博報堂生活総合研究所(株式会社博報堂のシンクタンク)が全国20~69歳の男女1,500名を対象に実施している「来月の消費意欲」調査の最新結果が発表されました。この調査は消費意欲を数値化するもので、今回は「2025年5月の消費予報」の結果が明らかになっています。

調査は2025年4月3日から7日にかけて行われ、5月の消費意欲指数は44.1点となりました。前月比では2.5ポイント減、前年同月比でも2.9ポイント減と、いずれも減少する結果となっています。

5月の消費予報 主要ポイント

【Point1】物価高に加え世界的な経済不安も影響し、大型連休への消費意欲が高まらず

例年であれば、5月の消費意欲指数は大型連休があるものの、4月からの変化はあまり見られない傾向にあるそうです。しかし今年は前月比2.5ポイント減、前年比でも2.9ポイント減と両方ともに低下しました。これは過去5年間の同月で最低の数値であり、直近4ヶ月連続で最低記録を更新しているとのことです。

消費意欲指数の理由(自由回答)の分析によると、前月と比較して消費にポジティブな回答(4月359件→5月334件)、ネガティブな回答(4月846件→5月857件)はどちらもほぼ横ばいとなっています。

具体的な回答内容では、ポジティブな回答で「大型連休がある」という意見が増加(4月5件→5月56件)した一方、「新生活の準備」(4月46件→5月9件)や「春物の服が欲しい」(4月33件→5月10件)といった回答が減少しました。ネガティブな回答では、「大型連休のために節約・我慢」という意見が減少(4月25件→5月5件)していますが、「不景気・社会不安・政治不信」(4月1件→5月14件)や「国際情勢への不安」(4月0件→5月6件)といった回答が増加傾向にあります。

前年同月との比較では、消費にポジティブな回答が減少(2024年5月392件→2025年5月334件)し、ネガティブな回答が若干増加(2024年5月827件→2025年5月857件)しました。特にポジティブな回答では「大型連休がある」という意見が大幅に減少(2024年5月100件→2025年5月56件)しています。

ネガティブな回答では「金欠・収入減などで余裕がない」という意見が増加(2024年5月92件→2025年5月116件)し、「物価高・値上げ・円安」に関する回答は3ヶ月連続で増加を続け(2月88件→3月153件→4月174件→5月185件)、前年同月比では2倍以上(2024年5月85件→2025年5月185件)に増えていることがわかりました。

このように、継続する物価高や世界的な経済不安が消費者心理に影響を与え、例年であれば消費が活発になるはずの大型連休に向けた消費意欲も伸び悩み、財布の紐が固く引き締まる5月になる見通しです。

【Point2】消費意向は「ファッション」など春支度関連のカテゴリーで男性を中心に前月比減少

調査結果によると、「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」と回答した人の割合は25.5%で、前月比では3.8ポイント減、前年比でも3.5ポイント減と、双方とも大きく低下しているとのことです。男女別に前月比を見ると、男性が8.1ポイント減、女性が0.6ポイント増となっており、特に男性の消費意向が大きく低下していることが明らかになりました。

16のカテゴリー別の消費意向を前月と比較すると、「ファッション」「装飾品」「スマートフォン・携帯電話」「家電・AV機器」の4カテゴリーにおいて20件以上の減少が見られました。特に男性では「ファッション」や「食品」などのカテゴリーでの落ち込みが目立っています。

また、前年同月比では「日用品」カテゴリーが20件以上増加する一方、「ファッション」では20件以上の減少が確認されました。これらの結果から、2025年5月は特に男性を中心に春物衣料や新生活関連など幅広いカテゴリーで消費意向が落ち着いた状態になると予測されています。

消費者心理の変化と今後の見通し

この調査結果から見えてくるのは、継続的な物価高や不安定な経済情勢が消費者心理に大きな影響を与えていることです。特に男性の消費意欲が低下しており、例年であれば消費が活発になる大型連休シーズンにもかかわらず、全体的に慎重な消費行動が予測されています。

「物価高・値上げ・円安」に関する懸念は3ヶ月連続で増加しており、これが消費者の財布の紐を引き締める大きな要因となっています。また、「不景気・社会不安・政治不信」や「国際情勢への不安」といった回答も増加傾向にあり、消費者の不安感が高まっていることがうかがえます。

企業としては、このような消費者心理の変化を踏まえた商品・サービス展開やマーケティング戦略の見直しが求められるでしょう。特に「日用品」カテゴリーが前年比で増加していることから、必需品に対する需要は堅調であることが分かります。一方で、「ファッション」や「装飾品」といった嗜好品カテゴリーでは消費意欲の低下が顕著であり、この傾向を踏まえた対応が必要となります。

博報堂生活総合研究所による「消費予報」は、消費者の意識や行動の変化を捉える貴重な指標となっています。今回の調査結果からは、物価高や経済不安という厳しい環境下での消費者心理が浮き彫りとなり、企業や市場関係者にとって重要な示唆を提供しています。

出典元:株式会社博報堂 プレスリリース

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