
JTBが、「ゴールデンウィーク(以下、GW)<2025年4月25日~5月7日>に、1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しをまとめたものを発表しました。
本レポートは、JTBグループが実施したアンケート調査に加え、各種経済動向、業界動向、運輸・観光関連データ、宿泊施設の予約状況、各種意識調査などをもとに推計したもので、1969年より継続的に調査が実施されいます。なお、前年までの調査対象期間は4月25日~5月5日でしたが、時勢に合わせ今年から4月25日~5月7日に変更されています。
*「参考」と記載がある図表では、前年(4月25日~5月5日)との比較
2025年のGWに関する旅行動向の要約
- GW全体の旅行者数は2,345万人(前年同時期比93.1%)
2025年の総旅行消費額は9,855億円(前年同時期比96.1%)
- 国内旅行者数は2,290万人(前年同時期比92.8%)、平均旅行費用は36,600円(前年同時期比101.4%)、旅行消費額は8,381億円(前年同時期比94.0%)
- 海外旅行者数は55万人(前年同時期比110.0%)、平均旅行費用は268,000円(前年同時期比99.6%)、旅行消費額は1,474億円(前年同時期比109.6%)
国内旅行の動向
- 国内旅行者数は物価上昇や家計事情、混雑を避ける傾向などから若干の減少を見せています。
- 平均旅行費用は小幅な上昇が見込まれています。
- 旅行先としては居住地域外が人気で、特に鉄道や航空機を利用した遠方旅行が増加し、旅行日数は長期化する傾向があります。
海外旅行の動向
- 海外旅行者数は、国際線の復活や特定層の収入増加、プロモーションの影響により前年に比べて増加することが期待されています。
- 平均旅行費用は円安や物価高の影響により前年並みです。
- 旅行先としては韓国や台湾など近隣国が人気ですが、欧米やオーストラリアなど具体的な需要も見られます。

1. 2025年GWのカレンダーと旅行傾向
2025年GWカレンダーでは、5月3日から6日間が連休となり、4月28日を休暇に取ることで4月26日から29日までの4連休が可能です。4月30日から5月2日まで全ての休暇を取得すれば、4月26日から5月6日までの11連休が見込まれます。2025年GW(4月25日~5月7日)に関する旅行意向調査では、GW中に旅行を「行く(または行く可能性がある)」と回答したのは20.9%で、前年(2024年4月25日~5月5日)からは5.6ポイント減少しました。
前年同様、同じ期間に実施された調査では、同時期の旅行意向は18.7%であったことが確認されています。
年齢層別の分析によると、全世代にわたり旅行意欲が前年から減少しており、特に若年層で顕著です。29歳以下の男性の旅行意欲は33.9%、同じく29歳以下の女性では31.5%で、前年からそれぞれ6.6ポイント及び8.2ポイントの減少が記録されました。
旅行に行かない理由としては「GWは混雑するから」が最も多く(45.9%)、前年から1.3ポイント減少しています。次に「GWは旅行費用が高いから(34.6%)」や「家計に余裕がない(25.9%)」などの経済的な理由が続いています。

GWに旅行すると答えた18,146人に対する意見はさまざまであり、特に「昨年より遠方へ旅行したい」という意向が15.4%に達し、前年より1.5ポイント増加しています。一方で、「昨年より近場に行きたい」との意見は9.3%で若干の上昇を見せていますが、宿泊日数の増加は17.5%に対して「昨年より日数を減らしたい」との意見は10.4%と相対的に少なく、わずかにトレンドを示しています。旅行予算に関しては12.0%と11.4%で拮抗しています。

2. 国内旅行の動向
国内旅行者数は2,290万人にのぼり(前年同時期比92.8%)、国内旅行の平均費用は36,600円(前年同時期比101.4%)、総旅行消費額は8,381億円(前年同時期比94.0%)となりました。物価高騰と家計の影響から旅行者数は若干減少が予想されますが、平均旅行費用は物価影響で前年並みとなる見込みです。
本年のGW旅行に関する追加のアンケートでは、国内旅行を選択した1,733人の動向を分析しました。
旅行出発日のピークは「5月3日(土・祝)(19.6%)」と「4月26日(土)(11.6%)」で、前半と後半にそれぞれ70.6%の層が分かれています。
旅行日数に関しては、全体で「1泊2日(33.5%)」が最も多く、前年から4.3ポイント減少しています。一方「2泊3日(32.7%)」は1.2ポイントの減少、しかし「3泊4日(19.8%)」は2.7ポイントの上昇を見せており、3泊以上の旅行では合計で5.5ポイントの増加が見受けられます。
旅行の目的は「リラックスしたい・のんびり過ごしたい(28.7%)」が最も多く、次いで「家族との時間を楽しむ(28.5%)」、「地域の味覚を楽しむ(27.5%)」が続きます。これらは減少傾向が見られますが、最も増加している目的は「趣味を楽しむ(15.6%)」で、前年に比べ2.4ポイントの増加が確認されました。
旅行先については「関東(22.3%)」が最も多く、前年に比べ2.2ポイントの増加が見られています。次いで「近畿(17.1%)」や「九州(9.7%)」が続き、北陸地域は前年対比で減少から回復中です。
旅行先選定理由は「行きたい場所があるから(43.7%)」が最も多く、続いて「自家用車またはレンタカーで行きやすい(19.0%)」や「帰省先である(17.0%)」が続きます。「観光地の混雑を避けたい(7.9%)」が前年より増加しています。また、居住地による旅行先の違いは、北海道では60%以上が地域内旅行であり、他地域では50%未満で、地域の分散化が見受けられます。
同行者について「子供を連れた家族旅行(23.0%)」が最も多く、次いでは「夫婦のみ(19.7%)」、「一人旅行(16.9%)」が続いています。個人旅行は2021年の19.5%をピークに減少傾向にありますが、2025年には若干の増加が見られました。
1人当たりの旅行費用は「2万円から3万円未満(18.6%)」が最多で、その次が「1万円から2万円未満(18.3%)」、「4万円から5万円未満(17.1%)」と続き、いずれも前年から減少しています。
5万円以上の予算については前年から4.6ポイントの増加を見せており、全体的に費用は増加傾向にあることが示されています。
交通手段は「自家用車(50.8%)」が最多ですが、前年からは4.5ポイント減少し、「JR新幹線(26.7%)」や「JR在来線・私鉄(21.9%)」が続きます。交通手段では「鉄道」の利用比率が増加する一方で「航空機」も微増し、自家用車の減少を補っている状況です。
宿泊施設の利用では「ホテル(62.2%)」が多く、「旅館(24.7%)」、「実家・親族の家(18.7%)」が続き、アウトドア宿泊も増加傾向にあります。
関心のある場所は「自然を楽しめる場所(国立公園や花畑など)(24.5%)」が最も多く、「自然が楽しめる活動(登山やアウトドア)(14.8%)」が続き、多様な興味が反映されています。

3. 海外旅行の動向
海外旅行者数は55万人に達すると予想されており(前年同時期比110.0%、対2019年には54.8%の回復)、国際線における航空便の回復が目立ち、一部には収入が増加した層の影響やプロモーション活動が寄与していると考えられています。
海外旅行の平均費用は268,000円(前年同時期比99.6%)、総旅行消費額は1,474億円に達すると見られています。具体的な旅行先としては、韓国や台湾など近隣国が人気ですが、遠方先として欧州やオーストラリアというニーズも高まっています。
旅行日数は「3泊4日」が最も多く29.2%を占め、次いで「4泊5日(13.3%)」が3.9ポイント増加し、短期では「2泊3日」および「5泊6日(14.2%)」が同数で続く構図となり、バランスの取れた旅行が期待されています。費用としても「10万円から15万円未満」が最も多く、その後「7万円から10万円未満」、「15万円から20万円未満」が続き、行先としては韓国や台湾、東南アジア、ハワイ、ヨーロッパが確認されています。特に近場で経済的な旅行先が人気ですが、遠方に対するニーズも明らかです。
さらに、今後の海外旅行意向調査によると、「ハワイ」を希望する声が最も多く、次に「ヨーロッパ」、「オーストラリア・ニュージーランド」との見通しが示されています。

出典元: 株式会社JTB プレスリリース