株式会社帝国データバンクが、国内における「書店」マーケットに関する調査・分析結果を発表しています。

調査サマリー

2025年度の全国「書店市場」(事業者売上高ベース)は、ホビー関連の売り上げなどの非書籍事業拡大により1兆円台の維持が見込まれる結果となっています。しかし、2015年度(約1兆4000億円)と比較すると2割の縮小が進んでいます。現在のペースで縮小が継続した場合、数年以内に書店市場全体が1兆円を下回る可能性が指摘されています。

調査対象は書籍・雑誌小売業で、業績等のデータは2026年6月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル(COSMOS2、約151万社収録)、企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計されています。なお、2025年度の業績数値には一部推定・予想値が含まれています。

書店の約4割が赤字経営、市場は1兆円台維持も縮小傾向が継続

若年層を中心とした本を読まない「活字(書籍)離れ」の進行に加え、インターネット書店の台頭、電子書籍の普及が進展しており、雑誌や漫画本を売り上げの中心とする書店の経営環境は引き続き厳しい状況が続いています。2025年度の全国「書店市場」(事業者売上高ベース)は1兆円台の維持が見込まれていますが、ホビー関連の売り上げなど非書籍事業の拡大による影響が大きくなっています。また、市場規模は2015年度(約1兆4000億円)から2割縮小しており、このペースが継続すれば、数年以内に書店市場全体が1兆円を下回る可能性があります。

書店市場規模推移

業績動向を見ると、2025年度に前年度から「増収」となった書店の割合は13.8%となり、2年ぶりに10%台に低下し、コロナ禍以降で最も低い水準となりました。一方で、「前年度並み」(58.9%)は過去20年で最高を記録したほか、「減収」(27.3%)は5年ぶりに上昇するなど、書店の売り上げは頭打ち感が強まっている状況です。

損益動向では「減益」となった割合が31.0%、「赤字」は38.7%を占めており、赤字と減益を合わせた「業績悪化」書店の割合は69.7%となり、2022年度(72.3%)以来の高水準となっています。

ヒット作品はあるものの、特需は生まれず苦戦

コミック売り場を集客の要とする書店では、『ONE PIECE』などの定番シリーズに加え、アニメ化で大ブレイクした『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』などのヒット作品もありました。しかしながら、コロナ禍に見られた『鬼滅の刃』のような一大特需は生まれず、苦戦が目立つ結果となっています。電子書籍や読み放題サービス、ネット通販の普及なども重なり、リアル店舗で書籍を購入する機会が減少していることも、書店市場の縮小を招く要因となっています。

テナント賃料や人件費増加が経営を圧迫

他方、書店は広い売り場を維持するための「テナント賃料」の負担が重くなっているほか、最低賃金の引き上げによる「人件費」増と、単行本の販売数量減により赤字計上を余儀なくされた書店も多数ありました。

書店の市場退出は高水準で推移、1万店の大台を割り込む

こうした経営環境のなか、書店の市場退出は高水準で推移しています。2016年度以降、倒産や休廃業によって市場から退出した書店は累計610社に達しています。また、一般社団法人日本出版インフラセンター(東京・千代田)によると、全国の書店数は25年度末時点で9993店と1万店の大台を割り込むなど、書店市場は縮小が続いている状況です。

制度改革と非書籍ビジネスへの転換が進む

こうしたなか、大手書店を中心に書籍販売の粗利益率30%を目指す制度改革の動きも見られます。ただし、足元では中小書店を中心に売れない単行本や雑誌の棚を縮小し、1坪あたりの収益性が極めて高いホビー領域への参入といった「非書籍ビジネス」への転換が進んでおり、実店舗で紙の本を売るビジネスモデルが岐路に立たされています。

今後の展望

地域に書店が存在し続けるためには、国や行政など外部からの支援とともに、従前からの「書店」の枠を超えた店舗づくりを視野に入れる時期に来ています。書店業界は大きな転換期を迎えており、今後の動向が注目されます。

出典元:株式会社帝国データバンク

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