
株式会社スパイスマートでは毎月、日本、中国、及びグローバル市場(韓国や米国など)向けに調査を実施し、様々なトレンドレポートを会員に提供しています。そのなかで、2024年12月における中国のスマートフォンゲーム市場において、日本製IPタイトルの動向についての調査が行われ、その結果の一部が発表されました。
調査概要
調査対象:中国App StoreのセールスランキングTOP200に入った日本発IPスマホゲーム
対象期間:2024年12月1日~12月31日
調査内容:日本製IP作品の市場における割合、ジャンル別分布、パブリッシャーの動向、新作の傾向等
調査サマリー
・2024年12月、中国App StoreランキングのTOP200(以下、中国TOP200)において、日本発IPのスマホゲームは全体の12%を占め、前年同月と比較しても減少傾向にあります。
・日本発のIPスマホゲームの中では、ターン制RPGが最も多く存在しています。
・中国TOP200内にランクインした日本発IPゲームのおよそ30%がリリースから1年未満の作品であることが分かりました。
・1つのIP作品に対して複数の企業が異なるゲームをリリースする動きが見受けられ、ユーザー獲得の競争が激化しています。調査によると、日本発IP作品のうち、Tencent Gamesがパブリッシングしている作品が半数の12作を占め、NetEase Gamesよりもアクティブに日本IPを活用している様子が伺えます。
2024年12月には、中国TOP200において日本発IPを基盤としたスマホゲームが24作品ランクインし、全体の12%を形成しました。一方、2023年12月の同時期には30作がTOP200に存在し、昨年に比べて数が減少していることが確認されています。
ジャンル別の傾向を見てみると、日本発IPスマホゲームの66.7%がRPGジャンルに分類され、特にターン制RPGが6作品(25%)を占める結果となっています。

リリース年別にみると、中国TOP200内の日本発IP作品の29.2%、すなわち7作品がリリースから1年未満となっています。2023年の同時期における日本発IPタイトルの新作割合は20%で、この数字は2023年に実施されたゼロコロナ政策の解除の影響とも考えられます。
また、今後も日本のIP作品に対して複数企業が異なるゲームを開発する動向が目立っています。例えば、IP「ワンピース」を基にしたゲームアプリは2023年12月において4作品がTOP200に復帰したものの、翌年12月にはわずか2作品に減少し、その残りはランキング外に推移しました。同様の傾向は「聖闘士星矢」のIPゲームアプリでも見られ、3作品から2作品に減少しています。中国で人気の日本IPに集中して開発が行われた結果、類似タイトルが市場に溢れ、ユーザーの分散や競争の激化がランキングの下落に繋がることもあります。

企業別に見ると、Tencent Gamesが開発した作品が12作ランクインしており、NetEase Gamesに比べても日本のIPを積極的に採用している様子が伺えます。しかしながら、数自体は減少しており、その背景には政府のオリジナルIP推奨政策が影響していると考えられます。2024年12月に新たに増加した日本発IPタイトルの多くは、海外市場向けに開発された日本版ゲームを簡体字化したもので、中国独自の開発作品とは言い難い状態です。
このような状況の中で、中国政府のオリジナルIP重視の方針が影響を及ぼし、日本IPを基にしたスマホゲームの新作開発に対して慎重な姿勢が見受けられます。また、グローバルでのIPブランド育成の幅が制限されつつある現状です。一方で、ローカライズ版であっても一定のユーザー獲得が見込まれるため、日本を拠点とするIPホルダーにとってはリスクとチャンスが共存している状況と言えます。
各タイトルの概況や現状に関する詳細情報は調査レポートで詳しく説明されています。スパイスマートは、東アジア市場を中心にスマートフォンゲームに関する調査・分析や、IPのコラボ仲介、ビジネスマッチングを基幹事業として展開しています。今後も最新の市場動向を発信し、スマートフォンゲーム企業及びその環境にいるIPホルダー企業の成功を支援する所存です。

株式会社スパイスマートについて
日本及び東アジアを中心に、スマホゲームに特化した調査データ提供とコンサルティング事業を展開しています。
スマホゲーム特化の分析データと運営ソリューション「LIVEOPSIS」の提供の他、海外企業における日本展開に関連するパートナー探しや、アニメ・漫画を中心とした日本IPのライセンス獲得支援を行っています。
出典元:株式会社スパイスマート プレスリリース