Amazon、2026年第1四半期決算:配送高速化や広告拡張、生成AI活用が進展

Amazonは、2026年第1四半期決算を発表しました。広告事業やAWSが引き続き成長したほか、配送高速化や購買体験における生成AI活用も進みました。売上高は1,815億ドル(前年同期比17%増)、営業利益は238億ドル(同30%増)となっています。

本記事では、リテールやマーケットプレイス、広告、AWSなど各領域の動向に加え、購買体験や出品者支援における生成AI活用について整理します。

業績総括:コマースとAWSが成長を牽引

Amazonの2026年第1四半期売上高は1,815億ドルとなり、前年同期比17%増加しました。為替変動の影響を除いた場合でも15%増となっており、引き続き高い成長率を維持しています。

セグメント別売上は以下の通りです。特にAWSが全体収益を大きく牽引しています。

  • 北米:1,041億ドル(前年同期比12%増)
  • 国際(北米以外):398億ドル(同19%増)
  • AWS:376億ドル(同28%増)

コマース領域では、広告売上が172億ドルとなり、前年同期比24%増加しました。Amazonは決算説明会において、広告事業の直近12か月間の売上が700億ドルを超えたことも明らかにしています。

また、配送速度の向上や品揃え拡大にも取り組んでおり、商品販売数の成長率は15%となりました。AI基盤やデータセンターへの投資拡大も継続しています。

リテール:配送高速化と品揃え拡大で購買体験を強化

即日(Same-Day)配送やAmazon Nowを拡大

Amazonのオンラインストア売上は643億ドルとなり、前年同期比12%増加しました。実店舗売上も58億ドルで同5%増となっており、オンライン・オフライン双方で成長を維持しています。

配送面では、即日配送(Same-Day配送)の高速化を継続しています。米国では、日用品や家電など9万点以上の商品を対象に、1時間配送および3時間配送オプションを拡大しました。1時間配送は数百都市で、3時間配送は2,000以上の都市で利用可能となっています。

また、30分以内の配送を目指す「Amazon Now」については、東京およびブラジルの主要8都市へ展開を拡大。Amazonは2026年中に、米国を含む各地域でサービス提供エリアをさらに拡大する方針です。

Prime Dayについては、2026年も多くの国で6月開催を予定しています。Amazonは、ファッションや日用品、食品、家電など35以上のカテゴリーでセールを展開するとしています。

品揃え拡大とAI活用で商品探索を支援フォームの終わり

商品ラインアップの拡充も進めています。2026年第1四半期には、Ted BakerやPAPATUI by Dwayne Johnson、Chosen Foodsなど、600を超える新規ブランドを追加しました。

購買体験における生成AI活用も進展しています。AIショッピングアシスタント「Rufus」では、「Sponsored Products(スポンサープロダクト広告)」や「Brand Prompts」を導入。Brand Promptsでは、ブランド情報や商品特徴を会話形式で表示できるようになっており、商品理解や比較検討を支援します。

さらに、AIによる商品要約機能「Hear the highlights」に、新たに対話機能「Join the chat」を追加。ユーザーは商品概要を音声で確認しながら、その場で質問し、リアルタイムで回答を受け取れるようになっています。Amazonによると、「Hear the highlights」は累計4,000万分以上利用されています。

マーケットプレイス:出品者支援機能の強化を推進

出品者向けサービス売上は14%増、出品者販売比率は60%に

Amazon.comの出品者向けサービス売上は416億ドルとなり、前年同期比14%増加しました。販売手数料やFBA(フルフィルメント by Amazon)、配送関連サービスなどが成長を支えています。

2026年第1四半期における出品者販売比率は、全販売ユニットの60%となりました。Amazonのマーケットプレイスでは、引き続き外部出品者による販売が中心となっています。

また、Amazon全体の商品販売数の成長率は15%となり、コロナ禍終盤以来の高水準となりました。同社は、配送速度改善や品揃え拡大などが成長を支えていると説明しています。

Seller Centralに生成AI機能を導入

出品者向け機能では、Seller Centralに生成AIを活用した新機能を導入。この機能では、販売データや主要指標、改善提案などを、出品者ごとにパーソナライズした形で可視化できます。出品者が販売拡大に向けたアクションを取りやすくすることが狙いです。

また、Rufusに導入した「Brand Prompts」では、ブランド側が商品特徴やブランド情報を会話形式で提示できるようになりました。ユーザーが商品比較や質問を行う中で、ブランド側の訴求を組み込める仕組みとなっています。

広告・販売支援機能の拡充を進める

このほか、生成AIを活用した広告制作支援ツール「Creative Agent」の展開地域も拡大しました。Creative Agentは、広告調査や企画、クリエイティブ制作を対話形式で支援するツールで、Amazonの購買データを活用しながら広告制作を支援します。

2026年第1四半期には、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、スペイン、イギリスで利用可能となっています。

Amazonは、マーケットプレイス運営だけでなく、広告・分析・販売支援機能まで含めた出品者向け基盤の強化を進めています。

広告事業:Prime VideoやRufusを活用した広告拡張が進展

広告売上は24%増、直近12か月間売上は700億ドル超に

Amazon.comの広告売上は172億ドルとなり、前年同期比24%増加しました。Amazonは決算説明会において、広告事業の直近12か月間売上が700億ドルを超えたことも明らかにしています。

広告事業では、Amazon内の購買データや視聴データを活用した広告基盤の拡張を進めています。

Prime VideoやNetflixへの広告展開を拡大

Prime Videoでは、NBA SoFi Play-In Tournamentの独占配信を実施しました。6試合の平均視聴者数は約280万人となり、前年のケーブル放送比で18%増加しています。Amazonは、Prime Videoを広告配信面としても活用しています。

また、Amazon Adsを利用する広告主向けに、「Amazon Audiences」の対象をNetflix広告へ拡大。これにより、Amazonの購買・視聴・閲覧データを活用しながら、Netflix上で広告配信を行えるようになっています。

RufusやCreative Agentを活用した広告機能を強化

AIショッピングアシスタント「Rufus」においても、広告機能を拡充しました。導入された「Sponsored Products(スポンサープロダクト広告)」や「Brand Prompts」では、ユーザーとの会話の中でブランド情報や商品特徴を表示できます。Amazonによると、Rufus上でBrand Promptsを利用したユーザーのうち、約20%がブランドに関する会話を継続しているとしています。

このほか、生成AIを活用した広告制作支援ツール「Creative Agent」の展開地域も拡大しました。Creative Agentは、広告調査や企画、クリエイティブ制作を対話形式で支援するツールで、Amazonのリテールデータを活用しながら広告制作を支援します。

Amazonは、ECプラットフォームとして蓄積する購買データや視聴データを活用しながら、広告配信面や広告制作支援機能の拡張を進めています。

AWS:AI需要を背景に28%成長、Bedrock利用も拡大

Bedrock利用拡大でAWS成長が加速

AmazonのAWS売上は376億ドルとなり、前年同期比28%増加しました。営業利益は141億ドルで、営業利益率は37.7%となっています。アンディ・ジャシーCEOは決算説明会で、AWSの成長率について「15四半期で最速」と説明しています。

AWSでは、生成AI関連需要の拡大が成長を支えています。Amazonによると、2026年第1四半期のAmazon Bedrockにおける処理トークン数は、過去累計を上回る水準となりました。また、Bedrockにおける顧客支出は前四半期比170%増加しています。

AIモデル提供も拡大しています。Amazonは、OpenAIのGPT-5.4をAmazon Bedrock上で限定プレビュー提供すると発表。また、AnthropicのClaude Opus 4.7や、サイバーセキュリティ向けモデル「Claude Mythos Preview」も提供開始しています。

OpenAIやAnthropicとの連携を拡大

AIエージェント関連機能の拡張も進めています。2026年第1四半期には、「Amazon Bedrock Managed Agents」や「Agent Registry」などを発表しました。企業は、AIエージェントの共有や再利用、権限管理などを行えるようになります。

また、OpenAIやAnthropicは、AWSの独自AIチップ「Trainium」の利用を拡大しています。OpenAIはAWS上で約2GW規模、Anthropicは最大5GW規模のTrainium利用を進める計画です。このほか、MetaもAWS独自チップ「Graviton」を活用し、AI関連システムを運用しています。

Amazonは決算説明会で、TrainiumやGravitonを含む独自チップ関連事業の年間売上規模が200億ドルを超えたことも明らかにしました。

総括:複数事業の連携で拡張を続けるAmazon経済圏

Amazonの2026年第1四半期決算では、コマースとAWSがそろって成長しました。特に広告事業とAWSは引き続き高い成長率を維持しており、Amazon全体の収益拡大を支えています。

リテールおよびマーケットプレイス事業では、即日配送(Same-Day配送)や「Amazon Now」など物流体験の強化に加え、RufusやSeller Central向けAI機能など、購買体験や出品者支援における生成AI活用も進みました。広告事業でも、Prime VideoやNetflix向け広告、Rufus内広告など、広告配信面の拡張を進めています。

また、AWSではBedrockや独自AIチップ「Trainium」を中心に、生成AI関連需要の取り込みを進めています。OpenAIやAnthropic、Metaなどとの連携を拡大しながら、AIインフラ領域への投資を継続しています。

Amazonは、リテール、マーケットプレイス、広告、AWSを相互接続しながら事業規模を拡大しています。今回の決算では、配送、広告、購買体験、出品者支援など各領域において、生成AIを組み込む動きが進展していることも示されました。

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