“特別な購買体験”を活かしながら付帯収益も!BUYMAがRokt Thanksで実現した循環モデル
株式会社エニグモ 執行役員 今寺 優介さん(写真:右)
Rokt合同会社 ビジネス開発 大野 皓平さん(写真:左)
インタビューの概要

世界中のパーソナルショッパーと日本の購入者をつなぐ、CtoCのファッションECサービス「BUYMA(バイマ)」を運営する株式会社エニグモは、商品選びから手元に届くまでのプロセス全体が“感動体験”になるよう心がけています。

一方で、サービスの成長にあわせて、体験価値を損なわずに付帯収益を得る可能性も探っていました。そうした中で出会ったのが、Rokt合同会社の「Rokt Thanks」です。購入完了後というポジティブなタイミングに、自然に最適なオファーを届けるという設計思想に共感し、取り組みが始まりました。今回は、株式会社エニグモの執行役員である今寺優介さんに、導入の背景と成果について伺いました。

「購買体験」はBUYMAのコンセプトを守る大切な要素

――エニグモさんが運営する「BUYMA」について、事業の概要と特徴を教えてください。

今寺さん:BUYMAは、“パーソナルショッパー”と呼ばれる出品者が世界各地で買い付けた「ここでしか買えない」と感じられる商品を、日本の購入者に届けるCtoCのファッションECサービスです。

出品数は650万点以上と豊富で、日本では完売している商品や、トレンドの新作が見つかることもあり、「BUYMAに行くと何かに出会える」と感じていただける場になってきています。

また、BUYMAでは比較的高単価の商品も多く扱っており、当社では「ハレの日のサービス」として、購入そのものが特別な体験になる場を目指しています。

――“ハレの日のサービスとして特別な購買体験を実現するために、どのような点に注力されていますか?

今寺さん:大きく分けて、「商品の幅」と「購買体験」の2つがあります。

まず商品の幅については、ファッション好きな方それぞれの好みに応えられるよう、幅広いラインナップを揃えることを意識しています。また、購買体験については、商品選びから手元に届くまでのプロセス全体が“感動体験”になるよう心がけています。

BUYMAは海外からの発送が多く、どうしても配送には時間がかかりますが、その時間すら特別に感じていただけるよう、出品者とのコミュニケーションを含めた体験設計を大切にしています。

購買体験を損なわずに、新たな提案機会を設計

――ここまでお話しいただいたBUYMAのサービス設計や世界観を踏まえたうえで、今回の取り組みについて伺います。まず、Rokt Thanks導入のきっかけについて教えてください。

今寺さん:以前から、商品販売以外の新たな収益手段を模索してはいたのですが、なかなか前に進みませんでした。というのも、BUYMAでは売り手と買い手のマッチングを何より大切にしており、ユーザー体験、特に購入体験を損なうような取り組みは避けたいという意識が強くあります。

先ほどお伝えしたように、BUYMAは「ハレの日」のサービスとして特別な購買体験を提供しており、平均購入単価は約3万円と高めです。商品を合わせ買いや、ついで買いするよりは、お買い物1回1回に向き合っている購入者が多く、ファッションアイテムを扱っているECサイトとしては次回購入までの期間が少し長い傾向にあります。

そんな中でRoktさんからのご提案は、購入体験を妨げることなく収益化が図れる可能性を感じられたため、初めて前向きに検討するようになりました。

元々、購入完了ページでは、商品レコメンドを設置しており、再訪いただく機会を作っていましたが、収益につながるまで少し時間がかかる性質がありました。その点、Roktの仕組みは、既存のレコメンドを継続したまま、ユーザー体験を損なうことなく即時に収益を生み出せる点で大きな付加価値がありました。しかも、レコメンド機能自体への影響もほとんどなく、従来の再訪促進と新たな収益機会を両立できたのです。

――ユーザー体験を損なうことなく新たな収益機会を生み出すRoktの仕組みについて、どの点が良かったのか詳しくお聞かせいただけますか?

今寺さん:「購入完了後」というタイミングに限定し、ユーザーに自然なかたちで関連性の高いオファーを届けるという設計に、まず安心感がありました。

実際、社内でも慎重に議論を重ねましたが、ポイントとなったのは、世界観を壊さないかどうかです。その点については、Roktさんから詳細に説明いただき、表示される提案内容は管理されており、当社のブランドにそぐわないものが出ることはないとわかりました。

さらに、希望するカテゴリや業種の除外設定ができる点、実際の事例の共有、クリエイティブのトンマナ調整も可能であるといった情報を踏まえ、ブランドの整合性にも十分に配慮されていると感じ、納得して進められました。

Roktさんは、EC事業者が不安に感じやすいポイントをよく理解されていて、ひとつひとつ丁寧に整理しながらご提案いただけた印象です。導入前にオファー表示の見た目やトーンを確認できたことも、懸念を抑える大きな要素でした。

――導入にあたって、他にも議論となった点はありましたか?

今寺さん:個人情報の取り扱いについても社内で話し合いました。ただ、Rokt Thanksで使用する情報は、一般的なEC運営における広告配信や分析と同じレベルで、過剰にセンシティブな内容ではありませんでした。

むしろ、適切な情報を活用することで、一人ひとりにとって最適な提案が届き、結果として購買体験を妨げない設計につながっていることが理解できたので、安心して導入することができました。

「ダメなら戻せる」柔軟性と低負荷が導入を後押し

――さまざまな社内議論を経て、最終的な導入の決め手になったのはどのような点でしたか?

今寺さん:最終的には、「合わなければすぐに止める」という心づもりで導入を決めました。

Rokt Thanksは、導入に際して当社側の開発工数が少なく、運用負荷も非常に軽いため、トライアルとして取り組みやすいと感じたのが大きかったです。もし導入に数か月の開発が必要だったら、意思決定にはもっと慎重になっていたと思います。

――実際の導入スケジュールはどのような流れだったのでしょうか?また、導入後の効反響についてもお聞かせいただけないでしょうか。

今寺さん:いくつかのテスト工程には時間をかけましたが、社内の開発工数としては1か月もかかっていません。導入後、気にしていた購買体験の面ではユーザーの離脱やクレームといったネガティブな反応はなく、安定した成果が得られたため手応えを感じられました。

数値面でも、導入前にRoktさんから説明を受けていた内容と近い水準で推移しており、クリック率は平均で5.8%、eCPM(1,000回表示あたりの収益)は最大で20,000円を超える実績となりました。こうした成果が確認できたことで、今後の運用計画も立てやすくなりました。

本業に注力することで、自然と価値が循環する仕組みへ

――Rokt Thanksでは、ユーザーの属性や購買履歴などの学習が進むことで提案精度が高まり、成果にも反映される設計だと伺っています。その点で、効果を実感されている部分はありますか?

今寺さん:はい、実際に学習が進むにつれて、どんどん精度が高まっている実感はあります。

また、ECサイトのトランザクションが増えれば、提案機会も自然に増えるため、本業に注力することがそのまま成果につながっていく点は非常に良いと思っています。

「売上とは別の成果」が本業と連動して拡大する構造なので、運用のモチベーションにもつながっています。

――成果が生まれたことで、今後の取り組み方に何か変化はありましたか?

今寺さん:当社はあくまでECサービスの運営が主軸ですが、これまでは、そこに外部のオファー表示を加えるという発想はありませんでした。

ただ、Rokt Thanksのように体験価値を損なわず、ブランドの世界観に沿ったかたちであれば、導入する意味があると実感できました。私自身を含め、社内の考え方が広がるきっかけにもなったと思います。

また、こうした取り組みによって得られた成果を、新たな施策の原資として活用できることにも期待しています。たとえば、クーポンの配布など、ユーザーにより楽しんでいただけるプロモーションに還元することで、ECサイトの利用がさらに活性化すれば、また提案機会も増えていく。そうした好循環が生まれつつあると感じています。

▼Roktのソリューション・製品はこちら
https://www.rokt.jp/

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