生活者の生活満足度向上に向けて取り組む「くふう生活者総合研究所」(以下、くふう総研)は、2024年に影響を与えた出来事をまとめた「くふう総研 くらしのトレンドキーワード 2024」を発表しました。

生活者が選んだ「くふう総研 くらしのトレンドキーワード2024」を発表!

くふう総研が2024年の代表的なキーワードとして選出した30のキーワードの中から、20代から70代以上の8,549名の生活者が「生活に大きな影響を及ぼした」「印象に残った」事象や商品に投票しました。物価高、地震、猛暑、米不足といった顕著な出来事が多数見られ、特に注目された上位10位のキーワードが「くふう総研 くらしのトレンドキーワード2024」として決定されました。

以下は、上位10位のトレンドキーワードに対するくふう総研メンバーからのコメントと説明です。

1位「物価高が止まらない」(5,135票)

サブキーワード「食料品・日用品の値上げ」「賃上げの実感なし」

2024年でも多くの商品が値上げされました。特に食品業界では、原材料コストの高騰や物流費の上昇、円安による輸入物価の上昇が影響を及ぼしています。そのため、多くの生活者は賃金の上昇を感じられず、節約志向が高まっています。

*帝国データバンクによると、2024年の値上げ品目数(予定含む)は1万2,520品目、年間平均値上げ率は17%と予想されています(2024年11月29日時点)。

家計簿アプリ「Zaim」のデータによると、物価高に対処するために購入点数を制限したり、買い物の頻度を減らす人が多く見られます。(「Zaim」サービス責任者/深谷)

2位「令和の米騒動」(3,718票)

サブキーワード「米が買えない」「新米が高い」

2023年の猛暑やインバウンド需要の高まりにより、2024年夏には深刻な米不足と価格高騰が発生しました。生活者は米を確保するために、パスタやそばといった代替品を利用する姿が見受けられました。

「トクバイ」でのチラシでは、米が掲載されることが大幅に減少していましたが、現在は回復の兆しが見られます。「Zaim」に登録されたレシートの分析では、米の購入平均単価が上昇し続けています。(「Zaim」データビジネス担当者/舞山)

3位「令和6年能登半島地震」(3,429票)

1月1日16時10分ごろ、能登半島を中心にマグニチュード7の地震が発生しました。元旦の地震により帰省者が増えて人的災害が拡大し、社会的影響も大きくなった事件です。現在も被災地では支援が求められています。

4位「猛暑で長い夏」(3,331票)

サブキーワード「猛暑日過去最多」「熱中症特別警戒アラート」「秋がない」

2024年の夏(6月から8月)の全国平均気温は、2023年と並び、統計開始以来最大値を記録しました。観測された猛暑日は昨年を上回り、特に熱中症特別警戒アラートが繰り返し発表される状況が続きました。残暑が収束せず、例年の過ごしやすい秋の気候が見られませんでした。

「Zaim」のレシート解析からは、猛暑によって生活者の行動が示されています。多くの方が夕方以降にスーパーで買い物をするようになり、ハンディファンや日傘の購入も増加しました。(「Zaim」データアナリスト/木寺)

5位「大谷翔平選手と真美子さん」(2,293票)

サブキーワード「50-50」「デコピン」

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が9月に、プロ野球史上初となる1シーズンでの50本塁打と50盗塁を達成しました。大谷選手による2024年の経済的影響は日米で1168億円以上と試算され、多忙な日々を送る中、2月には真美子さんとの結婚も報じられました。

※関西大学・宮本勝浩名誉教授の試算による。

6位「『諭吉』から『渋沢栄一』へ」(1,941票)

サブキーワード「新紙幣発行」

2024年7月3日に、20年ぶりに新しいお札が発行されました。デザインが一新され、新紙幣には渋沢栄一(1万円)、津田梅子(5千円)、北里柴三郎(千円)の功績が描かれています。

新しく発行されたお札ですが、キャッシュレス文化が広がる中で新紙幣に触れる機会が減少しており、注目度は薄いようです。調査によると「ほぼ毎日キャッシュレス決済を利用している」という回答が半数を超え、貨幣の意味の変化がうかがえます。(くふうカンパニー日常生活サービス領域責任者/草深)

7位「マイナ保険証一本化」(1,707票)

サブキーワード「紙の保険証発行廃止」

2024年12月2日から、新たに健康保険証の発行が停止され、マイナンバーカードに保険証の機能が統合されます。発行済みの健康保険証はそのまま使用可能ですが、2025年12月2日以降は無効になります。

8位「『103万円の壁』引き上げ」(1,484票)

年収103万円を超えることで納税義務が発生する「103万円の壁」が、労働時間制限に影響を及ぼしていました。11月の衆議院選挙では、この「103万円の壁の引き上げ」が重要な争点として浮上しました。

「年収の壁」は仕事の機会と関連し、小売業が賃上げを行う中で、年末や繁忙期には労働力確保が難しくなる状況が懸念されています。小売業界全体でこの壁を引き上げる必要性の声が高まり、引き上げ検討への期待が寄せられています。(「リテール・リーダーズ」編集長/竹下)

9位「南海トラフ地震臨時情報」(1,423票)

8月8日に政府から発表された「南海トラフ地震臨時情報」により、初の巨大地震に関する警告を受け、備蓄品の購入が進みました。解除された8月15日には多くの人々が日常の予定を再考せざるを得なくなりました。

「Zaim」のデータ分析によれば、南海トラフ地震の警告発表後、災害対策品への支出が全国的に多く増加し、特に被害が予想されたエリアでは消耗品や水の購入が倍増した状況が確認されました。(「Zaim」データビジネス担当者/舞山)

10位「新NISA開始」(1,206票)

サブキーワード「NISAで積み立て」「オルカン」

NISAは、少額からの投資を行うための「少額投資非課税制度」です。2024年1月に新制度への移行が実現し、「年間投資上限額の拡充」と「非課税期間の無期限化」が実施されました。

「くふう 家計簿」の調査によると、投資を行っていない一般の方でも「NISAで資産を積み立てる」という意識が広がり、貯金感覚で利用する人が増えていることが確認されています。「Zaim」の9月調査では、NISA口座を開く人が78.1%に達しました。(「くふう 家計簿」コンテンツディレクター/白井)

2024年におけるお金に関連した大きな変化。情報入手と個々の工夫が将来のキーに

新型コロナウイルスによる行動制限がすべて解除された年ではありますが、物価の上昇や異常気象の影響は続いており、このランキングにも影響が見られます。

上位にランクインしなかったキーワードには「定額減税」(13位)や「キャッシュレス生活の定着」(14位)、「ポイント経済圏争い激化」(17位)といった、2024年の社会情勢を示す様々な変化が多く見られました。特に、生活者にとって重要なお金に関する変化が多かった年と言えるでしょう。

生活者は、正確な情報を得て自らの経済活動をどう構築していくかが、2025年以降の豊かな生活に繋がると考えられています。

■「くふう総研 くらしのトレンドキーワード 2024 」概要

くふう生活者総合研究所は、「2024年を象徴するキーワード」の選定において、30の事象と商品をピックアップしました。ノミネートされたキーワードに対し、「Zaim」と「トクバイ」のユーザーを対象に、影響があった出来事や印象に残った事柄についてアンケート調査を実施し、その結果を基に決定しました。

調査概要

テーマ:2024年についてのアンケート

エリア:全国

対象者:8,549名

①「トクバイ」ユーザー 5,380名 ②「Zaim」ユーザー3,169名

(年代内訳/10代0.5%、20代5.1%、30代11.2%、40代18.7%、50代30.8%、60代26.0%、70代以上7.7%)

期間:2024年11月25日(月)〜2024年11月27日(水)

方法:インターネットによる調査

ノミネートキーワード

●「くふう生活者総合研究所」について

くふうカンパニーグループの提供する生活者向けサービスを通じて蓄積されるデータやリアルな声を分析し、生活者の生活満足度及び社会全体の生活満足度の向上に寄与する情報発信を展開しています。

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