朝日大学(岐阜県瑞穂市)の附属研究機関である朝日大学マーティング研究所(所長 中畑千弘)は、最近の物価高の環境下における消費者の意識や行動について調査を行いました。その結果、最近の物価高により社会には消費者のネガティブな意識が広がっていますが、消費行動への具体的な影響を調べてみると、特定の業種や消費費目における変化が目立っており、偏りが生じていることがわかります。

調査の背景
 連日、たくさんのメディアが値上げに関わるニュースを報じています。情報を受けて、消費者の意識や行動には、具体的にどのような変化が表れているのか、調査を行いました。前編では消費者の意識の変化を考察しましたが、後編では具体的な行動の変化について考察しています。

「物価高に関する消費者意識と行動調査(後編」の主な結果
物価高の影響を受けているのは主に飲食系店舗
 半年前に比べて利用頻度が「減っている」との回答が多かったのは、「居酒屋チェーン」「ファミリーレストラン」の飲食系の店舗でした。非飲食系では「百貨店」「駅ビル」に加えて「コンビニ」も高い割合となりました。「コンビニ」に比べると「スーパーマーケット」の割合は低く、「スーパーマーケット」については利用頻度が「変わらない」との回答が各業態のなかで最も多くなりました。スーパーマーケットは、物価高の環境でも比較的安定感のある業態です。非飲食系であっても、他の業態のように割引の印象が薄く、便利さを特徴とするコンビニには、物価高が不利に働くことがわかります。


価格上昇に伴って購入・支出を最も見直したいのは水道光熱費
 価格上昇に伴って、見直して購入・支出を控えたいとの意向が強い費目としては、「水道光熱費」「外食の食費」「食事以外の飲食費(菓子、ケーキなど)」「被服費」が上位に挙がりました。逆に、これまでと同じく購入・支出を続けたい費目としては、「住宅費」「医療費」「教育費」「保険料」が上位に挙がりました。金額の大きい費目や定期性のある費目よりも、身近で手軽な費目の見直しが優先されています。いきなり抜本的に変更するのではなく、手っ取り早く可能なところから購入・支出を見直そうとする意向が表れています。


食品、日用品、通信は物価高がブランドスイッチの契機になりやすい
 最近または今後の物価高について割安品への変更で対応したい費目としては、「家庭の食費」「食事以外の食費(菓子、ケーキなど)」「外食の食費」が上位に挙がりました。物価高の環境では、食費に対する節約意識が強く、消費行動にも変化が起こりやすいことがわかります。具体的には「割引品や見切り品を探す」「まとめ買い」「価格や製品の見比べ」などの変化を推測できます。他にダウングレードが生じやすい費目としては、「日用品費」「通信費」があてはまります。食品、日用品、通信は物価高がブランドスイッチの契機となる可能性が相対的に高いということがわかります。


■今回の調査を通じて
 物価高は消費行動を変化させる契機となりますが、業種や費目によって影響の程度には差があります。全体的な雰囲気に流されず、それぞれの業種や費目の特性に見合った対策を適切に講じることが必要です。

調査の詳細
「物価高に関する消費者意識と行動調査(後編)」 
 最近の物価高の環境における消費者の意識や行動の変化を調査する。
■調査期間:2022年8月29日(月)~ 8月30日(火)
■調査方法:朝日大学マーケティング研究所のパネル利用によるインターネット調査
■対象者:居住地 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
       年 代 20代・30代・40代・50代・60代
       性 別 男女
■回収サンプル数:400

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