
株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所が、翌月の消費意欲を数値化する調査結果を公表しました。同研究所は全国の20歳から69歳までの男女1,500名を対象として、消費の今後の動向に関するデータを毎月継続的に収集し、その分析結果を「来月の消費予報」として発表しています。
今回の調査は2026年2月5日から7日にかけて実施されました。
調査の結果によると、2026年3月における消費意欲指数は44.0点となりました。前月との比較では+1.7ポイントの上昇を示しましたが、前年同月との比較では±0.0ポイントと変化がなく、横ばいの状態となっています。
3月のポイント
3月特有の春支度消費への意欲は高まるものの、物価高の影響が前月よりやや強まる傾向
例年、3月という時期は新生活や新年度のスタートに向けて消費マインドが活発化する傾向があり、今年も前月との比較において+1.7ポイントの上昇が見られました。しかしながら、前年同月との比較においては±0.0ポイントと横ばいとなっており、過去5年間における同月の数値としては前年に続いて最低水準を記録しています。
消費意欲指数に対する理由を自由回答形式で収集したデータを分析すると、前月との比較において、消費に対してポジティブな内容の回答が2月の276件から3月には355件へと増加している一方で、ネガティブな内容の回答は2月の973件から3月には852件へと大幅に減少していることが確認されました。
詳細に見ていくと、ポジティブな回答の中では、「新生活や新年度の準備、春物の服が欲しいなどの季節的な意欲向上」が2月の56件から3月には100件へと増加し、「季節もの以外で出費の予定や欲しいものがある」という回答も2月の135件から3月には163件へと増加しています。一方、ネガティブな回答においては、「今月までに多く使ったのでセーブ」という回答が2月の195件から3月の57件へと大きく減少しました。
前年同月との比較を見ると、消費に対してポジティブな回答は2025年3月の342件から2026年3月の355件へとほぼ横ばいで推移し、ネガティブな回答は2025年3月の881件から2026年3月の852件へとやや減少しています。具体的には、ポジティブな回答で「季節もの以外で出費の予定や欲しいものがある」が2025年3月の142件から2026年3月の163件へとやや増加した程度にとどまり、ポジティブな回答とネガティブな回答のいずれにおいても、その他に顕著な増減を示した項目は見当たりませんでした。
また、「物価高や値上げ、円安」に関する言及については、前月まで小康状態が続いていましたが、一転して前月比では増加に転じました。ただし、前年比では減少しています。具体的な件数としては、2025年3月が153件、2026年1月が76件、2026年2月が79件、そして2026年3月が107件となっています。
3月という季節柄、新生活に向けた準備や春物の衣服購入といった「春支度消費」への意欲は確実に高まっており、物価高による影響は前年と比較すると和らいでいるものの、前月との比較では再び強まる兆候も見られることから、消費意欲における本格的な春の到来にはもう少し時間がかかりそうな状況です。
消費意向は外出関連カテゴリーや新生活準備に関する分野で前月比増加傾向
「特に買いたいモノや利用したいサービスがある」と回答した人の割合は29.0%となり、前月との比較では+5.5ポイントと大幅に上昇し、前年同月との比較では+0.3ポイントとほぼ横ばいとなりました。
16のカテゴリー別に消費意向を分析すると、前月との比較において「ファッション」「旅行」「外食」「化粧品」「理美容」「レジャー」「飲料」「スマートフォンや携帯電話」「家電やAV機器」など、合計11カテゴリーで20件以上の増加が確認されました。前年同月との比較では、「化粧品」と「装飾品」が20件以上増加しています。春のシーズンに向けて、外出に関連するカテゴリーや新生活の準備に関連するカテゴリーにおいて、前月からの消費意向が高まっていることがデータから読み取れます。
今回の調査結果から、春という季節特有の消費需要の高まりと、依然として消費者心理に影を落とす物価高への懸念という、相反する要素が同時に存在している現状が浮き彫りになっています。企業や小売業者にとっては、こうした消費者心理の微妙な変化を捉えながら、適切なマーケティング戦略を展開していくことが求められる状況といえるでしょう。
出典元:株式会社博報堂












