PR活動の新たなトレンドと未来戦略の展望

デジタル技術の進展やSNSの進化に伴い、PR戦略も日々変化しています。2023年度と比較することで、2024年度にはどのような変化が見られるのでしょうか。

 株式会社PRIZMAは、企業の広報担当者を対象に「PRの最新トレンドに関する調査」を実施しました。企業が重視するPR手法の変化や、実際に成果が出ているトレンドについて、前年度との比較を交えながら詳しく分析しています。今後のPR戦略を見直す上で欠かせないデータをご参照ください。

 


調査設問

Q1. 過去1年で強化しているPR内容は何ですか?
Q2. 過去1年でどの広報手法を強化しましたか?
Q3. 過去1年で新たに取り入れたPR手法のうち、最も活用したものは何ですか?
Q4. 新たに取り入れた手法について、その効果の満足度を教えてください。
Q5. 今後、検討または興味のある手法を教えてください。
Q6. 「企業価値を高める広報」として具体的にどのような取り組みを行っていますか?
Q7. それに対して、どのような手段で発信を行っていますか?
Q8. 効果測定はどのように実施していますか?
Q9. 今後注目すべきPRトレンドは何だと考えますか?
Q10. 具体的にどのように活用したいですか?

 

※原則、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%に達しない場合があります。以下は調査結果の一部です。

 

PR活動の分散化が進行中!広報戦略の変化とは

「過去1年で強化しているPR内容」を調査した結果、全体的な割合が減少していることが分かりました。特に『新製品・サービスの紹介』は前年度の65.4%から55.6%へと約10ポイント減少し、『SDGs、ESG、CSRなど企業の社会的責任活動』も55.3%から52.1%へと若干下降しました。

 

一方で、『業務提携・事業提携・資金調達』は36.4%から35.3%へ、『経営陣からのメッセージ』は17.3%から17.0%と、減少幅は比較的小さい傾向が見られました。

これらの変化により、企業のPR戦略は分散しつつあることが明らかです。特に新製品・サービスの紹介が減少したことは、製品のプロモーションよりも、他の広報活動にリソースを多く割いている可能性を示しています。また、社会的責任活動のPR強化は若干減少したものの、高い割合は維持されており、企業のサステナビリティ戦略が依然として重要視されていることが窺えます。

 

従来手法減少、デジタルPRが加速

次に、「過去1年で強化している広報手法」に関する調査の結果、全体的に多くの項目が減少する中、『オウンドメディアの運用』(21.1%→23.1%)と『SNSの運用』(18.1%→20.7%)がわずかに増加していることが確認されました。一方、従来の広報手法である『プレスリリースの配信』や『メディアリレーションズ』は、それぞれ56.3%から47.9%、48.5%から40.2%と減少傾向がありました。

この傾向は、企業の広報活動が従来のメディア向けPRから、より直接的な情報発信へとシフトしていることを示唆しています。特に、オウンドメディアやSNSというデジタルプラットフォームの利用が増加していることから、自社で発信する情報の重要性が高まっていると言えるでしょう。一方で、『プレスリリース』や『メディアリレーションズ』の減少は、広報活動のコスト削減やマスメディアの影響力の変化とも関連している可能性があります。

 

デジタルとリアル、両軸で進化する広報活動

「過去1年で採用したPR手法の中で最も活用された手法」については、『SNSの運用(28.2%)』が最多で、続いて『プレスリリースの配信(26.8%)』『オウンドメディアの運用(18.5%)』という結果が出ています。これにより、大多数の企業が新たなPR手法を取り入れていることが伺えます。

特に、デジタルメディアの利用が拡大している様子が伺え、SNSの運用が最も多く選ばれたことから、企業が消費者との直接的なコミュニケーションを重視していることが感じられます。

 

また、オウンドメディアの活用やウェビナー・オンラインイベントという取り組みも見受けられ、企業自らの情報発信の重要なチャンネルが高まっていることが明らかです。一方で、展示会やポップアップストアといったオフラインの取り組みも依然として一定の割合で実施されており、デジタルとリアル両面でPR活動が展開されていると考えられます。

 

全体として、新たに採用されたPR手法は概ね良好な評価を得ているものの、戦略を見直す必要性が高いことも示唆されています。

 

次世代のPR戦略はハイブリッド型に

「今後検討予定のPR手法」について尋ねると、『オウンドメディアの運用(41.4%)』の選択が最も多く、続いて『SNSの運用(34.9%)』『ウェビナー・オンラインイベント(22.5%)』が挙げられました。

今後のPR戦略において企業が特に注目しているのは、自社のメディアを活用した情報発信であることが伺えます。

オウンドメディアやSNSへの関心が高まっていることから、企業はマスメディア依存から脱却し、より自社で制御可能な情報発信手法を強化しようとしている様子が伺えます。

 

企業価値向上のカギとは

2023年度の調査では、多くの企業が「企業価値を高める広報」に取り組んでおり、それぞれの施策の効果は企業によって異なります。広報活動を通じてブランド価値や信頼性を高める具体的な方法や、企業が利用しているメディアは資料に詳細に記載されています。

さらに、広報活動がどのように企業価値に結びつくのか、効果測定の指標についても紹介されています。

未来を切り開くPRのトレンド

最後に「今後注目すべきPRトレンド」を尋ねたところ、『ターゲット一人ひとりに合わせたコミュニケーション(パーソナライズドコミュニケーション)(49.9%)』と回答した方が最も多く、続いて『オンラインとオフラインの融合的活用によるコミュニケーション強化(ヒューマンアプローチ)(46.8%)』『データに基づいた、説得力のあるコンテンツ発信(ファクトデータ)(32.5%)』『AIのさらなる活用(26.2%)』という結果が出ました。

今後のPR戦略では、個々のターゲットに合った情報提供が重視され、マス向けの発信からパーソナライズドなアプローチへと移行する傾向が強いと考えられます。さらに、データに基づいたファクトドリブンなコンテンツ発信の重要性や、AIの活用が注目されることも、今後の広報戦略に影響を与える主要な要因と考えられます。

 

■具体的にどう活用したいか
・多様な取り組みをタイムリーに情報発信(埼玉県/50代/会社員)
・メディアを利用して多くの顧客の認知を得たい(大阪府/40代/会社員)
・若者に向けた魅力ある発信(青森県/40代/会社員)
・日々のモノとサービスの普及度を収集し、市場のニーズを理解したい(千葉県/50代/会社員)
・AIによる業務の自動化を進めたい(京都府/30代/会社員)

 


まとめ

1.企業のPR活動はデジタル化とパーソナライズ化が進行中

本調査を通じて、企業のPR活動がデジタル化し、伝統的手法に加え新たなチャネルやアプローチが積極的に採用されていることが明らかになりました。特に、SNSやオウンドメディアの運用が強化され、企業は自社の発信力を高める方向へシフトしています。一方で、プレスリリースやメディアリレーションズといった伝統的な広報手法も依然として重要視されています。

 

2.効果測定はブランド認知や企業イメージの調査が主流

PR活動の効果測定では、ブランド認知度査や企業イメージ調査を用いる傾向が強く、単なる売上成長率やPV数ではなく、広報活動がもたらす長期的な影響を重視する企業が増加しています。特に、SNSのリアクション数を指標に選ぶ企業も多く、デジタルメディアの影響力の高まりが伺えます。

 

3.今後のPRトレンドはパーソナライズとオンライン・オフラインの融合

今後のPRトレンドとして最も注目されているのは「パーソナライズドコミュニケーション」であり、ターゲットごとに最適な情報を届ける手法が重視されています。また、「オンラインとオフラインの融合的活用」にも関心が集まり、デジタルとリアルの統合型PR戦略が主流になる可能性が高いことが示唆されています。

 

企業の広報戦略は多様化・高度化へ

広報活動は多様化・高度化しており、従来の方法を維持しながら、よりターゲットに合ったアプローチを模索する動きが見られます。今後は、デジタル技術を活用したパーソナライズされた広報活動がさらに進化し、企業価値の向上に向けた新たな施策が展開されることが予想されます。

調査に関する全文は、資料で詳細に紹介されていますので、ぜひご覧ください。

調査概要

調査テーマ:【前年度比較】PRの最新トレンドに関する調査

調査期間:2025年2月7日(金)~2月11日(火)

調査方法:PRIZMAが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査

調査対象:企業の広報責任者

調査人数:507名

モニター提供元:PRIZMAリサーチ

出典元:株式会社PRIZMA

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