美容室専用ECプラットフォーム「SALON TOWN」が美容師向け在庫レス物販スキームを提供開始、2026年の全国展開へ

株式会社SALON TOWNは、美容室専用ECプラットフォーム「SALON TOWN(サロンタウン)」において、ディーラー各社との物流連携により、美容師が在庫を持たずに物販を提案できる新しいスキームの提供を開始したことを発表しました。このスキームにより、美容師・美容室は在庫リスクを負うことなく専用ECを持ち、顧客にサロン専売品を安心して提案することが可能になります。

SALON TOWN イメージ

新スキームの仕組み

今回提供される新スキームでは、「物流・在庫管理」をディーラー各社が担当し、「ECシステム・会員管理」をSALON TOWNが担当する形で役割分担が明確化されています。これにより、メーカー規約に則った正規流通の枠組みの中での運用が可能となります。

新スキームの具体的な流れは以下の通りです。

  1. 美容師・美容室がSALON TOWNに登録し、専用のECアカウントを取得します
  2. ディーラー各社が、メーカー正規ルートで商品を仕入れ、SALON TOWNと連携した物流を担当します
  3. 顧客は、SALON TOWN上のマイページに表示される「会員バーコード」を保有します
  4. オンライン(EC上)で商品を購入する際、この会員バーコードに購入履歴が紐づきます
  5. 購入情報がSALON TOWNを通じて紹介元の美容師・美容室アカウントに紐づき、売上の一部が還元される仕組みとなっています

このように、「流通と在庫はディーラー」「決済と会員管理はSALON TOWN」という分業体制を敷くことで、美容師・美容室は物販における在庫・管理・発送の負担から解放され、本来の技術・接客に集中できる環境が整います。

背景:物価高と不正流通に悩む美容業界

近年の物価高や人件費上昇により、美容室の経営は厳しさを増しています。一方で、サロン専売品の導入・在庫負担、EC運用の手間、大手ECサイトでの不正流通といった課題が重なり、多くの美容師が以下のような悩みを抱えている状況です。

  • 「ヘアケアはサロン外で購入されている方がほとんど」
  • 「独立した個人サロンでは、以前の職場で扱っていたブランドを簡単に導入できない」

SALON TOWNとディーラー各社は、こうした現場の声に応える形で、「美容師一人にひとつのEC」を無在庫で持てる仕組みと、正規流通の中でメーカー・ディーラー・美容師・お客様がそれぞれメリットを得られるエコシステムを目指して本スキームを構築したと説明しています。

招待制EC登録と「不正登録」防止への取り組み

現在、多くのメーカーが頭を悩ませているのが、EC会員登録における「不正登録」の問題です。本来は招待制であるにもかかわらず、ワンタイムパスワード(OTP)を用いた招待コードが店舗外で拡散され、実際には来店していないお客様が多数登録してしまうケースが発生しています。

これは、店舗で地道に会員を案内しているサロンや美容師にとって非常に不公平であり、またメーカーにとっても「どこで、誰に向けて販売されているのか」が見えづらくなる大きな要因となっています。

SALON TOWNでは、この課題に正面から向き合うため、ワンタイムパスワード(OTP)と位置情報を組み合わせた新しい登録システムを開発したことを発表しています。このシステムでは、以下の条件を満たさない限り会員登録ができないとのことです。

  • サロンの半径500メートル以内にユーザーが実際にいること(位置情報による判定)
  • 招待コード(OTP)の有効時間が「発行から1分以内」であること

これにより、店舗にいない状態での一斉登録や、SNS・掲示板等へのOTPばらまき登録を実質的に防止することが可能となります。

この仕組みを採用することで、以下のようなメリットが生まれるとSALON TOWNは説明しています。

  • 店舗で真面目に会員を集めている美容師・サロンが、フェアな条件で会員数を伸ばせます
  • メーカーに対して「どのサロンで、どのように会員が増えているか」を明確に示すことができます
  • 不正登録やグレーなEC流通に対して、技術的な抑止力を持ったプラットフォームであることをアピールできます

SALON TOWNは、単に「売れるEC」を目指すのではなく、メーカー・ディーラー・サロン・美容師・お客様の全員にとって、公正で信頼性の高い流通基盤であることを重視しており、この登録システムはその中核となる取り組みの一つだと説明しています。

位置情報を活用した会員登録システム
事前にいれていただくサロン情報で位置情報を共有。これにより来店した顧客の方しか利用ができないECを実現。

AIレコメンドによる「一人に一人のビューティコンシェルジュ」

SALON TOWNのECは、単に商品が並んでいるだけのサイトではないと同社は説明しています。お客様一人ひとりに合わせた提案を行うために、AIによるレコメンド機能を搭載しているとのことです。

AIは、以下のような情報をもとに、お客様ごとに最適な商品を提案します。

  • 過去に購入した商品や、閲覧した記事・カテゴリ
  • 年齢や髪質・悩みに関する登録情報
  • 今後連携予定の予約機能を通じた施術履歴(例:縮毛矯正・パーマ・ショートカット など)

具体的には、以下のようなレコメンドが可能だと同社は説明しています。

  • 予約メニューで「縮毛矯正」を選択したお客様には、縮毛矯正後の髪をケアするためのシャンプー・トリートメント・ホームケア製品
  • 「カール」「パーマ」メニューを利用したお客様には、カールを美しくキープするムースやトリートメント
  • 「ショートにカット」した履歴があるお客様には、ショートスタイルを楽しむためのワックスやオイル
  • 「においが気になる」といったニーズには、デオドラント機能をもつケアアイテムや頭皮ケア商品

これにより、お客様にとっては「自分専属のビューティコンシェルジュや美容コンサルタントが、いつもそばにいる」ような体験がオンライン上で実現します。技術でデザインをつくる美容師と、その技術・履歴・悩みに合わせてプロダクトを提案するAIコンシェルジュがタッグを組むことで、お客様満足度の向上と物販売上の両立を目指していると同社は述べています。

SALON TOWNのコンセプト:「美容師一人に、ひとつのEC。」

SALON TOWNが掲げるのは、「美容師一人に、ひとつのEC」というコンセプトです。個人サロン・一人サロンのオーナーや、大型サロンのスタイリスト一人ひとりが、在庫レスで自分専用のECを持ち、お客様にとっての「かかりつけ美容師」としてオンラインでもオフラインでも寄り添える状態を目指しているとのことです。

ECサイトを持つだけでは売れないことを、SALON TOWNは現場の経験から理解していると説明しています。そのため本スキームでも、以下のようなEC運用のサポートも含めて提供していく方針だとしています。

  • 商品ページづくり
  • SNS・広告を活用した集客
  • リピート購入を促す仕組みづくり

今後の展開:2026年、全国展開を視野に

同社によると、本スキームは2026年の本格ローンチに向け、ディーラー各社との連携を進めながら段階的にエリアを拡大していく予定だとのことです。

また、SALON TOWNでは個人サロン・一人サロンのオーナーを支援するための新しい予約システムの開発も進行中であることを発表しています。大手予約サイトとジョインしながらも、LINEで完結できるシンプルな予約導線を、手の届きやすい価格帯で提供する構想があるといいます。こちらの詳細については、別途あらためて正式発表が予定されています。

株式会社SALON TOWN 代表取締役社長 田中健誠氏のコメント

「物価高の中で技術料金を上げざるを得ない」「でも、お客様の負担を考えると大きく値上げしづらい」——。そんなジレンマを抱える美容師・美容室は少なくありません。

SALON TOWNはディーラー各社とともに、「物販の売上を正しく美容師に還元することが、業界全体の健全化と価格改定への後押しにつながる」と考えていることを明らかにしています。

今回のスキームは、美容師が無在庫で安心して専売品を提案できる環境を整えつつ、正規ルートによる流通と、メーカー・ディーラーの価値を守るための一つの答えであると同社は位置づけています。美容師がもっと輝ける美容業界に向けて——。SALON TOWNは、パートナーであるディーラー各社と連携しながら、新しいエコシステムづくりに挑戦していくとのことです。

会社概要

サービス名:SALON TOWN
内容:美容室専用ECプラットフォームの提供、EC運用支援 ほか
運営会社:株式会社SALON TOWN
所在地:北海道札幌市中央区南二条西2丁目8番地1号 NC北専ブロックビル3階
代表者:代表取締役社長 田中 健誠

出典元:株式会社SALON TOWN プレスリリース

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