Z世代の約6割が生活費のやりくりに苦しみ「食費」から節約 自炊が招くフードロスの実態調査

脱炭素関連商品・サービスや事業の開発を目指す生活者共創型プラットフォームを展開するEarth hacks株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:関根澄人)は、LINEヤフー株式会社、株式会社seamint.と共同で設立した「デカボLab」において、Z世代のフードロスに対する意識調査を実施したことが発表されました。

調査の結果によると、約6割のZ世代が「生活費のやりくりが苦しい」と回答し、節約の対象として最も多く挙げられたのが「食費」だったとのことです。そのため多くの人が自炊に取り組んでいますが、一人暮らしでは食材を使い切れず、フードロスにつながってしまうケースも少なくないようです。節約のために始めた自炊で、結果的に食品を無駄にしてしまうという、暮らしの中のジレンマが今回の調査から浮かび上がっています。

調査結果まとめ

Z世代の約6割が「生活費のやりくりが苦しい」と回答

「最近、生活費が厳しいと感じることはありますか?」という質問に対し、「非常に感じている」が26.3%、「少し感じている」が35.0%となり、合計61.3%のZ世代が生活費のやりくりに苦しさを感じていることが明らかになりました。

節約対象の第1位は「食費」

「生活費の中でまずどこを削りますか?」という質問では、約4割が「食費」と回答しています。Z世代にとって、食にかける費用ですら削減の対象となっている現状が浮き彫りとなりました。

自炊するZ世代の半数近くが「食材を余らせる」経験あり

週1回以上自炊をする人は約70%、一人暮らしでは9割を超える中で、食材を使い切れず余らせてしまう人も多数いるとのことです。「よくある」「たまにある」と回答した人を合わせると、半数近くが食品ロスを実感していることがわかりました。

フードロスとCO₂排出の関係、認知率は55.3%にとどまる

「フードロスが二酸化炭素排出量に影響があることを知っていますか?」という質問に「知っている」と回答した人は55.3%でした。環境への具体的な影響については、認知が十分に浸透していない実態が明らかとなっています。

約6割のZ世代が「生活費のやりくりが苦しい」と回答

「最近、生活費が厳しいと感じることはありますか?」という質問に対し、「非常に感じている」が26.3%、「少し感じている」が35.0%と、実に6割以上のZ世代が生活費のやりくりに苦しさを感じていることが分かりました。

特に、親元を離れて一人暮らしを始めた人々にとって、家賃や光熱費などの固定費に加えて、日々の食費をどのようにコントロールするかが課題となっていることがうかがえます。

現在の物価高騰は、Z世代の暮らしにも影響を及ぼしており、生活コストへの不安が若年層にも広がっている実態が浮き彫りになっています。

節約対象として最多は「食費」の約4割

「生活費の中でまずどの項目を削りますか?」という質問に対し、全体の約4割が「食費」と回答しています。

本来、食費は健康や生活の質を左右する基本的な支出項目です。しかし今回の調査では、物価高騰や収入の制約を背景に、食にかける費用でさえ削減の対象とせざるを得ないZ世代の実情が明らかとなっています。

Z世代の約7割が週1回以上自炊を実施

「週にどの程度自炊をしますか?」という質問に対し、週1回以上自炊すると回答した人は全体の約70%となりました。さらに、一人暮らしの回答者に限定すると9割を超える結果に。また、「毎日自炊する」と回答した人も15%にのぼっています。

自炊の理由については、「節約したいから」が最も多く、65.7%の回答を集めています。

Z世代にとって自炊は、日常的な行動として定着しており、家計管理の手段として選ばれていることが調査から明らかになっています。

一人暮らしの約半数が「食材を余らせることがある」と回答

一人暮らしで自炊をする人に対し、食材を余らせることがあるかどうかを尋ねたところ、「よくある」と回答した人が11.1%、「たまにある」と回答した人が33.3%となり、合わせて半数近くが食材を使い切れずに残してしまう経験があることが分かりました。

食材を余らせる理由としては、「食べようと思っていたが時間がたってしまった」(27.3%)が最も多く、次いで「賞味期限が短すぎる」(21.0%)が続きました。

この結果からは、少人数で暮らすZ世代にとって、市販されている食品パックの分量が多く感じられるケースも少なくないと考えられます。スーパーで販売されている野菜や肉は、家族世帯を前提とした容量が主流であり、一人暮らしでは使い切れないこともしばしばあるようです。

意図せず食材を無駄にしてしまうことへの罪悪感と、それでも生活を支えるための自炊という選択。そのジレンマが、Z世代の"食"の現場に横たわっているように思われます。

フードロスの認知は「飲食店の廃棄」7〜8割に対し、「家庭の廃棄」は5〜6割にとどまる

「あなたが知っているフードロスの問題についてあてはまるものを教えてください」と質問したところ、「飲食店における大量廃棄」や「売れ残り・返品による廃棄」など産業系の項目は7〜8割の人が認知していることが分かりました。

一方で、「家庭における食べ残し」や「買いすぎによる廃棄」への認知は5〜6割程度にとどまっています。

環境省の発表によると、令和6年の国内食品ロス量は事業系が236万トン、家庭系も236万トンと、廃棄量はほぼ同等です。

このことから、産業由来のフードロスに対する意識は高い一方で、家庭内で発生するロスへの問題意識は相対的に低いことが明らかになっています。

「フードロスがCO2排出に影響する」との認知は55.3%にとどまる

「フードロスが二酸化炭素排出量に影響を与えることを知っていますか?」という質問に対して、「知っている」と回答した人は55.3%、「知らない」は44.7%となりました。

フードロスの問題は単に"もったいない"だけでなく、焼却処理などによるCO2排出の観点から、脱炭素社会の実現に向けた重要な課題です。現在国内の年間フードロス量は約472万トンで、これは、約390万世帯が1年間に排出するCO2量に相当します。

さらに、このロス分を生産するために、製造・輸送・販売の過程で排出されるCO2は年間約1,046万トンにものぼります。このCO2排出量(約1,046万トン)を1年間で吸収するためには、九州地方と四国地方を足した面積とほぼ同じ規模の森林が必要な計算になります。

フードロスの認知度自体は高いものの、それがCO2排出量にまで影響を与えているという事実については、まだ十分に浸透しているとは言えないようです。今後は、こうした視点も含めた広い意味での課題認識が求められます。

専門家コメント:フードロス削減に取り組む起業家・岸はつみ氏が語る課題と可能性

フードロスに関する取り組みを続けるなかで、「課題意識はあるが、具体的な行動にはつながっていない」という声が多く聞かれるとのことです。

本調査に関連して、食品ロス削減をテーマに事業を展開するn!ce cream創業者 岸はつみ氏に、若年層のフードロスへの向き合い方についてコメントが寄せられました。

<コメント>

学生時代、「削るのは食費から」と話す友人がいたのを思い出しました。今回の調査結果は、Z世代のリアルな生活感が反映されたものだと感じます。

節約のために始めた自炊が、結果的にフードロスにつながってしまう。これは、個人の努力では解決が難しい構造的な課題でもあると思います。ロスが出てしまったとき、"捨てる"以外の選択肢が取れるよう、コンポストや地域での資源循環といった、焼却以外の選択肢を増やしていく仕組みが必要です。

また、「脱炭素」という言葉にはまだハードルを感じる人も多いかもしれませんが、「もったいない」という感覚なら、誰もが自然と共感できます。"やらなきゃいけない"ではなく、「大切に使う」という意識から始めれば、無理なく続けられる行動になるはずです。

食べ残さない工夫、保存の知恵、捨てずに活かす工夫。小さなアクションの積み重ねが、やがて大きなインパクトになると信じています。

<プロフィール>

大学時代に参加した農業体験や子ども食堂のボランティアをきっかけに、「食べられるのに捨てられてしまう」という現実を目の当たりにし、この課題を解決したいという思いからn!ce creamを設立。作り手・食べ手・自然の三方にやさしい循環をつくることを使命に、フードロス削減と地域農業の持続可能な未来に挑戦しています。

まとめ:Z世代が直面する「節約とフードロス」のジレンマ

今回の調査を通じて、Z世代の多くが生活費のやりくりに課題を感じ、その対策として「食費の削減」や「自炊の実践」を選択している実態が明らかになりました。しかしその一方で、食材の使い切りが難しく、結果としてフードロスにつながってしまうケースも多く見受けられます。

こうした背景には、物価高騰や経済的制約といった社会状況だけでなく、「無駄にしたくない」「資源を大切にしたい」というZ世代の価値観が複雑に交差しています。食をめぐる日常的な選択の中で、彼らは"節約"と"もったいない"のあいだで葛藤しながらも、最適な行動を模索しているようです。

また、フードロスがCO2排出や環境負荷と密接に関係していることについては、まだ十分に認識が広がっていないことも明らかになりました。これを受けて、情報提供や選択肢の提示を通じて、Z世代が自らの価値観に即した行動を取りやすくする環境整備が求められています。

今後は、「節約」と「サステナブル」を両立できるような仕組みづくりが、企業や自治体にも期待されます。Z世代の"もったいない"という感性を起点に、食を通じた脱炭素のアクションをより日常に溶け込ませていくことが、持続可能な未来への鍵となるでしょう。

出典元:Earth hacks株式会社 プレスリリース

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