産直ECとは?ECを介した生産者と消費者がつながる形

産直ECとは?

産直ECは、農業や漁業の生産者から消費者に直接販売することができるECプラットフォームです。従来の商流では、卸売業者や小売店などを通して消費者のもとに生産物が届きますが、産直ECでは、生産者と消費者が直接つながるのが特徴です。

産直ECの流通総額

株式会社富士経済が行った国内市場調査によれば、産直ECプラットフォームの2020年の流通額は40億円であり、前年比20倍となっています。経済全体としてEC市場が成長するに伴い、産直ECも規模を拡大しています。

今後、市場の伸びは緩やかになると見られていますが、産直ECプラットフォームを併用する生産者の増加が期待されること、また食品へのこだわりや生産背景を楽しむ消費者からの需要も期待されることから、産地直結型農業ビジネスによる農産物流通額は拡大することが予想されています。

参考:https://www.fuji-keizai.co.jp/market/detail.html?cid=21077&view_type=2

産直ECプラットフォームの仕組み

そもそも「産直」とは、「産地直送」や「産地直売」の略称です。生産者にとっては規格にそぐわない生産物を販売できること、消費者にとっては中間マージンの削減によりお得に購入できることなどが魅力になります。

この「産直」をECで行うことができるように作られた仕組みが「産直ECプラットフォーム」です。生産者が産直ECプラットフォーム上に商品を出品し、それを見た消費者が商品を注文できる仕組みになっています。また、商品は生産者から直接、消費者に向けて発送されます。

自社ECとの違い

自社ECとは、企業が独自に開発したECサイトのことをいいます。楽天市場やAmazonといったECモールに比べ、サイトのデザインや集客方法などの自由度が高い一方で、構築コストが高くなったり、軌道に乗るまでの集客難易度が高かったりといったデメリットがあります。

産直ECプラットフォームは、ECモールの形態であることが多いです。そして、生産者が利用することを前提にして構築されているため、使いやすく、自社ECに比べ、EC運用業務の負荷が少ないつくりになっています。日々の生産活動に忙しい生産者にとっては取り組みやすいでしょう。

産直ECのメリット

次に産直ECの4つのメリットをご紹介します。

販路を拡大できる

産直ECプラットフォームに出店することで、卸売業者や小売店などを通じた商流に加えて新たな販路を獲得することができます。販売数を増やしたり、生産物に付加価値をつけて販売したりできるため、売上拡大につなげられます。

また、災害が発生した場合や、感染症の拡大によって、予期せぬ事態に陥った場合にも、直接消費者とつながっていることで共助機能が働くことが期待できるでしょう。

消費者の声を聞ける

産直ECは、生産物のこだわりを伝えたり、消費者からのフィードバックを受けたりとコミュニケーションの機会を得られます。消費者とのコミュニケーションを励みに、事業に取り組むのもいいでしょう。

事務コストを抑えられる

受注管理や伝票の記載、振込手続きなどの事務作業は、産直ECプラットフォームが担ってくれるため、販路を拡大しながらも事務コストは最小限に抑えられます。初期投資も小さく済むため、チャレンジしやすい取り組みといえます。

認知を拡大できる

産直ECプラットフォームに出品することで、企業名や生産者名が消費者の目に触れる機会を増やすことができます。将来的に産直の売上を伸ばしていきたいと考える場合にも、消費者に認知されていることは強みとなります。

産直ECのデメリット

メリットが多い産直ECですが、デメリットも確認しておきましょう。

売上金が入金されるまでにタイムラグがある

産直ECプラットフォームを通じて代金のやり取りが行われるため、従来の市場商流に比べて売上金が手元に入るまでのタイムラグが大きくなりがちです。産直ECを始める前には、入金までのタイムラグは許容できるものなのか確認しておくと安心です。

梱包、在庫管理の手間がかかる

産直ECでは消費者に直接生産物を届けるため、個別の梱包や伝票処理が必要になります。また、販路が拡大することで、在庫管理にも気を配らなければなりません。従来の市場商流では発生しない作業になるため、どのように対応するのか検討しておくべきでしょう。

代表的な産直ECプラットフォーム

最後に代表的な産直ECプラットフォームをご紹介します。自社に合ったプラットフォームを見つけてください。

食べチョク

産直EC 食べチョク

「食べチョク」は、株式会社ビビッドガーデンが運営する産直通販サイト。ユーザー数は70万人以上を誇ります。農産物にとどまらず、畜産物、水産物、ジビエや花など、幅広い生産物を出品可能です。初期費用や月額費用は不要で、販売手数料は​​顧客支払額の8%~18%になります。

ポケットマルシェ

産直EC ポケットマルシェ

ポケットマルシェは株式会社雨風太陽が運営する産直アプリ。全国の農家、漁師が出店でき、16,000点以上の食材が出品されています。スマホから出品が可能で、消費者が食材を購入すると伝票が届き、それに基づいて商品を発送する仕組みになっています。初期費用や月額費用は不要で、販売手数料は​​売上額の20%です。

八面六臂

産直EC 八面六臂

八面六臂は、八面六臂株式会社が運営する関東近郊の飲食店向けに特化した産直ECサイト。物販だけでなく、フルフィルメント機能とデリバリー機能を活かした独自のロジスティクスサービスを敷いている点が特徴です。魚介類や水産物がメインでしたが、現在は肉類や果物など、幅広い商品を取り扱っています。

ギョギョいち

産直EC ギョギョいち

JFおさかなマルシェ ギョギョいちは、全国漁業共同組合連合会(JF)が中心に、選定した魚介類「プライドフィッシュ」を販売する産直ECサイト。JF全漁連が直接販売することで流通コストを削減し、漁業者の所得改善につなげることも狙いのひとつとなっています。

チョクバイBOX

産直EC チョクバイBOX

チョクバイBOXは、流山市、柏市、松戸市、我孫子市、鎌ケ谷市の消費者向けに展開される地産地消型の産直ECサイト。野菜セットとして販売しており、その配達は地域の読売新聞販売店が担っています。

おわりに

生産者と消費者が直接つながる産直ECをご紹介しました。販路が増えるだけでなく、消費者との接点が持てる点が魅力です。ブランドや生産物の強みを売上につなげたいと考えている生産者は、生産物の出品とともにこだわりを伝える工夫をしてみてはいかがでしょうか。また、産直ECプラットフォームは、忙しい生産者が使いやすい仕組みを取っているため、負担を抑えてスタートできる点にも注目です。

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