
ウェブインバウンド・越境EC支援を行う「WorldShopping BIZ」を展開する株式会社ジグザグが、日本・中国・アメリカの20~40代男女900名を対象とした「旅ナカ・地図アプリと旅行中の情報収集に関する3カ国調査」の結果を公開しました。この調査では、訪日外国人の行動特性や情報収集方法に関する貴重なデータが明らかになっています。
この調査によりますと、旅行者の96.8%が「地図アプリを利用する」と回答し、約6割がECサイトをきっかけに実店舗を訪問した経験があることが判明しました。また国別の口コミ投稿習慣にも大きな差が見られるなど、インバウンド対策に役立つ知見が示されています。
今回の調査結果はWorldShopping BIZ Reportとして「旅ナカ・地図アプリと旅行中の情報収集に関する3カ国調査」が公開されています。
この記事の目次
調査実施の背景
日本政府観光局(JNTO)が2025年9月17日に発表した「2025年8月訪日外国人数(推計値)」によりますと、訪日外国人数は342万8,000人となり、前年同月比16.9%増で、8月として過去最高を記録しました。2024年同期の293万3,381人を49万人以上上回り、累計でも2,838万3,600人(前年同期比18.2%増)となっています。
訪日インバウンド市場では、旅行中の体験だけでなく旅行前や旅行後でもインターネットを通じて消費が生まれる可能性があります。この購買意欲の高いインバウンド需要を効果的に取り込むためには、以下の3つの段階での対策が重要となるとのことです:
- 旅行前の検索段階で選ばれるための「旅マエ」への備え
- 旅行中に来店してもらう「旅ナカ」での検索強化や体験の提供
- 帰国後も商品を購入してもらう「旅アト」のリピート施策
これらのどの段階においても、戦略的な情報発信と導線設計が不可欠だということです。今回の調査では、海外旅行者の旅行中の行動や体験に焦点を当て、日本・中国・アメリカの3カ国の結果を比較することでインバウンド旅行者のインサイト解明を試みています。
調査結果
旅ナカ(旅行中)は検索と地図アプリで情報収集、「地図アプリ」は9割以上が活用
「直近1年間(2024年4月〜2025年4月頃)で宿泊を伴う旅行に行った」と回答した日本・中国・アメリカ在住の20〜40代男女900名を対象に「旅行中の情報収集」について質問したところ、「旅行中に地図アプリを利用しますか?」という問いに対して96.8%が「利用する」と回答したとのことです。
利用する地図アプリについては、日本とアメリカでは第1位が「Google Map」、中国では「高徳地图(Amap)」という結果になったそうです。

また、「旅行中に新しい場所を探す際、どのように情報を集めますか?」という質問に対しては、全体の6〜7割が「Web検索」と「地図アプリ」を併用していることが明らかになりました。
現代の旅行では一人一台スマートフォンを所有していることが一般的となり、「検索」された際にきちんと情報が表示されること、そして「地図アプリ」で検索した際に発見されることが重要な要素となっているようです。
なお、調査のホワイトペーパーでは、「地図アプリ選びの基準」などさらに詳細な情報も紹介されているとのことです。
口コミ投稿は6割、日本に比べてアメリカ・中国は投稿意欲が高いことが判明
「旅行に関する口コミをしますか?」という質問に対しては、全体では「常にする」が23.7%、「たまにする」が38.4%と、合計でおよそ6割の人が口コミ投稿をする習慣があることが判明しました。

3カ国で比較してみると、日本は「常にする」と回答した人が最も少なく、「全くしない」と答えた人が約4割にのぼっています。一方、情報源としてSNSを参考にすることが多い傾向にある中国・アメリカでは投稿行動も活発であることがわかります。
質問:旅行に関する自身の体験をマップの口コミや写真に投稿しますか? | 全体 | 日本 | 中国 | アメリカ |
---|---|---|---|---|
常にする | 23.7% | 12.0% | 35.7% | 23.3% |
たまにする | 38.4% | 30.0% | 41.3% | 44.0% |
あまりしない | 17.6% | 19.3% | 16.0% | 17.3% |
全くしない | 20.3% | 38.7% | 7.0% | 15.3% |
ECサイトがきっかけで実店舗に行ったことがある人はおよそ6割、重さやサイズがネックに
お土産購入に関する質問では、「ECサイト経由で知った店舗を訪れたことがありますか?」という問いに対し、57.6%と半数以上の回答者がECサイトをきっかけに実店舗を訪問した経験があることがわかったそうです。
実店舗でのお土産購入時に困った経験としては、「重量」や「サイズ」に関する問題が多く挙げられました。また、免税手続きや決済手段も訪日外国人にとっては障壁になっている様子がうかがえます。

さらに詳細な調査結果は、WorldShopping BIZが公開しているホワイトペーパーで確認することができるとのことです。
調査概要
調査期間:2025年5月28日~6月5日
実施方法:インターネット調査(Koeeru株式会社/Koeeru for Global)
調査対象:20~49歳、男女
回収件数:日本・中国・アメリカ 各300サンプル
株式会社ジグザグ 企業情報
会社名 :株式会社ジグザグ
上場区分:東証グロース(340A)
代 表 :仲里 一義
設 立 :2015年6月
所在地 :東京都渋谷区桜丘町14-1
事業内容:
・WorldShopping BIZ:EC事業者向け海外販売支援サービスの開発・提供
・WorldShopping:海外カスタマー向け購入代行サービスの開発・提供
・インバウンドナビ:訪日インバウンド向け店舗誘導最適化サービス
まとめ
今回の調査結果から、旅行中の情報収集において地図アプリが極めて重要な役割を果たしていること、また国によって口コミ投稿の習慣に大きな差があることが明らかになりました。特に中国からの訪日客に対しては、口コミ情報の充実がより重要なファクターとなることが示唆されています。
インバウンド対策を検討している事業者にとって、この調査データは旅行者の行動パターンを理解し、効果的なマーケティング戦略を立案する上で貴重な情報源となるでしょう。特に「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」それぞれのフェーズに合わせた最適なアプローチを考える際の参考になります。
出典元:株式会社ジグザグ プレスリリース