SEOで上位でも、ChatGPTに引用されるとは限らない──「透明感 化粧品」で確認したこと

「SEOはきちんとやっているので、GEOのほうも大丈夫だと思います」。EC事業者の方とサイトについて話していると、よくこう言われます。
Google検索で上位に表示されているサイトなら、ChatGPTの回答にも出てきやすい。そう考えるのは自然です。では、実際にはどの程度一致しているのでしょうか。
前回のコラムでは、「透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?」とChatGPTに聞いてみました。最初に挙がったのは、コスパ重視のプチプラブランド。価格については一言も聞いていません。それでもChatGPTは、「価格と続けやすさ」を判断軸にして答えていました。
今回は、この「透明感 化粧品」というテーマで、Google検索の上位サイトと、ChatGPT・Geminiが回答で引用したサイトを比べました。Google検索ではキーワード検索3パターンと質問文での検索3パターンの調査を行い、ChatGPTとGeminiには同じ質問文での検索3パターンを2日間、各日5回ずつ聞いてみました。
その結果、今回調べたGoogle検索の合計6パターンのなかで1位だった4サイトは、ChatGPTに30回質問した答えの中に、一度も出てきませんでした。
吉田 清登
株式会社FID
CMO
GEO(AI検索最適化)対策「Genview」を手掛ける。再春館製薬所など通販・CRMの現場に約20年携わり、お客様第一の哲学を大切にしてきた。「AIは優秀なコンシェルジュ。でも、サボる。だから、伝えよう」を掲げ、AIでのお客様接客にはAIに自社情報を正しく伝えることの重要性を説く。JECCICA(ジャパンEコマースコンサルタント協会)客員講師。
Genview:https://genview.io/
NOTE:https://note.com/genview_yoshida
Googleで「透明感 化粧品」を検索してみました
Googleのシークレットウィンドウで「透明感 化粧品」というキーワードで検索した結果、表示されたのが下記の9件です。
- @cosme の「透明感スキンケア」特集(口コミサイトの編集部特集)
- 三越伊勢丹の化粧品オンラインストアの読み物
- 資生堂公式オンラインストアの読み物
- 化粧品ブランド ineuly(勇心酒造)の公式コラム
- 美的.com の解説記事(美容メディア)
- 法律事務所による「『透明感』表現は薬機法でどう扱われる?」という解説
- コスメデコルテ公式の「透明感・くすみケア」商品一覧
- 楽天市場の検索結果ページ
- 雪肌精の公式オンラインショップ
口コミサイト、美容メディア、百貨店、メーカー公式、ECモール、法律事務所。サイトの種類はばらばらです。
次に、「透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?」という文章でGoogle検索をしました。結果、上位に出たのは下記の7件。
- @cosme の「透明感スキンケア」特集
- 三越伊勢丹の化粧品オンラインストアの読み物
- 資生堂公式オンラインストアの読み物
- 美的.com の解説記事
- ORBIS の公式コラム
- NR SHOP(株式会社NR)の公式コラム
- YouTube の動画
キーワードの検索と共通していたのは、@cosme、三越伊勢丹、資生堂、美的.com の4サイトです。ineuly のコラムや法律事務所の記事は消えてしまい、逆にORBIS などのコラムと動画が入りました。
今回は、翌日(9月12日)に同じ質問文で検索しても、上位7サイトはすべて上位表示に残っていました。
Google検索での自社の見え方を追うときは、聞き方を1つ決めておくと比べやすくなります。私は、自社の主力カテゴリをお客様が使う言葉で文章にして聞くようにしています。「美容液 おすすめ」ではなく、「乾燥が気になります。おすすめの美容液は?」のような形です。それをシークレットウィンドウで検索して、上位10件のサイト名を記録します。質問文、検索環境、確認日をそろえて記録すると、変化を追いやすくなります。
「20代です」「40代です」と足すと、Google検索の結果はどう変わるのか
前述の「透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?」という質問文に、年代を足してGoogle検索をしたところ、以下のサイトが上位表示されました。
「20代です」を足したとき
美的.com/LIPS(口コミアプリ)/資生堂の読み物/三越伊勢丹の化粧品オンラインストア/ineuly のコラム/YouTube の動画/無添加工房OKADA の公式コラム/hadato の「20代のベストコスメ」/マツキヨココカラオンライン
「40代です」を足したとき
STORY web/美的.com/@cosme のまとめ/美ST/hadato の「40代スキンケア」/ニュートリライト(サプリメントブランド)の読み物/阪急ビューティーのコラム/マツキヨココカラオンライン/Yahoo!知恵袋
40代では、STORY や美ST といった40代女性向けの雑誌サイトが入ってきます。
年代なし・20代・40代の3つすべてに出てきたのは、美的.com の1サイトだけでした。「透明感 化粧品 20代」「透明感 化粧品 40代」のようにキーワードで検索しても傾向は同じでした。キーワード検索の3パターン(「透明感 化粧品」「同 20代」「同 40代」)と質問文での検索の3パターン、合わせて6パターンのGoogle検索の結果すべてに出たのも、美的.com だけです。
EC事業者は、年代でターゲットを区切っているケースが多いと思います。既存顧客に近い層での見え方を確かめたい場合は、CRMの年代分布を起点に質問を分ける方法が実務的です。購入者の中心が40代なら、質問の頭に「40代です」を付けて検索すると良いでしょう。年代を入れずに確かめると、実際のお客様が見ている画面とずれてしまいます。
同じ質問を、ChatGPTとGeminiに2日間・5回ずつ聞きました
続いてAIの回答を確認しました。質問はGoogle検索と同じく、下記の3パターンです。
- 透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?
- 20代です。透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?
- 40代です。透明感のある肌になりたい。おすすめの化粧品は?
それぞれをChatGPTとGeminiに、9月11日と12日に、各日数分おきに5回ずつ聞きました。AIの答えは同じ質問でも毎回変わるので、日を分けて繰り返しています。
3パターンの質問×2つのAI×5回×2日で、合わせて60回分の答えになります。
そのなかで、同じ質問文でGoogle検索したときの上位サイト(年代なしは7サイト、20代・40代は各9サイト)が、AIの回答の引用元として出てきた数を集計した結果が以下です。なお、ページ単位ではなく、サイト(ドメイン)単位で数えています。
表:Google検索の上位サイトのうち、AIの回答で1回以上引用されたサイト数
質問 | Google上位 | ChatGPT | Gemini | ||
9/11 | 9/12 | 9/11 | 9/12 | ||
年代なし | 7 | 1 | 1 | 4 | 3 |
20代 | 9 | 1 | 1 | 5 | 4 |
40代 | 9 | 0 | 0 | 6 | 5 |
ChatGPTが引用したGoogle検索上位のサイトは、年代なしと20代で1サイトずつ。40代では1サイトもありません。
ChatGPTの引用そのものが少なかったわけではありません。3パターンの質問×1日5回の検索×2日間という合計30回の検索では、いずれも答えに引用が付いていて、合計159件の引用がありました。そのChatGPTの159件の引用のうち、同じ質問でGoogle検索上位に出ていたサイトは14件、8.8%でした。 またGeminiでは、合計265件の引用があり、そのうち96件、36.2%がGoogle検索でも上位に表示されたサイトでした。
8月に公開した別の調査「SEO対策だけでGEO対策は不要か?化粧品業界30クエリで実際に検証してみた」では、Google検索上位10サイトのうち、AIの引用元にも含まれていたサイトの割合は、ChatGPTが15.0%、Geminiが29.9%でした。このときの質問は今回とまったく違いますが、同じ傾向が出ています。
この傾向がいちばんわかりやすいのは、検索結果の1位です。今回、Google検索の6パターンの検索(キーワード検索3パターン+質問文での検索3パターン)で1位に表示されたのは、@cosme、CLASSY、美的.com、STORY web の4サイト。この4サイトは、ChatGPTでの検索30回の答えの中に、一度も出てきませんでした。
中でも美的.com は、Google検索では6パターンすべての検索結果に出てきて、Googleの「AIによる概要」もこのサイトを出典にしていました。また、Geminiは30回の検索結果のうち14回、このサイトを引用しています。それが、ChatGPTの回答には一度も出てきません。ほかにGoogle検索で1位表示された@cosme、LIPS、mybest、マツキヨココカラオンラインも、ChatGPTでは0回でした。
Google検索の上位に出ていたサイトの中でも、ChatGPTが引用していたのは資生堂の公式サイトだけでした(30回のうち18回)。一方でGeminiは、Google検索の順位とある程度同じサイトが引用に出てくる傾向があります。
つまり、Google検索の順位だけでは、ChatGPTに引用されるかどうかを判断しにくい結果でした。ChatGPTについては、実際に質問文を投げてみて、その回答で引用されるサイトを一つ一つ確認するしかありません。 それを記録しておいて、数分おきに3〜5回同じ質問をくり返すと、引用されているのが毎回出てくるサイトなのか、たまたま出たサイトなのか、見当がつきます。
前回ChatGPTが挙げた「ちふれ」は、どうなったか
前回、ChatGPTでの検索で最初に名前が挙がった「ちふれ」は、今回の検索では一度も出てきませんでした。唯一、Geminiが20代向けの回答で、他のブランドと並べて1回名前を出しただけです。
ただし、価格を聞いていないのに手に取りやすい定番商品を薦めるというChatGPTの癖は残っていました。ChatGPTでの30回の検索のうち19回の答えに、ドラッグストアで手軽に買える定番ブランド「メラノCC」が出てきます。
自社の引用の有無を1回の検索のみで判断すると、この入れ替わりを見落とします。
まとめ
今回の化粧品に関する3パターンの質問では、Google検索上位サイトとChatGPTの引用元は、あまり一致しませんでした。ChatGPTの159件の引用のうち、同じ質問でGoogle検索上位に出ていたサイトは14件、8.8%となっています。
一方、AIによっても引用の傾向に違いがあり、Geminiでは265件の引用のうち96件、36.2%がGoogle検索上位サイトでした。
この結果だけでは、SEOがAIでの露出につながらないとは言えません。ただ、Google検索での順位だけで、少なくともChatGPTで引用されるかどうかを判断しにくいことは確認できました。
自社のネット上での見え方を確かめるときは、次の3つを分けて見ましょう。
- お客様が使う言葉の文章でGoogle検索したとき、上位に誰がいるか
- CRMにある既存顧客の年代を入れて聞いたとき、AIの回答に自社が出てくるか
- 同じ質問を何度か聞いて、出方が変わるか
Genview:https://genview.io/
今回の数字について
- Google検索:2026年9月11日と9月12日、シークレットウィンドウで、AIと同じ3つの質問文と、キーワード3つ(「透明感 化粧品」「透明感 化粧品 20代」「透明感 化粧品 40代」)を検索し、上位に表示されたサイトを記録(7〜9件)
- AIの回答:2026年9月11日と9月12日、ChatGPTとGeminiに同じ質問を5回ずつ投げ、回答本文と引用元のURLをそのまま記録しました(3問×2つのAI×5回×2日=60回分)。記録には、弊社で開発しているAIの引用元を追跡するツールを使っています。引用はページ単位ではなく、サイト(ドメイン)単位で集計しました
- 8月の調査「SEO対策だけでGEO対策は不要か?化粧品業界30クエリで実際に検証してみた」:https://genview.io/lab/seo-vs-geo-cosmetics-30-queries
- この調査から言えないこと:Googleで上位にいることがAIの引用につながる(またはつながらない)という因果は測っていません。同じ時期に観測した2つの結果が、どれだけ一致していたかを数えたものです。AIでの見え方が、CVRやLTVなどの売上の指標にどう影響するかも、今回は測っていません
- AIの回答は時期や質問によって変化します。今回の数字は2026年月9時点のものです
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