業倒産件数(法的整理対象で負債1000万円以上)について集計と分析を発表しました。

概況

  1. 倒産件数は875件(前年同月870件、0.6%増)となり、35カ月連続で前年を上回る記録を更新しました。この結果、3月としては過去3年連続で800件台を維持しています。
  2. 総負債額は973億8600万円(前年同月1320億500万円、26.2%減)となり、5カ月ぶりに昨年を下回りました。「1億円以上」の倒産件数が減少したことが影響しており、7カ月ぶりに1000億円を割り込んでいます。最も負債が大きかったのは結婚式場運営の㈱アルカディアで、54億200万円となっています。

主要ポイント

  1. 業種別で見ると、7業種中3業種が前年同月を上回っています。特に『サービス業』(前年同月202件→239件、18.3%増)が最多で、「広告・調査・情報サービス」(同67件→91件)の増加が顕著でした。
  2. 主因別では、『不況型倒産』合計は729件となり、35カ月連続で前年を越えています。
  3. 態様別に見ると『清算型』倒産は855件となり、全体の97.7%を占めました。
  4. 倒産規模別では、負債「5000万円未満」(550件)が最も多く、負債『1億円以上』の倒産は前年を下回り、中小零細規模が全体的な数値を押し上げる要因となっています。
  5. 業歴別では、『新興企業』が246件となり、3年1カ月ぶりに前年を下回りました。
  6. 地域別では、9地域中6地域が前年同月を下回りました。特に『関東』(前年同月304件→299件、1.6%減)が最も多く見られましたが、前年を下回る結果となりました。『北海道』(同26件→18件、30.8%減)は、過去3月の中では2020年(12件)に次いで少ない件数です。

集計期間:2025年3月1日~2025年3月31日

発表日: 2025年4月8日

集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産

業種別:7業種中3業種で前年同月を上回り 『サービス業』が全体を押し上げる

業種別の分析において、7業種のうち3業種で前年同月と比較して増加が見られました。特に『サービス業』(前年同月202件→239件、18.3%増)が最も目立つ結果となり、全体的な傾向を押し上げました。

続いて、『小売業』(同193件→176件、8.8%減)及び『建設業』(同175件→171件、2.3%減)も報告されました。一方で、『不動産業』(同28件→31件、10.7%増)は4カ月連続で前年を上回りましたが、『運輸・通信業』(同48件→28件、41.7%減)は5カ月連続での減少を記録し、『小売業』も2カ月連続での低下を示しています。

詳細に見ると、『サービス業』の中では「広告・調査・情報サービス」(前年同月67件→91件)に増加が見られましたが、『建設業』では「総合工事」(同53件→50件)や「設備工事」(同41件→37件)によって全体の数が押し下げられています。

倒産主因別:『不況型倒産』は729件、35カ月連続で前年を上回る

主因の分析では、「販売不振」が720件(前年同月688件、4.7%増)であり、全体の82.3%(前年同月比3.2ポイント増)を占めています。また、「不良債権の累積」(前2件→3件、50.0%増)や「業界不振」(同4件→4件)を含めた『不況型倒産』は729件(前年同月699件、4.3%増)となり、35カ月連続して前年同月を上回っています。

放漫経営による「粉飾決算」(前年同月14件→13件、7.1%減)や、「経営者の病気、死亡」(同30件→25件、16.7%減)は、2カ月連続で前年を下回っていますが、「その他の経営計画の失敗」(同34件→23件、32.4%減)は8カ月連続でダウンしています。

※倒産主因には、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振が『不況型倒産』として集計されています。

倒産態様別:『清算型』倒産は855件、全体の97.7%を占める

倒産の態様に関しては、『清算型』の総計が855件(前年同月839件、1.9%増)となり、全体の97.7%(対前年同月1.3ポイント増)を占める結果となっています。また、『再生型』の倒産は20件(同31件、35.5%減)が発生し、2カ月ぶりに前年を下回りました。

『清算型』の内訳では、「破産」が821件(前年同月816件、0.6%増)で最多であり、7カ月連続で前年を上回っています。同様に「特別清算」は34件(同23件、47.8%増)となり、こちらも2カ月連続で前年を上回る形となりました。

『再生型』においては、「民事再生法」に基づくものが19件(前年同月31件、38.7%減)が記録され、個人が18件、法人は1件で法人の件数は2000年以降で最少でした。

規模別:負債額『1億円以上』が前年同月を下回り、中小零細規模の増加が目立つ

負債規模別のデータによると、「5000万円未満」が550件(前年同月520件、5.8%増)で最も多くなっています。続いて「1億円以上5億円未満」が165件(同180件、8.3%減)でしたが、負債が『1億円以上』の倒産件数は前年同月を下回り、中小零細の規模が全体的な数値の押し上げに寄与しています。

資本金規模別では、自己資本が『個人+1000万円未満』の倒産が617件(前年同月624件、1.1%減)となり、全体の70.5%を占めました。

業歴別:業歴10年未満の『新興企業』は246件、3年1カ月ぶりに前年を下回る

業歴に基づいて見た場合、「30年以上」の企業が293件(前年同月274件、6.9%増)と最多を記録し、全体の33.5%を担っています。この中には、老舗企業(業歴100年以上)の倒産が9件(前年同月5件、80.0%増)含まれています。

業歴10年未満の『新興企業』は246件(前年同月284件、13.4%減)、内訳として「サービス業」(同82件→93件、13.4%増)が最多を占め、次いで「小売業」(同68件→56件、17.6%減)や「建設業」(同61件→45件、26.2%減)が続きました。

地域別:9地域中6地域で前年同月を下回る 『北海道』は3月として2番目に少ない件数

地域状況を分析すると、9地域のうち6地域が前年同月を下回る結果となりました。特に『関東』(前年同月304件→299件、1.6%減)が最も多く見られ、「東京」での件数減少が全体の数を押し下げています。『北海道』(同26件→18件、30.8%減)は過去の3月の統計でも2020年の12件に次いで少ない記録を更新しました。『北陸』(同27件→22件、18.5%減)も2年9カ月ぶりに2ヶ月連続で前年を下回る結果となりました。

『九州』(前年同月59件→77件、30.5%増)は全地域で最も高い増加率を示し、特に「福岡」(同35件→43件)や「鹿児島」(同2件→9件)が件数増加の要因となりました。『近畿』(同227件→232件、2.2%増)も、30カ月連続で前年を上回る結果を示しました。

出典元:株式会社帝国データバンク プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ