日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が2025年7月30日、2025年度JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index:日本版顧客満足度指数)第2回調査の結果を発表しました。今回の調査では、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、宅配便、QRコード決済、電子マネー、ショッピングセンターの8業種における顧客満足度が明らかになりました。
JCSIは、サービス産業における「顧客満足」などの重要指標を数値化・可視化し、企業や業種の成長に役立てることを目的とした日本最大級の顧客満足度調査です。調査では顧客満足度を含む計9つの指標について調査が行われており、特に経営目標として活用しやすい「顧客満足」「推奨意向(おすすめ度)」「感動指標」の3指標の結果が注目されています。
これらの3つの指標は、以下のような内容を示しています:
・顧客満足:サービスを利用して感じた満足の度合い
・推奨意向(おすすめ度):サービス利用で得た良い経験を他の人に伝えたいと思う度合い
・感動指標:サービス利用時に感動や驚きを経験した度合い
この記事の目次
JCSI調査の概要
今回の調査は2025年5月21日から6月2日にかけて実施され、インターネットを通じて約19,796人から回答を得ています。調査対象となったのは8業種65企業・ブランドで、ランキングに含まれる54企業・ブランドについては17,366人の回答が集計されました。
調査は約110問の質問で構成され、顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足、推奨意向、ロイヤルティ、感動指標、失望指標、CSR指標の計9指標が測定されています。
2025年度JCSI第2回調査 顧客満足・推奨意向・感動指標スコア
各業種のランキング対象企業・ブランドのうち、顧客満足・推奨意向(おすすめ度)・感動指標の各3位以上の企業・ブランドが発表されました。スーパーマーケットとショッピングセンターについては、サブカテゴリー別の結果も公表されています。
2025年度JCSI第2回調査 顧客満足1位企業・ブランド一覧
今回の調査で各業種において顧客満足度1位となった企業・ブランドは以下の通りです:
JCSI調査の詳細について
2025年度JCSI調査は年5回に分けて実施されており、今回の第2回調査は通算で第82回目となります。各回の対象業種は以下の通りです:
回 |
調査期間・発表時期 |
対象業種 |
第1回 |
2025年4月 (6月17日発表) |
自動車販売店、飲食、カフェ、エンタテインメント、携帯電話、証券 [特別調査] MVNO(仮想移動体通信事業者) |
第2回 |
2025年5月~6月 (7月30日発表) |
百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、宅配便 [特別調査]QRコード決済、電子マネー、ショッピングセンター |
第3回 |
2025年7月 (9月発表予定) |
通信販売、旅行、フィットネスクラブ、銀行 [特別調査]電力小売、ガス小売、動画配信 |
第4回 |
2025年8月 (10月発表予定) |
シティホテル、ビジネスホテル、国内長距離交通、教育サービス、生命保険、損害保険(自動車/住宅・火災) |
第5回 |
2025年10月 (12月発表予定) |
家電量販店、生活用品店/ホームセンター、衣料品店、各種専門店、近郊鉄道、クレジットカード [特別調査]映画館 |
今回調査の対象企業・ブランド
今回の調査対象となった企業・ブランドは以下の通りです。企業・ブランド名は一般的な呼称や短縮名称等が使用されている場合もあります。なお、「選定条件」は年度によって異なる場合があります。
業種名 (企業・ブランド数) |
指数化対象企業・ブランド名 |
回答者の選定条件 |
百貨店(9) (*ランキング対象外(3)を含む) |
伊勢丹、そごう、大丸、髙島屋、阪急百貨店、三越 (*ランキング対象外:西武百貨店、阪神百貨店、松坂屋) |
半年以内に2回以上(会計を伴う)利用 |
スーパーマーケット(12) (*ランキング対象外(2)を含む) |
【ディスカウントストア】(5) オーケー、業務スーパー、コストコ、トライアル、ドン・キホーテ (*ランキング対象外:ロピア) 【総合スーパー等】(5) イオン、イトーヨーカドー、西友、マックスバリュ、 ライフ (*ランキング対象外:成城石井) |
3か月以内に2回以上(会計を伴う)利用 |
コンビニエンスストア(7) (*ランキング対象外(1) を含む) |
セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ミニストップ、ローソン (*ランキング対象外:ナチュラルローソン) |
1か月以内に2回以上(会計を伴う)利用 |
ドラッグストア(9) (*ランキング対象外(2) を含む) |
ウエルシア、ココカラファイン、サンドラッグ、スギ薬局、ツルハドラッグ、 ドラッグストアコスモス、マツモトキヨシ (*ランキング対象外:CREATE、ダイコクドラッグ) |
半年以内に2回以上(会計を伴う)利用 |
宅配便(3) |
佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸 |
1年以内に2回以上発送し、かつ利用料金を見聞きしたことがある |
特別調査: QRコード決済(7) (*ランキング対象外(2) を含む) |
au PAY、d払い、ファミペイ、PayPay、楽天ペイ (*ランキング対象外:AEON Pay、メルペイ) |
半年以内に2回以上利用 |
特別調査: 電子マネー(6) |
iD、QUICPay、Suica、nanaco、楽天Edy、WAON |
半年以内に2回以上利用 |
特別調査: ショッピングセンター(12) (*ランキング対象外(1)を含む) |
【多店舗展開】(6) アトレ、アリオ、イオンモール、パルコ(PARCO)、マルイ(OIOI)、ららぽーと (*ランキング対象外:ルミネ) 【単館(大阪市内)】(5) グランフロント大阪、天王寺ミオ、なんばCITY、なんばパークス、ルクア大阪 |
半年以内に2回以上(会計を伴う)利用 |
調査方法と指数化について
調査はインターネット・モニターを用いた2段階方式で行われました。まず1次回答として、調査会社のモニターを用いて性別・年代別・地域別の人口構成に配慮した形で約6.8万人から利用経験についての回答を収集。次に2次回答として、1次回答者のうち各対象の選定条件に該当する回答者約400人に、サービスに関する具体的な評価について回答を依頼しています。回答依頼は1人につき1企業・ブランドのみで、ランキングに含めた企業・ブランドは300人以上の回答を確保しています。
指数化の方法については、顧客期待、知覚品質、知覚価値、顧客満足、推奨意向、ロイヤルティ、感動指標、失望指標、CSR指標の計9指標を算出しています。各指標は3〜5問の設問で構成され、10段階評価の回答から100点満点になるよう算出されます。すべての設問を満点とした場合は100点、すべてを最低点とした場合は0点となります。各企業・ブランドのスコアは回答者の点数の平均値で、小数第2位を四捨五入し、同値の場合は同順位としています。
例えば、顧客満足の指標は以下の3つの設問から算出されています:
1. 全体満足:過去1年間の利用経験を踏まえて、対象企業・ブランドにどの程度満足しているか
2. 選択満足:過去1年を振り返って、対象企業・ブランドを利用したことが良い選択だったと思うか
3. 生活満足:対象企業・ブランドを利用することが生活を豊かにすることにどの程度役立っているか
また、推奨意向(おすすめ度)は、商品の魅力、会社としてのサービス、従業員・窓口対応、情報提供・説明案内の4つの観点から、話題として好ましいか否かを評価しています。感動指標については、「びっくりした」「うれしい」「楽しい」「興奮した」という4つの経験の度合いを測定しています。
この調査結果は、サービス産業の各企業が顧客満足度向上のための施策を検討する上で重要な指標となります。顧客視点からのサービス評価を数値化・可視化することで、企業の成長戦略に活かすことが期待されています。
出典元:サービス産業生産性協議会 2025年度JCSI第2回調査結果