
[KSIオンライン調査] 物価高に関する意識調査(第4回)
新たな産業に挑戦する企業に向けた政策活動やリスクマネジメントの支援を行う紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI、本社:東京都港区、代表取締役社長:別所直哉)は、月に2回、時事をテーマにしたオンライン調査を実施しています。
■調査の概要
連合が発表した2025年春闘の第1回回答集計では、賃上げ率が5.46%となり、昨年に続き高水準を維持しています。一方で、厚生労働省によると24年度の実質賃金は物価上昇などの影響を受けてマイナスに転じました。また、米の価格高騰が続く中、政府は今月から備蓄米の放出を開始しました。これらの状況を受け、物価高に関する第4回オンライン調査が3月20日に全国の18歳以上の1,000人を対象に実施されました。
■調査結果サマリ
政府に期待する物価高対策のトップ3は
政府が行うべき物価高対策として多くの人が重視している点(複数回答)では、上位3つは「消費税減税」が63.0%、「公共料金(電気・ガス・水道)の負担軽減」が53.5%、「コメの価格高騰の抑制」が47.6%という結果となっています。

物価高の実感「昨年よりも高まった」が9割超え
1年前と比較して物価の上昇に対する実感が「より高まった」と答えた人は91.1%に達しました。年代別では、高齢層になるほどその実感が強い傾向が見られ、20代では約80%、70歳以上では9割以上の人が「より高まった」と回答しました。
普段の生活や家計への影響、及び節約への疲れなど、物価によるストレスを「非常に感じる」または「ある程度感じる」とした人は95.2%に達しました。年収別で見ると、収入が少ない層ほど「非常に感じる」と答えており、特に無収入世帯では7割を超えました。支持政党別で比較すると、日本維新の会では約3割、自由民主党では4割台に対し、れいわ新選組と国民民主党ではともに7割に達しています。
物価の上昇を具体的に感じるシーン(複数回答)の上位3つは「食料品購入」が93.8%(前回調査89.7%)、次いで「電気、ガスなどの光熱費の支払い」が64.2%(前回調査59.1%)、「日用品購入」が62.9%(67.8%)となっています。
自身の物価高対策としての行動(複数回答)の上位3つは「ポイントやクーポンの活用」が73.0%(前回調査61.8%)、「食費の削減」が44.7%(前回調査45.1%)、「ディスカウントストアやフリーマーケットでの購入」が43.6%(この選択肢は前回調査にはありません)でした。

物価が今後も上昇し続ける期間について、「5年以上」という回答が44.9%(前回は35.0%)で最も多く、次いで「1年以上5年未満」が40.3%(前回47.8%)となりました。前回調査で最も多かった「1年以上5年未満」が減少していることが示されています。
ガソリン暫定税率の廃止について
ガソリンの暫定税率に関して「25年4月から廃止すべきだ」という意見が54.9%で最も高く、次いで「25年夏を目安に廃止すべきだ」が14.6%を占めました。
「年収103万円の壁」に関する所得税の基礎控除見直しについての調査では、52.0%が「物価高対策には効果がないと思う」と回答しています。
コメの価格上昇が家計に与える影響については「負担増が大きく困っている」とする人が69.8%に達しました。地域別では、北海道で約8割が負担を感じ、中部、九州、沖縄ではいずれも7割台でした。年収別の分析では、1,000万円以上の所得層は50%台の負担感であるのに対し、1,000万円未満の層は6〜8割台となっています。支持政党別で見ると、参政党、保守党では約8割が「困っている」と答え、国民民主党、公明党、れいわ、無党派層もいずれも高い水準です。
政府の備蓄米放出によるコメ価格への影響については「ほとんど影響がない」と答えた人が44.8%で最も多く、次に「一時的に価格が下がるが、長期的には再び上昇する」が35.0%、「価格が下落する」との回答は7.7%でした。

「財政規律より物価高対策を優先すべき」という意見が約15ポイント増加
物価高対策と財政規律の維持を比較したところ、77.4%が「物価高対策を優先すべき」と回答し、前回の62.2%から約15ポイント増加しました。支持政党別では、立憲民主党、国民民主党、共産党、れいわ、保守の支持層は8割以上、「公明党」支持の人々は6割台となり、自民党や維新はいずれも7割台です。
石破首相が期待している物価上昇を上回る賃上げが25年中に「実現するとは思わない」という意見は72.0%に達しました。前回調査では岸田前首相が期待した賃上げに対して「実現するとは思わない」との回答が76.4%であり、4ポイント減少しました。年代別では、20代が半数強、30代が6割強に対し、それ以上の世代は全て7割台となっています。
就職氷河期世代の処遇改善が進まないことに関する認識
大学新卒者の初任給が30万円を超える企業もある中で、就職氷河期世代の処遇改善が進んでいない現状に対し、「問題だと思う」とする意見が67.8%、また「問題ではあるが仕方ないとも思う」との回答が21.7%に達しました。年代別では、特に40代の「問題だと思う」との回答が高い傾向が見受けられました。

参院選における比例投票先、自民党が首位に返り咲く
夏の参院選においては、比例代表の支持率が自民党が12.0%(前回25年3月19日の調査では11.6%)、国民民主党は11.5%(前回11.9%)、立憲民主党は8.2%(前回8.2%)、維新は4.8%(前回5.2%)、れいわは3.7%(前回2.6%)と続き、未定は44.4%に達しました。自民党が再び首位に返り咲く結果となりました。年代別に見ると、40代では国民民主党がトップとなり、70代以上は立憲民主党が最多となっています。10代に投票先を答えなかった層を除くと、それ以外の年代では全て自民党が支持されています。
出典元:紀尾井町戦略研究所株式会社