2025年1月の景気動向調査 国内経済低迷で8業界が悪化、燃料価格上昇が影響

全国2万6,765社を対象にした株式会社帝国データバンクによる国内景気動向調査が2025年1月に実施され、その結果が発表されました。

調査結果の概要

  1. 2025年1月の景気DIは、前月比で0.9ポイント減の43.6を記録し、3か月ぶりに悪化しました。これは、国内経済が低迷する個人消費の影響を強く受けており、さらに相次ぐ値上げが顕著だったためです。そして2023年1月以来、2年間で初めて下落幅が見られました。今後の経済状況は、企業のコスト負担増加などの懸念が残ると同時に、横ばい傾向で推移すると予想されています。
  2. 調査対象の10業界中8業界、51の業種中37業種が景気の悪化を示しました。広範囲にわたり多くの業界での落ち込みが確認されています。地域別の分析では、コストの増加や国内旅行の不振により、10地域中9地域が悪化したことが明らかになっています。また、「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」のすべての規模で悪化の兆しが見られました。

2025年1月の動向:悪化

2025年1月の景気DIは前月比0.9ポイント減の43.6となり、3か月ぶりに悪化しました。国内経済は、個人消費の低迷が主な要因であり、相次ぐ値上げが影響した結果、2023年1月以来2年ぶりに下落幅が見られました。

1月の経済指標は、主に個人消費の落ち込みが影響しており、燃料や原材料価格の上昇、人手不足も多くの業界に影響を及ぼしました。また、年末年始の連休明けによる国内旅行の需要減も響いています。日本銀行による金利引き上げの影響も考慮する必要がありますが、インバウンド需要の好調や自動車生産の回復は、ポジティブな要素として挙げられます。

今後の見通し:横ばい傾向での推移

経済情勢の今後は、実質賃金の持続的な上昇と個人消費の拡大が大きな注目点です。日銀の金利引き上げに伴う借入金利の上昇や燃料価格の急騰は、企業のコスト負担増加を引き起こしています。また、家計の節約志向が強まることも懸念されています。トランプ大統領の経済政策や中国経済の動向がリスク要因として存在する一方で、観光業の活性化や設備投資の増加が期待される要素ともなっています。

将来的には、多くの下振れ要因を抱えながらも経済は横ばい傾向で推移すると見込まれています。

業界別:10業界中8業界で悪化、消費低迷や燃料価格の上昇が影響

業界別:10業界中8業界で悪化、消費低迷や燃料価格の上昇が影響

調査対象の10業界中8業界、51の業種中37の業種で景気の悪化が報告されました。個人消費の低迷や燃料価格の上昇、原材料価格の高騰、人手不足などにより、多くの業界で景気の落ち込みが顕著です。一方で、インバウンド需要の堅調さはプラス要因として捉えられています。

『製造』(40.1)…前月比0.6ポイント減少し、2か月連続での悪化です。「建材・家具、窯業・土石製品製造」(同2.0ポイント減)では、建設工事の発注減少や原材料価格の高騰が影響し、3か月ぶりに悪化。また、原材料価格や人件費の高騰から「繊維・繊維製品・服飾品製造」(同1.2ポイント減)は2か月連続で下落しました。「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同0.5ポイント減)も受注減少と原材料価格の上昇、中国経済の低迷の影響で、2か月連続で落ち込んでいます。

『卸売』(40.3)…同1.2ポイント減少。3か月ぶりに悪化が確認されました。「再生資源卸売」(同3.8ポイント減)は、国内スクラップの減少や海外業者の参入による競争激化が影響し30台まで低下しました。「紙類・文具・書籍卸売」(同1.9ポイント減)は、ペーパーレス化の進展や販売数量の減少が続き、2か月連続で悪化しました。逆に、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(同0.1ポイント増)は百貨店への販売戦略やインバウンドの増加により改善が見られました。

『小売』(38.6)…同0.9ポイント減少し、2か月ぶりに悪化しました。個人の節約志向が続く中、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同1.9ポイント減)は3か月ぶりに悪化しました。「専門商品小売」(同0.8ポイント減)では、補助金の縮小による販売量の減少が影響し5か月連続で30台にとどまっています。「飲食料品小売」(同1.2ポイント減)や「各種商品小売」(同0.8ポイント減)は、輸送コストの増大が商品価格に響き、二つともに2か月連続で悪化しました。

『サービス』(49.2)…同1.0ポイント減少し、3か月ぶりに悪化しました。「飲食店」(同4.0ポイント減)は、人件費や光熱費の高騰が影響し、コストの増加や感染症流行の影響がひ際立ち、3か月ぶりに落ち込みました。インバウンド需要が支えとなる一方で、長期連休明けの需要減やコスト増加が「旅館・ホテル」(同1.5ポイント減)を2か月連続で下落させました。また、「メンテナンス・警備・検査」(同2.0ポイント減)も2か月続けて悪化しています。しかし、「人材派遣・紹介」(同0.8ポイント増)は、人材確保の必要から問い合わせが増え50台を維持することができました。

規模別:全ての規模が悪化、「小規模企業」の落ち込みが著しい

「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」全てが3カ月ぶりに悪化しました。個人消費の低迷や燃料価格の上昇が影響し、小規模企業ほどその悪化が顕著です。「大企業」と「中小企業」の格差は5.3に広がり、2カ月連続で拡大しています。

「大企業」(48.1)…前月比0.6ポイント減少し、3か月ぶりに悪化しました。「娯楽サービス」の減少が、インフルエンザ流行や家計の節約志向による大きな落ち込みによって、「サービス全体」に影響を及ぼしました。また、自動車製造における厳しい状況も関連業種に影響を与えています。

「中小企業」(42.8)…同0.9ポイント減少し、3か月ぶりに悪化しました。『運輸・倉庫』ではガソリン補助金の縮小が影響し、コスト負担が増大しています。受注の伸び悩みや部品価格の上昇が、『製造』や『卸売』にも影響を与え、共に40を下回る結果となりました。

「小規模企業」(41.5)…同1.1ポイント減少し、2か月連続で悪化しました。燃料価格の上昇が運送事業者の利益を圧迫し、「建設」セクターでは資材の高止まりや人件費の上昇が影響し、2か月連続で下落しています。

地域別:10地域中9地域で悪化し、燃料価格の上昇や観光産業の不振が影響

『北海道』『東北』『南関東』を含む9つの地域での悪化が見られ、『四国』は横ばいの状態を示しています。北日本の降雪による冬のレジャー需要があったものの、節約志向の高まりと燃料価格の上昇が全般的なコストの負担を増やし、観光産業の不振が全体の悪化要因となっています。

『北海道』(41.8)…前月比1.8ポイント減少し、4か月連続での悪化。一方で、10地域中で最も悪化幅が大きかったです。「道東」地域が2.3ポイントの下落を記録しました。燃料価格の上昇により『運輸・倉庫』セクターや来客数の減少が影響し、『小売』の業績も悪化しました。

『東北』(38.9)…同1.2ポイント減少。2カ月連続での悪化を記録し、5か月ぶりに30台まで落ち込みました。地域内6県のうち5県で景気悪化が見られ、特に観光地を含む『運輸・倉庫』が大幅に落ち込んでいます。

『南関東』(46.0)…同0.8ポイント減少し、2か月ぶりの悪化が確認されました。地域内の「埼玉」「千葉」「東京」が共に悪化しました。家計の節約志向の高まりが、価格転嫁の遅れを通じて『小売』業界の収益を圧迫しています。

出典元:株式会社帝国データバンク プレスリリース

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