災害対策への意識高まる 約60%が「まだ対策できていない」と回答した調査結果

生活者の生活満足度向上を目指し、さまざまな研究と情報発信を行うくふう生活者総合研究所(以下、くふう総研)が、生活者5,169人を対象に実施した災害への備えに関する意識調査の結果が発表されました。

2011年に発生した東日本大震災から14年が経過し、その間に地域では数多くの地震が発生しています。特に、2016年の熊本地震と2024年の能登半島地震は大きな被害をもたらし、被災地では復興に向けたさまざまな取り組みが続いています。2024年8月には南海トラフ地震に関する緊急情報も発表され、災害への備えが一層求められる中で、この調査結果は生活者の災害対策に対する意識の変化を明らかにしました。

■「災害に関する調査」結果概要

・直近1年間で約60%が「災害対策への意識が高まった」と回答し、その理由として約80%が「ニュースを見て危機感を感じた」と述べています。

・60%以上の回答者が「まともな災害対策ができていない」と感じており、強化したい災害対策として「非常用持ち出し袋の準備」が最も多く挙げられました。

・自治体の防災対策に関する補助制度や災害時の支援については、6割以上が「知らない」とし、約9割が「知りたい」と関心を示しました。

■調査概要

調査テーマ:災害対策の意識

調査エリア:全国

調査対象者:チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」のユーザー3,224名、家計簿サービス「Zaim」のユーザー1,945名

調査期間:2025年2月7日(金)〜2月9日(日)

調査方法:インターネットによる調査

直近1年で約60%が「災害対策への意識が高まった」。その理由の約80%が「ニュースを見て危機感を感じたため」とのこと。

災害に対する意識の高まりについて、直近1年では「やや高まった」(43.7%)と「とても高まった」(16.8%)を合わせて約6割の人が「災害対策への意識が高まった」と感じていることが明らかになりました。

意識が高まった理由の中で最も多かったのが「地震や災害に関するニュースを見て危機感を感じたため」(80.5%)という意見であり、他にも「メディアやSNSで災害対策に関する情報を目にしたため」(29.9%)や「大規模な地震や災害を経験したため」(22.3%)と続きます。さらに「家族や友人と防災について話す機会が増えたため」(20.9%)という回答から、災害対策が重要なトピックとして身近になっていることがわかります。

60%以上が災害対策は「できていない」と考え、「非常用持ち出し袋の準備」の強化が求められる

具体的な災害対策について、実際に「できていない」と感じている人は、「あまりできていない」(46.9%)、または「全くできていない」(14.8%)が合わせて6割を超えています。

具体的な取り組み内容では、「飲料水の備蓄」(55.0%)や「停電対策用品の準備」(50.5%)に取り組んでいる人が多く、半数以上が取り組んでいることがわかりました。一方で、強化が求められる項目として「非常用持ち出し袋の用意」(45.1%)が最も多く挙げられており、住宅内で避難ができない事態に対する不安を示しています。その他、「食料品の備蓄」(39.7%)や「トイレ対策」(38.0%)、「飲料水の備蓄」(36.9%)、「停電対策用品の準備」(36.6%)も改めて考慮すべき点です。

回答者からは、備蓄について不安を感じる声や、経済的に準備が難しいとの意見も多く寄せられています。

・何をどれくらい準備すればいいのか、具体性がない(40代女性)

・実際に災害を経験したことがないため、具体的なイメージがわかず、必要量が判断できない(40代女性)

・備蓄品を保管するためのスペースや経済的負担に悩む(30代女性)

・防災用品や備蓄を整えるにはお金がかかる。最近の物価高で、日常生活がいっぱいいっぱいで、手を出せない(50代女性)

これらの意見は、備蓄スペースの確保が難しいことを示しています。2025年1月には警視庁災害対策課が公式SNSで「水は複数の場所に分けて備蓄すること」を推奨する情報を発信しており、適切な備蓄の配置についても考慮が必要とされています。

自治体の防災対策への補助制度や災害時の支援について、6割以上が「知らない」と答え、約9割が「知りたい」と関心を示す

自分が暮らす自治体の防災対策に関する補助制度や、災害時の支援制度についての知識を尋ねたところ、64.9%が「知らない」と回答し、知識の不足が浮き彫りとなりました。

さらに、こうした支援情報に対して知りたいかどうかを尋ねると、「非常に知りたい」と答えた人は38.1%、さらに「やや知りたい」と答えた人も50.6%で、約9割が「知りたい」と意向を示しています。

耐震強化や備蓄品の購入に対する補助制度を導入している自治体も存在し、災害対策には費用がかさむこともあるため、居住している自治体の補助内容を把握することで、より効率的な備えができるでしょう。

出典元: くふう生活者総合研究所

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