一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、企業におけるIT投資やIT戦略に関する動向を把握する「企業IT動向調査2026」(2025年度調査)を実施し、その速報値を公表しました。この調査結果は、IT戦略を立案する際の参考資料として活用されることを目的としているとのことです。

IT予算の増加傾向が継続、5年連続でDI値が上昇

情報システムを利用する企業のIT予算については、前年度から引き続き増加する傾向が見られています。2025年度のIT予算について、前年度に比べて「増加した」と答えた企業の割合は全体の52.6%に上りました。

「増加」の割合から「減少」の割合を引いた指標となるDI値は43.3ポイントとなり、新型コロナウイルスの影響により落ち込みを見せた2020年度以降、5年にわたって連続で上昇する結果となりました。2026年度予測におけるDI値についても39.9ポイントと高い水準が保たれており、この上昇傾向は今後も続くものと見込まれています。

※本調査における「IT予算」は、該当年度に支出を予定している金額(キャッシュベース)を基準としており、償却費などの金銭的な支出を伴わない費用については除外されています。

※DI値(計画値)については、前年度予算に対する該当年度予算の伸び率をもとに算出され、DI値(予測値)については、翌年度IT予算の増減傾向予測をもとに算出されています。

図2 IT予算の増減

AI関連投資が急増、増加理由として注目を集める

2025年度計画においてIT予算が増加した理由としては、「既存システム・基盤の刷新・更新・増強」が66.3%で最も高い割合を示し、続いて「円安・人件費高騰・ベンダー提供価格の値上げ等の影響」が46.6%、「クラウドサービス増加」が45.0%という結果になりました。

特に注目すべき点として、今回の調査から新たに選択肢として加えられた「AI関連の投資・利用料増加」が挙げられます。2026年度予測においては43.7%(第4位)に達しており、2025年度計画の36.3%から7.4ポイントと最も大きな伸びを記録しました。これは、近年におけるAI投資への強い関心と意欲を示すものといえます。さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透を背景に、「事業変革に向けたデジタル化」をIT投資増加の理由として挙げる企業の割合も5.0ポイント上昇しています。

図3 IT予算の増加理由

業種別では建築・土木が高水準を維持、サービス業が大幅に伸長

業種グループごとに見ていくと、「建築・土木」のDI値が2025年度計画において56.2ポイントとなり、2024年度以降一貫して全業種の中で最も高い水準を維持する形となっています。

また、「サービス」業種については、2024年度計画の32.9ポイントから2025年度計画では47.5ポイントへと14.6ポイント増加し、今期において最も大きな伸びを示しました。

図4 業種グループ別 IT予算の増減

DX推進状況や企業規模によるDI値の差が縮小傾向に

これまでは、自社においてDX推進が進んでいると認識している企業や、売上高が大きい企業ほどDI値が高くなる傾向が見られていましたが、近年ではその差が縮小しつつあります。この背景には、円安や価格改定といった企業側の意欲や取り組みには関係しない「避けられないコスト」が、企業の属性に関わらず共通の課題として浮上していることが影響していると考えられます。

図5 DX推進状況別 IT予算の増減

業務プロセスの効率化が最大の課題、業種によって優先順位に違い

IT投資によって解決を図りたい現在直面している経営課題については、全体として「業務プロセスの効率化・スピードアップ」が34.6%で最多となりました。ただし業種別に分析すると、「建築・土木」では効率化への期待が49.3%と突出して高い一方で、「金融・保険」では「既存ビジネスの強化(28.6%)」や「新規ビジネスの創出(26.2%)」が上位に位置しています。各業界が置かれている環境や状況に応じて、ITの活用段階を深化させている実態が明らかになりました。

図6 IT投資で解決したい現在直面している経営課題(1位・2位・3位)
図7 業種グループ別 IT投資で解決したい現在直面している経営課題(1位)

調査の概要について

「企業IT動向調査」は、ITユーザー企業におけるIT動向を把握する目的で、1994年度より継続的に実施されている調査です。経済産業省商務情報政策局の監修のもと、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が実施しています。「企業IT動向調査2026」の調査期間は2025年9月6日から10月22日までで、調査対象は東証上場企業およびそれに準じる企業4500社となっており、各社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケート形式で957社から回答を得ています。本リリースは、調査結果を速やかにユーザー企業の皆様に活用していただくために「速報値」として公開されるものです。正式なデータや詳細な分析結果については、ダイジェスト版と詳しい分析結果を掲載した報告書が2026年4月に公開される予定となっています。

出典元:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS) プレスリリース

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