メルカリ×アイスタイル 共同調査結果発表!二次流通市場に注目すべき理由【セミナー体験レポート】
イベントの概要

2021年11月2日(火)、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリと、化粧品・コスメ情報専用ポータルサイトを運営する株式会社アイスタイルが共同で行った、二次流通市場に関する調査結果を発表するセミナー「メルカリ×アイスタイル 共同調査結果発表!二次流通市場に注目すべき理由」が開催されました。今回のセミナーでは、メルカリなどの二次流通市場を利用する消費者のニーズと一次流通へのプラスの効果が明らかになり、一次流通のメーカーなどにも参考になるデータが公開されました。

【スピーカー】
野辺 一也さん
株式会社メルカリ 執行役員
メルカリジャパン CBO 兼 CMO
兼 株式会社メルロジ 代表取締役CEO

遠藤 宗さん
株式会社アイスタイルリテール
代表取締役

【モデレーター】
勝並 明子さん
株式会社アイスタイル データ戦略推進室長

メルカリ・アイスタイルの取り組みについて

野辺さん:2020年2月に開催したメルカリカンファレンスでは、二次流通市場の拡大だけでなく、メーカーや小売店などの一次流通と二次流通を“CONNECT”することで、循環型社会の輪を更に広げていきたいという構想を発表しました。

この構想に基づき、「@cosme」と「メルカリ」の商品データを連携、メルカリが持つ購買履歴などのデータをもとに、お客さまの需要を特定し、一次流通と二次流通を融合させたマーケティングサービスの提供を進めています。

これは、メルカリの膨大なデータをメーカーに役立てていただくための実験的な取り組みです。二次流通と一次流通で相互にユーザーを循環させていく可能性を感じています。直近の取り組みとしては、『1.「@cosme」への「メルペイ」の導入』『2. 「メルカリ」から一次流通への送客を目的とした、連携キャンペーン』を実施しました。

化粧品/コスメの二次流通市場に関する共同調査 実施背景

野辺さん:メルカリでは、他のカテゴリと比較して、化粧品/コスメ*1の購入の伸びが高いというデータがあります。2014年と2020年を比較すると、メルカリにおける化粧品/コスメ年間購入数は12.4倍、年間購入額は24.7倍に成長しています。

また、従来、メルカリのユーザーは若い世代のイメージがありましたが、2020年におけるメルカリの購入者の47.0%を40代以上が占めています。この数年で、メルカリのユーザー属性が、一次流通の一般消費者に近づいていると考えられます。

*1ベースメイク、メイクアップ、スキンケア/基礎化粧品、ネイルケア、香水、ヘアケア、ボディケアのカテゴリを指す

遠藤さん:外部のデータが分かるのは画期的ではないでしょうか。これまで、二次流通は一次流通につなげられる感覚があったのですが、それがデータとしても見えてきました。

化粧品/コスメの二次流通市場に関する共同調査 調査サマリー

化粧品/コスメの二次流通市場に関する共同調査 調査サマリー

化粧品/コスメにおける二次流通市場とトライアル消費

野辺さん:調査によると、「国内における二次流通市場で化粧品/コスメの購入を経験した人の割合」は10%。これは想定よりも高い割合でした。「国内における化粧品/コスメの二次流通市場規模」は、すべてのカテゴリを合計して1,555億円/年となっています。

二次流通を利用する理由として注目なのが、トライアル消費*2です。「二次流通市場を活用したトライアル消費の実施率」は40.1%。「国内における化粧品/コスメのトライアル消費の総額」は、合計275億円/年となっています。これはかなりの規模感といえます。

*2トライアル消費=これまで使用したことがない商品(テスター・サンプルでの使用含む)について、試してみることを主目的に購入すること

化粧品/コスメにおける二次流通市場とトライアル消費

野辺さん:トライアル消費を行う理由としては、「失敗したくない」「購入前に試したい」「コロナ禍の影響」などが明らかになりました。

二次流通市場による一次流通市場への消費喚起効果としては、購入・出品を合わせて205億円/年となりました。この数字は、一次流通の代わりに二次流通で購入することでマイナスを相殺したものです。つまり、二次流通での購入は、一次流通での購入を「阻害する効果」よりも「促進する効果」が高いと考えられます。

化粧品/コスメにおける二次流通購入者の実態

化粧品/コスメにおける二次流通購入者の実態1

化粧品/コスメにおける二次流通購入者の実態2

野辺さん:化粧品/コスメにおける二次流通購入者/非購入者の消費者意識を調査したところ、その差がもっとも大きかったのが「新しい商品はできるだけ試す」という点でした。また、直近6カ月間における化粧品/コスメ購入金額なども合わせて考えると、二次流通市場を活用する人、トライアル消費を行う人は、一次流通市場における化粧品/コスメのヘビーユーザーであることが分かります。

また、補足情報として、二次流通市場を使ったことがない人の20.4%が、今後半年以内に二次流通でトライアル消費を実施したいと回答しました。これは、現在の二次流通のヘビーユーザーに限らず、今後のトライアル消費志向がある可能性と考えられます。

トライアル消費志向のある方は、消費志向の高い方です。化粧品/コスメを購入して自分には合わなくても、二次流通で売れるなら気軽に一次流通で買い物ができます。二次流通市場規模の拡大や、ミドル・ライトユーザーによるトライアル消費の実施により、化粧品/コスメ業界への消費喚起効果はより拡大する可能性があります。

@cosme調査「コスメは試してから買いたいが9割」

@cosme調査「コスメは試してから買いたいが9割」

勝並さん:今回、@cosmeでは「@cosmeにおける二次流通での化粧品購入実態調査」を行いました。その結果、化粧品は試してから購入したいユーザーが9割、テスター・サンプルなどで試すことができなかったため購入を躊躇した経験を持つユーザーが9割という、試し買いに対する高いニーズが明らかになりました。特にテスター・サンプルのニーズが高いのが、スキンケア/基礎化粧品やベースメイク、メイクアップなどのアイテムです。

また、フリマアプリでの化粧品購入経験のあるユーザーに購入理由を尋ねたところ、「安く買いたいから」(65.6%)に次いで「試し買い」(56.6%)という回答が得られました。フリマアプリでの化粧品購入経験者の75%が、その後正規購入(EC、店舗)経験があることも分かりました。

自由記入のアンケートでは、二次流通での化粧品購入について、納得のいくまで試せる、試したい色を試せる、不特定多数が利用する店頭のテスターよりワンユースのフリマアプリの商品のほうが安心といった声が見られました。店頭のテスターに対しては、その場で判断しないといけない、試すためだけにわざわざ出かけたくないという意見もあり、それに対してフリマアプリの利便性が勝るようです。

さらに、コロナ禍における化粧品購入行動の変化も見られます。新型コロナウイルスの感染拡大による化粧品の買い方や気持ちの変化を尋ねたところ、店頭で化粧品のテスターやサンプルを利用する機会が減ったという回答が見られました。

化粧品の二次流通の利用のされ方

野辺さん:お得に買い物をしたいことが、メルカリを利用される方の根源的なニーズなのですが、調査を通じて、2つの気づきがありました。

ひとつは、二次流通があることで、トライアル感覚で一次流通での買い物ができることです。合わなければメルカリで売れると考えることで、一次流通での購入ハードルが下がっているようです。もうひとつは、購入ハードルが高いハイブランドに幅広く触れるきっかけとなっていることです。メルカリで憧れだったブランドに触れ、次は新品を買いに行くケースも見られます。

遠藤さん:自分自身も二次流通を利用して感じるところですが、今回の調査結果からも、二次流通は消費者にとって商品を試せる場であり、すでに買い物をする場所として自然に選択肢に上がっていることが分かります。

特に化粧品は、ブランドによって取り扱っている店舗やECが異なり、気軽に試せないという問題がありました。そこにメルカリのような二次流通が普及したことで、販売チャネルの垣根がなくなりました。消費者の行動は多様化しており、それが化粧品業界に良いか悪いかより、消費者の行動を理解するためにこの市場に向き合うこと、そこから得られるものをどう活用するかが重要だと考えています。

野辺さん:データを分析するなかで、一次流通で購入するユーザーと、メルカリで購入するユーザーにギャップも見られました。たとえば、20代向けのブランドで、一次流通で購入するのは20代が多い一方で、メルカリで購入するのは40代が多いといったデータです。こういったデータを基に、ブランドの可能性の話ができればと思います。

遠藤さん:@cosmeでも、試しやすい機会の提供に努めてきましたが、まだ一次流通がその環境を十分に提供できていない状況があります。二次流通により、消費者はより自由にブランドと接点を作れるようになっています。EC化が進んでいることもあり、試し買いのニーズは今後も加速するはずです。

化粧品ブランドとのマーケティング連携の未来

勝並さん:2021年10月6日から、@cosme の通販サイトでメルペイが導入されました。導入に際して、メルカリポイントを還元するキャンペーンが開催されるのですが、要らなくなったものをメルカリに出品してお金を作って、@cosmeでまた商品を買いたいといったコメントも寄せられました。こういった二次流通から一次流通への引き込みは、メーカーの公式サイトでも可能性があるのではないかと思います。

野辺さん:データが貯まると、@cosmeで利用実績を特定した上で、メルカリ上で商品を探している方で、@cosmeの新規ユーザーの可能性がある人に限定してアプローチをするなどの施策ができる可能性もあります。

遠藤さん:メルカリでは何を見ていて@cosmeでは何を見ているのかを分析することで、特定の商品に対する顧客を顕在化することもできます。これまで見えなかったことが分かるようになるのではないかと期待しています。

安心・安全の取り組み

野辺さん:メルカリでは、数百人体制でカスタマーサービスを行っています。化粧品に関しては、法的に認可されていない、薬機法に抵触するものが出品されないよう、機械学習と人の目とで手厚くチェックを行っています。今後、たとえば製造番号と使用期限を出品時に入力いただくなど、さらなる安心・安全のための仕組みも検討しています。

遠藤さん:安心して買い物ができる環境を作るのは、一次流通にも二次流通にも共通する使命です。メーカーとも話し合って取り組んでいきたいと考えています。また、化粧品業界でもサステナブルな取り組みが注目されており、滞留在庫や返品に対する課題認識があります。メーカーもアウトレットに出店するなどの取り組みが増えてきました。そういった、ものを無駄にしない点でも、二次流通には意味があると考えています。

セミナーに参加して:二次流通と一次流通は一緒に成長できる

これまで、二次流通市場の台頭は一次流通市場を脅かすイメージがあったかもしれません。しかし、今回発表された調査結果により、二次流通市場があることで一次流通市場での消費が促進される可能性が明らかになりました。

また、野辺さんのセミナー中の言葉にもあったのですが、二次流通市場は商品の出品がないと成り立たず、そのためにはまず一次流通市場が活性化する必要があります。メルカリが今回の調査のようなデータ活用に積極的なのも、そのためといえます。

二次流通市場のユーザー行動には、一次流通市場での購入につながるヒントが多くあることも、今回のセミナーで分かりました。今回明らかになった消費者のニーズや行動の変化は、EC事業者が今後の戦略を立てるために役立つはずです。

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