
株式会社CARTA HOLDINGS(東京都港区、代表取締役社長執行役員兼CEO:宇佐美 進典、東証プライム市場:証券コード3688)は、同社取締役会において、株式会社NTTドコモが提案する同社の普通株式および新株予約権に対する公開買付けに対し、賛同の意見を表明するとともに、株主および新株予約権の所有者に対して応募を推奨することを決議したことを発表しました。また、NTTドコモおよび同社の親会社である株式会社電通グループとの間で、業務資本提携契約を締結することも決議したとのことです。
本公開買付けは、NTTドコモおよび電通グループにてCARTA HOLDINGSの株式の全てを取得し、同社株式の非公開化を目的とした一連の取引の一環として実施されるとのことです。
この記事の目次
背景:AI時代のマーケティングにおけるデータ活用の重要性
AI時代へのパラダイムシフトが現実となった現在、企業のマーケティングにおいて、生活者データなどの様々なデータの活用が重要な役割を果たしています。しかし、多くの日本企業は、マーケティングのプロセスごとに異なるデータソースを活用しており、データが分断されているという構造的な課題を抱えているとされています。
NTTドコモは、約1億のdポイントクラブ会員基盤を有し、会員ID単位の会員情報やオンライン・オフラインの行動・購買情報といった価値の高いデータを保有しています。また、これらのデータをID単位で一元的に活用し、顧客分析から施策評価までを一気通貫で行う「Single ID Marketing」に取り組んでいるとのことです。
一方、CARTA HOLDINGSは、デジタルマーケティング事業を主力とし、AIやテクノロジーを活用した広告配信や広告運用、幅広いメディアとのリレーションを有しています。
本取引の目的と期待されるシナジー
本取引は、NTTドコモグループの持つ生活者行動・購買データやオンライン・オフライン横断の加盟店ネットワークと電通グループのマーケティングを軸とした事業成長力、CARTA HOLDINGSのAIやテクノロジーを活用したデジタルマーケティング事業における実行力を掛け合わせることで、約1億の会員ID単位でのオフライン・オンラインでの行動・購買情報を土台にIDベースの生活者データをシームレスに活用できる「Single ID Marketing」ソリューションを本格的に実現・展開することを目的としているとのことです。
これにより、データ分断という課題を解決し、企業のマーケティングの戦略・戦術立案からあらゆるメディアでの施策実行、効果検証までを一気通貫で支援することで、AI時代における日本のマーケティングを大きく進化させることができると考えられています。
このソリューションの提供を通じて、顧客企業のマーケティングインパクトを最大化し、さらにAI/テクノロジーを活用して各社のマーケティング課題はもちろんのこと、生活者のペルソナ特性、行動特性、エリア特性をはじめとする社会全体へマーケティングDXを展開し、社会課題の解決にも貢献することで、日本のマーケティングの未来を創造するリーディングカンパニーを目指すとしています。
※「Single ID Marketing」とは、一人ひとりのオンライン・オフラインの日常生活に関わるさまざまなデータを保有し、このデータをID単位で一元的にマーケティングの戦略から施策実行・効果検証までの各フェーズで一気通貫で活用いただけるソリューションのことを指します。
業務資本提携によるシナジーの実現
業務資本提携によって、経営資源を相互に活用することにより、以下のようなシナジーの実現を目指すとしています:
①データを活用した総合的なマーケティング支援による企業価値の向上
CARTA HOLDINGSは、AIやテクノロジーを活用したデジタルマーケティングの実行力、電通グループが持つマーケティングを通じた事業成長支援のノウハウ、そしてNTTドコモ・株式会社 D2Cが持つ、webなどのオンラインや店舗などのオフラインを横断して把握することのできる生活者の行動・購買データや加盟店ネットワークを融合させることで、約1億人の会員基盤に紐づく行動・購買データを活用した「トータルマーケティングソリューション」を今後展開することが可能になるとしています。
「トータルマーケティングソリューション」を活用することで、マーケティング戦略・戦術の立案から具体的な施策の実行、さらにその効果測定・検証に至るまで、マーケティングプロセスの一貫した支援を行うことができるようになります。特に、個人単位で取得・管理されたIDに基づく「Single ID Marketing」によって、webなどのオンラインや店舗などのオフラインの顧客行動データと意識データ、施策結果データを統合し、従来の単発的なマーケティング手法(フロー型)から、継続的な消費者接点の構築・最適化したマーケティング手法(ストック型)に進化することができると考えられています。
②双方の商流活用による販売チャネルの更なる拡大
NTTドコモグループの有する加盟店ネットワーク等自社経済圏における商流、およびCARTA HOLDINGSが持つ電通グループおよびその他広告会社などの商流に対し、それぞれが双方の商流を活用するパートナーシップにより、多様なクライアント企業に対してアプローチし、「トータルマーケティングソリューション」の成功事例を蓄積していくことで、双方の販売チャネルを拡大することが可能になるとのことです。
③D2CとCARTA HOLDINGSの機能統合によるケイパビリティの強化と生産性の向上
D2Cは、これまでNTTドコモが保有するデータを活用し、NTTドコモのメディアへの広告配信・運用を担ってきました。また、「Single ID×フルファネル」による広告ソリューションの先行的な展開を推進してきた中核拠点でもあります。このたび、アドテクノロジーや広告運用に強みを持つCARTA HOLDINGSと一体的に事業運営を行うことで、広告配信の精度やスピードをさらに高め、「Single ID Marketing」の提供領域を拡大することが可能になるとしています。
これにより、クライアント企業に対するマーケティング支援の質向上やケイパビリティの強化、機能統合による生産性向上を図ることができると考えられています。
本公開買付けの概要
公開買付者の概要
名称 | 株式会社NTTドコモ |
所在地 | 東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー |
代表者の役職・氏名 | 代表取締役社長 前田 義晃 |
事業内容 | コンシューマ通信事業:個人向け通信サービス(5G・LTE等携帯電話サービス、光ブロードバンドサービス、国際サービス)、各サービスの端末機器販売等 スマートライフ事業:金融決済サービス、コンテンツライフスタイルサービス(動画・音楽・電子書籍等配信サービス・ドコモでんきなど)、マーケティングソリューション、あんしん系サポート(ケータイ補償サービス等)等 その他の事業(法人通信等):法人向け通信サービス(5G・LTE等携帯電話サービス、ユビキタスサービス、衛星電話サービス、光ブロードバンドサービス、国際サービス)、各サービスの端末機器販売、オフィスリンク等 |
本取引のストラクチャー
<現状の株主構成>
現在において、電通グループがCARTA HOLDINGS株式 13,441,506 株(所有割合: 53.13%)、その他少数株主が同社株式 11,858,855 株(所有割合:46.87%)および本新株予約権 700個(本新株予約権の目的である同社株式数 70,000 株(所有割合:0.28%))を所有しているとのことです。
なお、現在、NTTドコモは、CARTA HOLDINGS株式および本新株予約権を所有していません。また、現在において、電通グループがD2C株式46.00%、NTTドコモがD2C株式51.00%、株式会社エヌ・ティ・ティ・アドがD2C株式3.00%を所有しています。

<本取引の完了後>
本株式交換実施後の、CARTA HOLDINGSの議決権に対する電通グループおよびNTTドコモの所有割合は電通グループが3分の1超の49.00%以下、NTTドコモが51.00%以上の3分の2未満となるように合意しているとのことです。
なお、本取引の一連の手続きを経て、D2CはCARTA HOLDINGSの100%子会社となる予定です。
買付けの期間
本公開買付けについては、国内外の競争法令などの手続および対応に一定期間を要することから、各国競争法上のクリアランス取得などの所定の条件が充足され次第、速やかに開始される予定とのことです。スケジュールの詳細については決定次第速やかに公表される予定です。
買付けの価格
- 普通株式1株あたり、2,100 円
- 新株予約権(第10回新株予約権および第11回新株予約権)1個につき、40,800円
買付け予定の株式などの数
- 買付予定数: 11,928,855株
- 買付予定数の下限: 3,425,400株(所有割合 13.54%)
応募株券などの数が買付予定数の下限に満たない場合は、応募株券などの全ての買付けを行わないとのことです。応募株券などの数の合計が買付予定数の下限以上の場合は、応募株券などの全部の買付けなどを行うとしています。
本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定していないため、買付予定数は本公開買付けにおいてNTTドコモが買付けなどを行うCARTA HOLDINGS株式の最大数を記載しているとのことです。
今後の見通し
本公開買付け成立後、本公開買付けにより、買付予定数の全てを取得できなかった場合に、NTTドコモは電通グループとともに、CARTA HOLDINGSに対して株式併合の手続の実行を要請し、同社は株主をNTTドコモおよび電通グループのみとするための手続を実施するとしています。
なお、CARTA HOLDINGSの株式は上場廃止となり、NTTドコモの連結子会社となる見込みです。
会社名 | 株式会社CARTA HOLDINGS |
上場市場 | 東証プライム(証券コード:3688) |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー36F |
代表者 | 代表取締役社長執行役員兼CEO 宇佐美 進典 |
決算期 | 12月31日 |
主要株主 | 株式会社電通グループ |
事業内容 | デジタルマーケティング事業/インターネット関連サービス事業 |
出典元:株式会社CARTA HOLDINGS プレスリリース