Shopify、2026年第2四半期決算:流通総額は32%増、AI経由の流入・注文が3倍に

Shopifyは、2026年第2四半期(4~6月)の決算を発表しました。売上高と、Shopifyを通じて販売された商品の流通総額を示すGMVは、ともに前年同期比30%を超える成長となっています。

今回の発表では、Shopify Paymentsの利用拡大に加え、AI経由のストアへの流入や、AI検索を起点とした注文が大きく増えていることも明らかになりました。本記事では、Shopifyの決算内容とともに、AIによって変わり始めた商品発見や購入体験について紹介します。

売上高は34%増、流通総額は32%増

2026年第2四半期の売上高は、前年同期比34%増の35億8,300万ドルとなりました。Shopifyを通じて販売された商品の流通総額を示すGMVも、同32%増の1,155億6,700万ドルに拡大しています。

粗利益は31%増の17億800万ドル、営業利益は68%増の4億8,800万ドルでした。営業利益率も前年同期の約11%から約14%へ上昇しており、事業規模の拡大とあわせて収益性も改善しています。

Shopifyによると、GMVの成長は一部の加盟店や地域に偏ったものではなく、加盟店の規模、販売チャネル、地域を問わず幅広くみられたといいます。前年同期も高い成長を記録していましたが、そこからさらにGMVの伸びが加速しました。

決済などのマーチャントソリューションが成長を牽引

Shopifyの売上高は、月額利用料などを中心とする「サブスクリプションソリューション」と、決済など加盟店の取引に関連する「マーチャントソリューション」に分けられます。

サブスクリプションソリューションの売上高は、前年同期比22%増の8億200万ドルでした。一方、マーチャントソリューションの売上高は37%増の27億8,100万ドルとなり、Shopify全体の売上高の約78%を占めています。

加盟店の取引量が増えるほど、決済をはじめとする関連サービスの利用も増えるため、マーチャントソリューションがShopifyの成長を牽引する構造となっています。

Shopify Paymentsの利用率は68%に上昇

2026年第2四半期に、Shopify Paymentsを通じて処理された決済額は780億ドルとなりました。GMVに占めるShopify Paymentsの利用率は68%で、前年同期の64%から4ポイント上昇しています。また、Shopify Paymentsがサービス開始以来処理してきた累計決済額は、2026年第2四半期に1兆ドルを突破しました。

Shopifyを利用する加盟店の流通額が増えているだけでなく、その決済をShopify Paymentsが担う割合も高まっています。ShopifyがECサイトの構築システムにとどまらず、販売から決済までを支えるコマース基盤として利用されていることがわかります。

AI経由の流入と注文が前年同期比3倍に

今回の発表で特に注目したいのが、AIを経由した流入と注文の増加です。Shopifyによると、AIから加盟店のストアへの流入は前年同期比で3倍に増加しました。AI検索を起点として発生した注文も、同じく3倍になっています。

さらに、AI経由で訪れた新規購入者の注文率は、その他のチャネルの2倍だったとしています。これらの数値は、Shopifyのグローバル検索APIの利用データに基づくものです。

これまでEC事業者の集客では、検索エンジン、広告、SNS、モールなどが主な入口となっていました。今後は、生成AIやAIエージェントに商品について相談し、その回答をもとにECサイトを訪問する行動も広がっていく可能性があります。

AIは業務を効率化するためのツールだけでなく、新たな商品発見や集客のチャネルになりつつあるといえるでしょう。

商品情報の提供から購入完了までをAIに対応

Shopifyは、AIを通じた商品発見から購入完了までを支えるため、「Catalog」「Checkout」「UCP」などの仕組みを展開しています。

10億点以上の商品情報をAIに提供

「Shopify Catalog」は、Shopify上の商品情報やバリエーション情報をAIエージェントに提供する仕組みです。

Shopify Catalogには10億点以上の商品が掲載されています。Shopifyによると、Catalogの商品情報を利用したAI検索は、Webサイトから収集したデータを利用するAI検索と比べて、購入につながる割合が2倍になったとのことです。

Webサイトから情報を収集するだけでは、商品の価格や在庫、バリエーションなどをAIが正確に把握できない場合があります。Shopifyは、加盟店が登録した商品・バリエーション情報をAIに提供することで、商品発見の精度を高めようとしているのです。

また、AIに起因すると判定された注文の75%は、上位100カテゴリー以外から発生しました。AI経由の注文が、幅広いカテゴリーに広がっていることを示すデータといえます。

AIの商品提案を購入完了につなげる

Shopifyは、Catalogで商品やバリエーションの情報をAIエージェントにつなぎ、「Checkout」で購入者の意向を取引完了につなげる仕組みを整えています。また、「UCP」によって、AIエージェント、加盟店、プラットフォーム間の相互運用を支えているのです。

AIが商品を提案するだけでなく、そのまま購入手続きまで進められるようにすることで、ShopifyはAIとの会話を起点とした新たな購入体験を支えようとしています。

加盟店向けAI「Sidekick」の利用も拡大

Shopifyは、消費者の商品検索だけでなく、加盟店の運営にもAIを組み込んでいます。加盟店向けAIアシスタント「Sidekick」では、2026年第2四半期に3,400万件の会話が行われました。

Sidekickを日次で利用する加盟店数は、前年同期の3.6倍に増加しています。また、Sidekickを使って作成されたカスタムアプリは3万6,000件となり、第1四半期の1万2,000件から3倍に増えました。

Shopifyの管理画面には、AI経由の販売状況を確認するための機能も追加されています。加盟店は、自社がどのAIチャネルに対応しているかを確認できるほか、購入者がAI上で行った実際の検索内容や、自社商品が検索結果のどの位置に表示されているかを調べることができるのです。また、AIによる商品発見は増えているものの購入につながっていない場合には、Sidekickが改善すべき点を提示してくれます。

まとめ:AI経由の販売を見据え、商品情報の整備が重要に

今回の決算では、AIがEC事業者の業務を支援するだけでなく、実際の商品発見やサイトへの流入、注文につながり始めていることが示されました。

Shopifyは、商品情報をAIにつなぐCatalog、購入を完了させるCheckout、加盟店の運営を支援するSidekickを整備し、消費者と加盟店の双方にAIを組み込もうとしています。EC事業者にとっても、検索エンジンやモール内検索への対応に加えて、AIが商品を正しく理解し、購入候補として提示できる状態をつくることが重要になりそうです。

商品名や説明文だけでなく、価格、在庫、サイズ、色などの商品・バリエーション情報を正確かつ最新に保つことや、AIチャネルからの流入や注文、購入率を確認する視点が、今後さらに求められるでしょう。

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