韓国越境ECに関する情報収集でお悩みではありませんか?
こんにちは、韓国No.1ECモールCoupang公式SPNパートナー藤田です。
韓国で11か所のECモールに出店し、うち7か所とパートナー関係にあります。
本コラムでは、「韓国越境ECを始める前に知っておきたい韓国のネット通販事情」についてお話しいたしました。
この記事を見ると、こんなことがわかります。
- 韓国市場の特徴と他の国との違い
- 韓国EC市場の推移と最新の傾向
韓国進出に関する、失敗や行き詰まりを防ぎ、正しい判断材料の収集で間違いを回避できます。貴重な経営資源を無駄にせず、最大限に活用していただくため、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
この記事の目次
韓国はどんな国?

韓国は人口5,163万人と決して多くない上、自国のECモールしか利用されていない状況でありながら、EC化率29.0%(日本の3倍)・モバイル決済比率45.6%(世界2位)と非常にECが普及しています。
国民一人あたりの通販利用金額も、通販大国である中国をおさえ世界3位と消費意欲も盛んです。EC売上増加率も日本の約2倍のスピードで成長しており、韓国における日本からの輸入額は総額の7.2%におよびます。
さらに2023年には、両国首脳による日韓貿易緩和の表明があり、今後ますます成長が見込まれます。4年ぶりに輸出手続きが優遇される対象国「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を再指定、輸出規制に関する強化措置はすべて解除されたのです。
1996年より自国にEC発のモール「INTER PARK(以下インターパーク)」が存在し、主要検索エンジンも「NAVER」、チャットアプリは「カカオトーク」と基本ネットインフラがすべて韓国企業によるもので構成されています。
韓国のEC市場
世界における韓国のEC市場


韓国はEC主要国の中で最も人口が少ないですが、世界で5位のEC流通金額です。また上位5か国で世界のEC流通額の3/4以上を占めます。

日本ではコロナ対応が落ち着いた2021年以降は、EC売上高の成長が鈍化しましたが、韓国は毎年10~38%伸び続けています。
日本から韓国への輸出状況

日本から韓国への輸出額はというと、韓国の総輸入金額の7.2~7.5%で推移しており、アジアでは中国の次に取引金額が多いです。
主にアパレル、飲食物、生活・自転車用品が主要輸出品目となっています。
韓国の主要ECチャネル

ECモール上位2社のEC市場における合計比率は、アメリカでは45%、中国67%、日本が48%で4位以下が2~4%以下数社であるのに対し、韓国は上位2社が47.8%+約4%以上が5社と影響力があるECモールが分散しています。
Coupang(以下クーパン)・NAVER・新世界・Qoo10・ロッテ・カカオのECグループ6社を筆頭に、570種以上のECモールが乱立しています。

ECグループの中でも一番売上額が大きいのがクーパン(ユーザー数・伸び率ともに)、次いで検索エンジンのNAVERです。NAVERはASPカート「スマートストア」、フリマプラットフォーム「中古国」、電子マネー「NAVERペイ」などの総合値になっています。
新世界は、シェアNo.1の百貨店グループであり、総合モール「SSG.COM」、2019年までトップだった「Gマーケット」、韓国初のオークションサイト「AUCTION(以下オークション)」を買収して運営しています。
4位の「配信民族」は、韓国版ウーバーイーツ的な出前アプリ。もともと韓国で高いシェアを誇っていましたが、フードパンダで日本進出を試みたベルリンの「デリバリーヒーロー」が買収し、運営を強固なものにしています。
韓国では地元企業の力が非常に根強く、外資が参入しづらい市場です。その力はAmazonも撤退を余儀なくされるほどで、近年は国際的な大手企業が韓国企業を買収して足掛かりとして進出する手法が、通例です(ロレアルのスタイルナンダ買収など)。
余談ですが、韓国では2010年代よりモバイル決済の出前が普及しており、深夜対応なども当たり前です。
5位は2000年代より韓国ECモールの上位として業界を牽引してきた「11番街」。運営は石油販売・通信キャリアなどを営むグループ企業のSKです。
主要総合モール

主要総合モールのユーザー数でも「クーパン」が1位。2位の「11番街」の3倍と大差を付けています。
3位のGマーケットは、7位のオークションと同様に、日韓併合時代に三越デパートのソウル支店として発足した、百貨店グループ「新世界」が運営しています。
2010年代よりタイムコマース・メディアコマースなど実験的な施策を数々打ち出していた5位のTMON(以下ティモン)、12種の仮想通貨で買物ができる6位の「ウィメプ(We Make Price)」はそれぞれ2022年と2023年にQoo10グループに買収され、韓国初のECモール「インターパーク」も加わって、巨大なECグループを形成しました。
2024年2月現在システム統合中ですが、4モールを連携販売できる「インターパーク PLUS」をローンチ準備中です(インターパーク 海外PFチーム総括チョン・ピル氏談)。
Qoo10は自社物流会社「Qxpress」を所有しており、4モールと連携、トータル物流システムで、倉庫保管や在庫管理、注文・梱包、配達までの物流に関わる作業をサポートしています。
8位のGS SHOPは、TVショッピングを中心に展開する「LGホームショッピング」が、2021年GSリテールに買収され現在の形態へ。古くからの消費者を抱える一方、日本からの出店は不可でしたが、ダイソンなどをクライアントに持つCTK E-VISIONのエージェンシーにより2023年末から進出可能になりました。
また韓国では、ライブコマースも浸透しており、すべてのモールが提供しています。
特筆すべきは、2023年6月までランキング10位圏外だった、AliExpressがわずか2か月で4位に浮上したことです。
2024年1月末時点でGoogle Playストア上のインストール数ランキング1位は「Temu」、2位がAliExpress。中華アパレルの猛威が伺えます。

上記はアプリをインストールした人数のうち、実際に利用しているユーザー数を表したものです。
1位のクーパンはスマホアプリをインストールした95.1%の人が使っている脅威のエンゲージメント率で2位の11番街の2倍以上です。この歴然たる差の意味するところは、かつて1位を争った11番街・Gマーケットの利用者がクーパンに移行しているからでしょう。
8位のCJオンスタイルは、雑貨・コスメ販売の「オリーブヤング」。韓国大手配送会社CJ大韓通運の系列会社で、1995年3月にケーブルテレビが本格放送されて以来初めて開設したTVショッピングチャンネルがECに発展したモールです。

多種多様なECモールがある中、それぞれの消費者がさまざまなECモールを使い分けている訳ではありません。
例えば1998年に開設したオークションは72.3%が40代以上、90年代よりTVショッピング最大手のCJオンスタイルは81.9%が40代以上を示しており、古参ユーザーは特定のECモールに滞在し続けています(1996年発のインターパークもほぼ同傾向)。百貨店モールのSSG.COM、ロッテONは、利用者の7割が女性です。
各ECモールにはそれぞれ違う消費者がいて被っておらず、リピートされています。したがって幅広く出店・販売することで、別の消費者にアプローチできる訳です。
専門店モール

韓国には専門店モールがあります。
上記アプリ利用者のランキングTOP10のうち、7つがアパレルで、残りはコスメ・雑貨・インテリア・食品・ハンドメイドとバラけています。

男女比・年代別ユーザー数は、総合モールと比較して非常にバラけていることが見て取れます。
専門店モールの乱立により、同じアパレルでも女性専用など性別特化は当たり前で、世代やテイスト、アイテムの専門性などで差別化創出にしのぎを削っています。
フリマモール

韓国では中古ECも盛り上がっており、ご質問を多くいただきますが、2024年2月現在、日本からの出店は不可です。
中古ECモール市場については、「ニンジン」(旧にんじんマーケット)がトップで会員数3,500万人※(2022年時点:月間ユーザー1,800万人(UU:1,200万人))、アクティブユーザー数は11番街・Gマーケットを抜いてます。誤振込み防止策として、新韓銀行とコラボして生まれた「ニンジンPay」などの支払いインフラも完備されています。
次いで「雷市場」、NAVERのカフェ(コミュニティ形態)である「中古国」が主なモールです。雷市場は、個人店と専門店から選択して出店でき、独自のチャットシステムや連携した配送会社で簡単に発送でき、メリカリに近いシステムといえます。
丸投げ発送すると「検品&出品&発送」を任せられ、売れなかった場合、買い取りサービスで100%販売保証をうたった「SELL IT」という中古モールがありましたが、2017年に雷市場が買収済みです。
「中古国」は2003年にカフェ(NAVER上のオンラインコミュニティ)として一般人が立ち上げましたが、その年に加入者No.1となり、現在まで首位をキープ。10年間ボランティアスタッフで運営していましたが、2013年に法人化されました。
2023年現在、カフェは加入者1,900万人、公式アプリは700万人を超える膨大な会員数を保有しています。「ニンジン」「中古国」は、ジモティのような直接受け渡すタイプの取引が基本となっており、取引は地域内の個人間に限定する形式です。(「中古国」はコンビニ配送も可)
規約を無視した地域外参入が横行し、2021年頃よりGPSでのチェックとアカウント停止措置なども講じられるようになりました。
※出典:2023年公式サイト
韓国のSNS

検索エンジンは地元企業であるNAVER・Daumの2強でしたが、以下の通りGoogleが凄まじいスピードで追い上げています。
- 2017年⇒NAVER:87.3%、Daum:10.6%、Google:0.2%
- 2021年⇒NAVER:58.1%、Daum:3.4%、Google:36.0%
(出典:毎日経済)
しかしながらNAVERはさまざまなサービスを通して韓国人の生活インフラに深く入り込んでいるため、1位の座から陥落することは今のところないと見ています。
例えば地図アプリは「NAVERマップ」が主流です。韓国企業はGoogleにあまり情報提供していないため、Googleマップはあまり機能しません。
ブログは「NAVERブログ」・コミュニティは「NAVERカフェ」がスタンダード。価格比較サイトも大変人気で最大手は「danawa」です。チャットアプリは「カカオトーク」。家族・友人などクローズドな会話用に「BAND」が使われています。
SNSは一番人気がInstagram。10年以上前にカカオの提供するカカオストーリーが流行しましたが、現在は衰退しており、40代後半以上の一部の方が使用するに留まっています。
2021年にサービスを開始した動画プラットフォーム「Kakao View」。2022年は月100万円の広告収入を得た個人の登場が話題になるなどYouTube黎明期を思わせましたが、現在は広告収益が下がってNAVERブログに撤退する人も増え「経過観察期」です。
次回のコラムについて
今回は、韓国越境ECを始める前に知っておきたい韓国のネット通販事情について、お話しさせていただきました。次回は、日本から出店できる韓国ECモールと進出にあたってのポイントについて解説いたします。
私共は、韓国の市場調査から事業計画の策定、商材に合わせた販路選定、出店、インフラ構築、管理・運用、マーケティング、分析と改善まで、ECを活用したベンダー様・ブランド様の韓国進出をワンストップでご支援させていただいております。
個人様・小規模事業者様向けオンラインサロンも運営しております。第二、第三のビジネスとして韓国輸出を展開したい法人様もぜひどうぞ。
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韓国法人の設立、ロジスティックのシステム構築、日経企業様の韓国進出プロモーションなども、現地パートナー企業と強力なタッグを組んで、ご支援・ご提供させていただきます。
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