Amazon、2025年第4四半期決算:出品者販売6割を維持、配送高速化と広告拡大が進展

Amazonは2025年第4四半期および通期決算を発表しました。売上は前年同期比で増収となり、クラウド事業AWSや広告事業の伸長に加え、リテール分野では配送速度の向上や日用品カテゴリーの拡大が成長を支えています。

同社はAI投資の拡大、物流ネットワークの効率化、出品者支援機能の強化などを進めていくとのことです。特に、同日配送の拡大やAIを活用した購買支援機能などは、EC事業者の販売環境や競争条件にも影響する取り組みとして説明されています。

本記事では、2025年第4四半期決算の内容をもとに、EC事業者に関係する主要ポイントを事業領域別に整理します。

業績総括:コマース・広告・クラウドの三軸が成長を牽引

Amazonの2025年第4四半期の売上高は2,134億ドルとなり、為替の影響を除くベースで前年同期比12%増でした。営業利益は250億ドルです。

セグメント別では、下記になっています。

  • 北米:1,270億ドル
  • 国際:507億ドル
  • AWS:356億ドル

通期ベースでは、直近12か月の売上高は7,169億ドルで前年同期比12%増。販売数量は前年同期比12%増となり、2025年の中でも高い伸び率となりました。低価格戦略、品揃え、配送速度の改善が需要増につながっているといいます。

リテール:日用品拡大と配送高速化で購買頻度が上昇

リテール事業において、品揃え拡充と価格競争力の維持、配送速度向上を重点施策として進めています。

2025年には米国ストアで400以上の新しいビューティーブランドを追加したほか、ファッション分野ではNike、Diesel、Michael Korsなどのブランドが販売を展開しました。一方、低価格帯の商品を扱う「Amazon Haul」は、10ドル未満の商品を100万点以上に拡大し、25以上の国・地域に展開しています。

カテゴリー別では、日用品分野が大きく伸びました。米国では日用品カテゴリーの成長率が他カテゴリーの約2倍となり、販売数量全体の3分の1を占めています。食料品分野では、オンライン注文とWhole Foodsを中心に1億5,000万人以上の米国顧客が利用しているとのことです。また、食品配送サービスを利用する顧客は、利用していない顧客と比べて購買頻度が2倍以上になる傾向があるといいます。

マーケットプレイス:出品者販売シェア61%、パートナー主導が継続

Amazonはマーケットプレイス型モデルを拡大しており、出品事業者(セラー)の存在感が引き続き高まっています。

2025年第4四半期におけるマーケットプレイス経由の販売数量(ユニット)比率は61%でした。これはAmazon自身の直販よりも、出品者による販売のほうが多いことを示しています。同社は、出品者向けツールやサービスの提供を継続して強化しているとのことです。これには、在庫管理や販売分析、広告運用などを支援する各種機能が含まれます。

また出品者がビジネスを拡大できるよう、AIを活用した支援機能の開発も進めています。販売パートナーの成長支援が商品選択の拡大につながり、それが顧客体験の向上につながるという構造が強調されました。

物流基盤:地域分散在庫とロボティクスが配送効率を押し上げ

Amazonは物流ネットワークの効率化と配送速度の向上を継続して進めています。2025年には、Prime会員向け配送速度が過去最速を更新しました。米国では、Prime会員向けに80億点以上の商品が当日または翌日に配送され、前年から30%以上増加。食品や日用品がその半数を占めています。

配送ネットワークでは地域分散型の在庫配置が進められており、米国内の配送ネットワークは地域単位で運用される体制が拡大しています。この取り組みにより、顧客に近い拠点に在庫を配置できるため、配送時間の短縮と配送コストの削減につながっているとのことです。

また、物流現場ではロボット導入が進んでおり、現在は100万台以上が稼働。これにより作業効率の向上とコスト最適化を図っているとしています。同社は今後も在庫配置の最適化、梱包効率の改善、配送距離の短縮などを進め、生産性向上を継続する方針です。

広告事業:購買データ連動型広告が売上を拡大

広告事業は拡大を続けており、2025年第4四半期の広告売上高は213億ドルで、前年同期比22%増となりました。

広告サービスは、検索結果や商品ページに表示されるスポンサー広告を中心に、動画・ストリーミング広告などを組み合わせたフルファネル型の提供へ拡張しています。動画広告では、Prime Video広告が16か国で展開されており、広告付き視聴の平均ユーザー数は世界で3億1,500万人となりました。これは2024年初頭の約2億人から増加しています。

広告運用機能でもAI活用が進んでいます。Amazonは、広告戦略の作成、ターゲティング設定、分析までを支援するAIツールを提供しており、ブランドは広告キャンペーンの作成作業を従来よりも短時間で実施できるとのことです。また、クリエイティブ生成支援機能では、対話形式で広告アイデアを作成し、キャンペーン設計まで行える仕組みが提供されています。

AWS:AI需要を背景に成長率が加速、インフラ投資を拡大

AWSの2025年第4四半期売上高は356億ドルで、前年同期比24%増となりました。この成長率は直近13四半期で最も高い水準です。AWSの年間売上ランレートは1,420億ドル規模に達しています。Amazonは、企業のクラウド移行需要とAI関連需要の双方が伸びていることが成長の要因だといいます。

AI関連では、独自チップ「Trainium」および「Graviton」を含むチップ事業が、年間100億ドル超の売上規模に成長。Trainiumは競合GPUと比べて30~40%高い価格性能を実現しているとされています。

AI開発基盤「Bedrock」は年率換算で数十億ドル規模の事業となっており、顧客利用額は前四半期比60%増でした。AWSの受注残高は2,440億ドルで、前年同期比40%増、前四半期比22%増となっています。

Amazonは、AI需要について供給能力があればさらに成長可能との認識を示しており、2025年にはデータセンター電力容量を3.9ギガワット追加しました。

AI戦略:購買体験と運営基盤の両面で導入が進展

AmazonはAIを全事業に横断的に導入しており、顧客体験の改善と業務効率化を進めています。社内ではすでに1,000以上のAIアプリケーションを導入または開発中とのことです。

リテール領域では、AIショッピングアシスタント「Rufus」の利用が拡大しました。2025年には3億人以上の顧客が利用しており、利用者は非利用者と比べて購入完了率が約60%高いとされています。

また、画像検索機能「Lens」の利用回数は前年同期比45%増となりました。スマートフォンのカメラやスクリーンショット、バーコードを使って商品検索ができる機能です。さらに、指定価格に到達した際に自動購入する機能や、他社ECサイトの商品を代理購入する機能など、エージェント型ショッピング機能の拡張も進められています。

Amazonは、AIエージェント型購買について、商品データや購買履歴を持つ小売事業者側のエージェントが重要になるとの見方を示しています。

成長戦略:AI・物流・クラウドへの投資を継続

Amazonは今後も成長投資を継続する方針とのことです。特に設備投資の大半はAWS関連に充てられる予定で、クラウドおよびAI領域への投資を拡大すると説明しています。2026年第1四半期の見通しとして、売上高は1,735億~1,785億ドル、営業利益は165億~215億ドルの範囲を予想しています。

リテール分野では、配送速度の向上とコスト効率の改善を両立させる取り組みを継続。具体的には、在庫配置の最適化、配送距離の短縮、梱包効率の改善、ロボティクス導入の拡大などが挙げられています。

また、同日配送や短時間配送サービスの提供エリア拡大、価格競争力の維持、日用品カテゴリーの拡充などを通じて、顧客利用頻度の向上を図るとしています。

総括:複数事業の同時成長で拡張を続けるAmazon経済圏

Amazonの2025年第4四半期決算では、リテール、広告、AWSといった主要事業がそれぞれ伸長し、複数領域が成長を支える構造が確認されました。

リテールでは日用品や食品の拡大と配送速度向上が利用頻度の増加につながり、マーケットプレイスでは第三者販売比率の高さが維持されています。広告事業は購買データを活用した配信基盤を背景に拡大し、AWSはAI需要を取り込み成長率が加速しています。

物流効率化、AI導入、クラウド投資を継続しながら、顧客体験の向上と事業拡大を進めていくとのことです。

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