JTB総合研究所調査:旅に求めるものは「リフレッシュ」「非日常」、約8割が旅で非日常を体験

株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 風間 欣人氏)が、「旅の魅力とは何でしょうか?」という質問に対して同社が実施したアンケート調査とインタビュー調査を組み合わせ、「旅に求めることについての調査」の結果を発表しました。

【調査結果】

・旅とは、「リフレッシュ・気分転換(56.4%)」、「癒し・リラックス(49.8%)」、「楽しみ・喜び(47.2%)」、「思い出づくり(39.1%)」、「非日常(38.4%)」

・旅の中で「非日常を感じる瞬間があった」と感じる人は全体の約8割

・旅における「非日常」とは、普段の仕事や家事から解放される時間や空間、子どもにとっての初めての体験など。最近の時勢を反映して、海外からの旅行者との触れあいにも「非日常」を感じる

・若い世代ほど、旅行先ありきではなく、「現地でやりたいこと」から旅行先を探す傾向

・コロナ禍後は、「混んでいる時期に旅行しなくなった」

以前は気軽に旅行できなかった時代と比べ、現在では旅はより身近な存在となっています。インターネットを通じて世界中の景色が簡単に見られる現代において、旅先での「非日常」の意味合いも少しずつ変化しているようです。では、現代の旅行者は旅に何を求めているのでしょうか?

調査結果

1. 旅とは、「リフレッシュ・気分転換(56.4%)」、「癒し・リラックス(49.8%)」、「楽しみ・喜び(47.2%)」、「思い出づくり(39.1%)」、「非日常(38.4%)」

「あなたにとって旅とは?」という質問に対する回答で最も多かったのは、「リフレッシュ・気分転換(56.4%)」だったそうです。続いて「癒し・リラックス(49.8%)」、「楽しみ・喜び(47.2%)」、「思い出づくり(39.1%)」、「非日常(38.4%)」という結果となりました。同社によると、多くの人が旅に対して、日常からの解放や心の充実感を求めていることがわかるとのことです。

2. 旅の中で「非日常を感じる瞬間があった」と感じる人は全体の約8割

旅に求めることとして「リフレッシュ」や「癒し」といった気分に関わる要素以外に、上位に挙がったのが「非日常」です。そこでJTB総合研究所は直近の旅行で「非日常」を感じたかどうかを調査したところ、約8割の方が「非日常を感じる瞬間があった」と回答したそうです。

3. 旅における「非日常」とは、普段の仕事や家事から解放される時間や空間、子どもにとっての初めての体験など

では、具体的に旅の中での「非日常」とは、どのような体験を指すのでしょうか?

今回の調査では、アンケートだけでなく、インターネット上のチャット形式でのインタビュー調査も実施され、一人ひとりの旅行体験について詳細に聞き取りが行われました。

具体的な回答を見ると、男性は「仕事」、女性は「家事」など、日々の忙しさから解放された瞬間に「非日常」を感じると答える方が多くいたとのことです。また、子ども連れの旅行では「子供にとっての初めての体験」を一緒に味わうことに「非日常」を感じるという回答も多く見られたそうです。普段から身の回りにある夜景やカフェ、街並み、電車の駅なども、旅行先では一味違った魅力を感じるようです。さらに、最近の訪日外国人旅行者の増加を反映して、海外からの旅行者との交流から「非日常」を感じるという声も聞かれたとJTB総合研究所は報告しています。

4. 若い世代ほど、「現地でやりたいこと」から旅行先を探す傾向

旅に対する考え方の変化は、旅行先を決める意思決定プロセスにも影響を与えているようです。旅行をする際のプロセスとして、「美味しそうな食べ物や魅力的な風景などをSNSなどで見かけ、旅行先を決めることが多い」か、それとも「旅行先を決めてから、現地で食べるものや観光する場所を決めることが多い」かを尋ねたところ、全体としては後者の「旅行先を先に決める」という回答が多かったものの、若い世代になるほど、「SNSで見た食べ物や風景から旅行先を決める」という回答率が高くなる傾向が見られたとのことです。特に若い世代にとっては、「どこへ行くか」よりも「何をするか」が重要になってきていると考えられます。

5. コロナ禍後は、「混雑する時期には旅行しないようになった」

長期間続いたコロナ禍による行動制限は、旅行に対する意識や行動にも変化をもたらしたようです。「コロナ禍前後で変わったこと」を尋ねたところ、最も多かった回答は「混雑する時期には旅行しないようになった(26.8%)」だったとJTB総合研究所は報告しています。続いて「事前に予約が必要な施設が増えた(16.7%)」、「海外旅行に行きたい気持ちが薄れた(16.4%)」という結果となりました。特に年齢が上がるにつれて、「混雑する時期には旅行しないようになった」「海外旅行に行きたい気持ちが薄れた」という回答率が高くなる傾向が見られたとのことです。

一方、20代では「ネットの情報と現地情報が異なることが多く、ネット以外で調べるようになった」「旅行以外に、時間やお金をかけたいと思うことができた」「旅行に行こうと誘っても断られることが増えた」といった回答の割合が高い傾向にあったそうです。

まとめ

旅における「非日常」とは、仕事や家事から解放される時間や空間。普段から身の回りにあるものでも、旅先では一味違う魅力を感じる

JTB総合研究所のインタビュー調査の結果から、旅において「非日常」を感じるのは、仕事や家事など日々の生活に追われる時間や空間から解放され、ゆったりとした時の流れに身を置くことや、自然な人との関わりであることがわかったとのことです。具体的に「非日常」を感じることとして、普段から身の回りにあるカフェや夜景、駅なども旅の中で見るものは新鮮に感じられるようです。

同社が昨年実施した「旅先で惹かれるものに関する調査」では、「その土地のカフェ・喫茶店」「レトロな建物・お店」などについ惹かれて足を運んでしまうという結果が出ているそうです。そういった場所に足を運ぶことで「非日常」を感じたいという意識もあるのかもしれないと分析しています。

若い世代ほど、「どこへ行くか」より「なにをするか」を重視

SNSを中心とした文字情報から画像や動画情報へのシフトは、旅行先の選び方にも影響を与えているようです。今回の調査結果では、若い世代になるほど「美味しそうな食べ物や魅力的な風景などをSNSなどで見かけ、旅行先を決めることが多い」という回答率が高くなったとJTB総合研究所は報告しています。

同社の「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2024)」の結果では、情報の検索手段としてキーワード検索はまだ主流ではあるものの、「地図アプリ」や「動画検索」の利用割合が増加していることがわかったとのことです。気になった画像や動画の場所を地図で確認する、あるいは最初から何かしたいことを見つけるために動画を検索するといった行動が増加している背景があると考えられます。

コロナ禍の収束後も、密を避けたい傾向は継続

長期間続いたコロナ禍は、旅行への考え方や旅行行動にも変化をもたらしているようです。コロナ禍が落ち着き、テレワークではなくオフィスへの出社機会も増えていますが、「満員電車に乗るのがつらい」といった声も聞かれると同社は報告しています。「密」を避け、ゆったりとした時間や空間を持つことの快適さを手放したくないと考える人も少なくないようです。

調査概要

調査方法:インターネット調査会社が保有しているモニターに対して、webアンケート調査/インタビュー調査を実施

対象者:スクリーニング調査:日本国内に居住する20歳以上の男女(10,982名)

本調査:過去1年以内に、1回以上、泊りがけの観光旅行をした経験がある人(1,111名)

インタビュー調査:本調査と同条件で、インターネット上のチャット形式で実施(28名)

調査時期:2025年3月18日~22日

出典元:株式会社JTB総合研究所 プレスリリース

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