ECサイトの不正対策、3Dセキュア義務化後も約7割が効果実感せず―DGBT調査

株式会社DGビジネステクノロジー(デジタルガレージグループ、本社:東京都渋谷区、代表取締役兼社長執行役員:清水和徳、以下DGBT)が、ECサイト運営に携わる事業者を対象に「ECサイトにおけるセキュリティ対策に関する調査」を実施しました。同社はデジタルビジネスの総合支援を行っており、不正検知・決済最適化ソリューションを提供しています。
AIを駆使したサイバー攻撃への警戒が高まる一方で、EC事業者は決済やアカウントを標的とした身近な不正利用への対策も並行して継続する必要に迫られています。
今回の調査では、3Dセキュア2.0が原則義務化された後の不正発生件数の変化をはじめ、不正の原因を特定できない要因や損失金額の把握状況など、ECサイトが直面するセキュリティ対策の実態が浮き彫りになりました。
調査実施の背景
「クレジットカード・セキュリティガイドライン」によって、2025年3月末までに全てのEC加盟店に対して「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」の導入が義務化され、EC業界における不正対策は重要な転換期を迎えています。
しかしながら、決済認証を回避する手法やアカウント乗っ取りなど、不正の手口はより巧妙化・多様化しているのが現状です。多数のEC事業者では、専門的な知識を持つ人材や調査に必要なリソースが十分でなく、「不正が起きても実態を完全には把握できない」という新しい課題に直面しています。
こうした状況を踏まえ、DGBTはECサイトの運営現場が抱えているセキュリティ対策の実態と課題を明確にするため、本調査を実施したとのことです。
調査結果のサマリー
3Dセキュア原則義務化後の不正件数について
全体の68.2%が、3Dセキュア2.0の原則義務化以降も不正の発生件数が減少したという実感を得られていないことが判明しました。「増加した」と回答した割合(32.7%)が「減少した」と回答した割合(22.7%)を上回る結果となっています。
認識されている不正の手口について
最も多かったのは「クレジットカードのなりすまし利用(3Dセキュア突破・すり抜け)」(32.4%)でした。セキュリティ対策の担当者では、なりすましやアカウント乗っ取りなど複数の手口に対する警戒感が約5割に達する一方、非担当者の最多回答は「特になし」(29.7%)となっています。
今後強化したいセキュリティ対策について
1位は「社内セキュリティ体制の構築・従業員教育」(33.6%)となりました。担当者では59.4%、非担当者では22.3%となり、37.1ポイントの大きな差が見られました。
不正の原因特定について
全体の34.5%が、発生した不正の原因や手口を十分に特定できていない状況です。
損失額の把握について
全体の32.4%が、直近1年間の不正被害による損失額を把握できていないことが分かりました。
原因究明を阻む要因について
1位「セキュリティの専門知識を持つ人材の不足」(27.9%)、2位「不正の手口の高度化・多様化」(27.3%)、3位「最新の不正手口に関する情報不足」(26.7%)が、僅差で並んでいます。
調査結果の詳細
約7割が3Dセキュア2.0導入後も「不正減少」を実感できず。「増加」が「減少」を10.0ポイント上回る結果に
3Dセキュア2.0の原則義務化以降における不正発生件数の変化について質問したところ、「変わらない」(35.5%)や「増加した(大幅・ややの合計)」(32.7%)を合わせると、全体の68.2%が不正の減少を実感できていないことが明らかになりました。さらに、「増加した」(32.7%)が「減少した(大幅・ややの合計)」(22.7%)を10.0ポイント上回っており、セキュリティ対策を強化した後も依然として不正リスクが高止まりしている実態が明らかになっています。

認識されている手口の最多は「3Dセキュアのすり抜け」。担当者と非担当者で意識差も明らかに
発生・増加傾向にある不正の手口について質問したところ、1位は「クレジットカードのなりすまし利用(3Dセキュア突破・すり抜け)」(32.4%)となり、対策導入後も認証を回避する手法が最大の脅威として捉えられていることが分かりました。
また、セキュリティ対策の担当有無別に見ると、担当者は「3Dセキュア突破・すり抜け」(48.5%)「チャージバック不正(フレンドリーフラウド等)」(48.5%)や「アカウント乗っ取り」(42.6%)など複数の手口への警戒感が約5割に達している一方、非担当者の最多回答は「特になし」(29.7%)という結果になりました。社内における不正リスクへの認識や危機感には大きな隔たりが存在していることが判明しています。

強化したい対策1位は「社内体制の構築・教育」。担当者の約6割が必要性を実感
今後強化したいセキュリティ対策について質問したところ、1位は「社内セキュリティ体制の構築・従業員教育」(33.6%)となり、システム対応だけでなく組織面での対策強化を求める声が最も多いという結果になりました。
セキュリティ対策の担当有無別で見ると、担当者では59.4%と約6割が「体制構築・教育」の必要性を挙げたのに対し、非担当者では22.3%にとどまり、37.1ポイントの大きな差がつきました。システム導入にとどまらず、社内のセキュリティ文化や体制のアップデートが求められているものの、その危機感や優先度については社内でギャップが存在することが判明しました。

約3人に1人が発生した不正の「原因・手口を特定できず」。不透明なままの運営が続いている
発生した不正の原因や手口をどの程度特定できているかについて質問したところ、「一部しか特定できていない」(22.1%)と「ほとんど特定できていない」(12.4%)を合わせた34.5%が、十分な原因究明に至っていないことが分かりました。
約3人に1人の運営担当者が不正の実態や手口を明確に把握できておらず、原因調査や根本的な対策が後手に回らざるを得ない現場の状況が見えてきます。

3割以上が直近1年間の「被害損失額を把握できず」。ビジネスインパクトの見極めも困難に
直近1年間の不正被害による損失額(返金・チャージバック・商品ロス等)の把握状況について質問したところ、「あまり把握できていない」(22.1%)と「全く把握できていない」(10.3%)を合わせた32.4%が、被害額を把握できていないことが明らかになりました。
発生した不正の「原因・手口」だけでなく、「自社がいくら損害を被っているのか」という被害金額の全体像すら不透明なまま運用を続けざるを得ないEC事業者が3割以上にのぼる結果となっています。

原因究明を阻む障壁は「専門人材の不足」「手口の高度化」「情報不足」。社内外の要因が影響
不正の原因究明や手口の特定を阻む要因について質問したところ、1位「セキュリティの専門知識を持つ人材の不足」(27.9%)、2位「不正の手口の高度化・多様化」(27.3%)、3位「最新の不正手口に関する情報不足」(26.7%)が僅差で並びました。
人材やノウハウといった「社内リソースの不足」と、日々巧妙化する「外部の脅威」の両面が影響し、自社単独では発生した不正の実態把握や手口の追及が困難になっている背景が示されています。

まとめ
今回の調査では、3Dセキュア2.0の原則義務化後も不正減少の実感が乏しく、約3人に1人が不正の原因や損失額すら把握できていない実態が明らかになりました。
背景には、巧妙化する不正手口に対し、専門人材や情報などのリソース不足により自社単独での調査や対応が追いついていない現状があります。さらに、不正に対する脅威感や体制強化の必要性が一部の担当者に偏っており、組織全体としてセキュリティリスクに対処しきれていない課題も浮き彫りとなっています。
単なるセキュリティシステムの導入にとどまらず、「専門知識を持った体制の構築」や「迅速な不正実態の把握・原因究明」こそが、EC事業を脅かす不正被害から売上・ブランドを守る大きな鍵を握っています。
DGBTは、ECサイトにおける不正検知・セキュリティ対策支援を通じて、高度化する不正手口への対応と現場の運用負荷軽減を強力にサポートしています。今後も安全・安心なEC運営環境の構築と、EC事業者の持続的な成長を双方から支援していくとしています。
本調査の監修者

関隆進(せきたかゆき)氏
株式会社DGビジネステクノロジー
プロフェッショナルソリューション本部
執行役員 本部長
ネット金融グループのクレジットカード事業でのマーケティング・商品企画を経て、SaaS型ツールを展開するナビプラス(現DGBT)の経営管理マネージャー、不正検知サービスを提供するスクデット(現DGBT)の取締役を歴任しています。不正対策のスペシャリストとして、長年にわたり多数のEC事業者へ不正・セキュリティ支援を行ってきました。現在はDGBTのプロフェッショナルソリューション本部長として事業を牽引し、高度化する不正行為からEC事業を守るための最適なソリューションを提供しています。
コメント
国内で大規模な情報漏えいや不正アクセスが相次ぐ中、セキュリティ対策はEC事業者にとって事業の信頼を左右する重要な経営課題となっています。今回の調査結果は、3Dセキュア導入後も不正を防ぎきれず、さらに被害の実態把握や対策が一部の担当者へ委ねられている現場の現状を示しています。
原因が特定できないままでは、対策はどうしても後手に回ってしまいます。AIによる検知と専門家の知見を組み合わせることで実態を迅速に可視化し、原因特定から対策までを「組織的」に回す体制を構築することこそが、EC事業の持続的な成長に直結すると考えています。
調査概要
調査期間:2026年8月21日~2026年8月23日
調査方法:インターネット調査
調査対象:ECサイトの運営に携わる20代~50代の男女
調査人数:330名
モニター提供元:RCリサーチデータ
※本調査における「不正」には、クレジットカードの不正利用のほか、その他の不正も含みます。
※本調査では、ECサイト運営における担当業務に「セキュリティ対策・不正対応・リスク管理」を含む回答者を「EC運営のセキュリティ対策担当者」、含まない回答者を「EC運営のセキュリティ対策非担当者」としています。
※回答比率は小数点第二位を四捨五入しているため、回答比率の合計は100.0%にならない場合があります。
出典元:株式会社DGビジネステクノロジー
