株式会社帝国データバンクが実施した調査に基づき、「米作農業」における倒産や休廃業の現状が詳細に分析されました。
<調査結果(要旨)>
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コメ価格の高騰にもかかわらず、「コメ農家」の倒産・廃業件数は過去最多に達しています。
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前年に比べ20%増加しており、赤字経営の恒常化や生産者の高齢化が深刻な影響を及ぼしています。
全国的にコメ価格が上昇しているにもかかわらず、収益力の低下と生産者の高齢化が背景にある中で、米作農家の倒産や廃業が増加している現状です。2024年には米作農業において、負債が1000万円以上の倒産が6件、休廃業が36件発生し、合計42件が生産現場から姿を消しました。これは2023年の年間件数35件から20%増加しており、年間の最多件数を記録しています。

コメの価格に関しては、生産資材のコスト急上昇が影響を及ぼしており、これが価格に転嫁される動きが広がっています。農林水産省の調査によると、2024年産玄米60kgあたりの相対取引価格平均は2万3000円を超えており、前年産に比べ8000円、50%以上の増加を記録しています。コメ価格の上昇が期待される一方で、23年産まで1万円台での推移が続いた影響で、多くが輸入依存の肥料や農業薬剤が高騰しており、農家の手元に残る利益が減少している厳しい経営環境が続いています。
米作農業の業績を振り返ると、2023年度には最終損益において「赤字」が25.8%を占め、利益が減少する「減益」が29.4%に達し、この結果、業績が悪化している農家は全体の55.2%を超えました。利益が残らないため、翌年に必要な苗床やトラクターなどの資材調達費用が捻出できないことに加え、農業従事者の高齢化や離農の影響で次世代の担い手不足が続いています。このような深刻な後継者不足が、コメ農家の廃業を促進する要因となっています。実際に、廃業当時の代表者年齢が分かる米農家の中で、2024年には70代以上が6割を超え、60代を含めると約8割に達するという結果が示されています。
現在の状況では、急激なコメ価格の高騰によって、消費者の「コメ離れ」が懸念されています。コメ農家の経営と物価高で苦しむ消費者の双方に配慮した、持続可能な米作農業の構築が急務です。

出典元: 株式会社帝国データバンク