
株式会社博報堂プロダクツ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:橋本 昌和)が、全国の一般生活者ならびに企業のマーケティング担当者を対象として、脱炭素に関する情報発信やコミュニケーションの受け止め方、および課題についての調査を実施しました。
調査の結果、脱炭素は多くの一般生活者において「欠かせないテーマ」として認識されているものの、実際の商品やサービスの選択場面においては必ずしも重視されていないことが明らかになりました。その背景として、情報が十分に理解されていない点や、一般生活者との接点づくりに課題がある可能性が示唆されています。また、脱炭素に関するコミュニケーションは「実施の有無」を示すフェーズを超えており、「一般生活者にとって理解しやすく、選択における判断材料として機能する形で伝えられているか」が問われる段階に入っていることも浮き彫りになりました。今回の調査結果からは、情報発信の量だけでなく、どこで、何を、どのように伝えるかというコミュニケーション設計の重要性が浮かび上がっています。
調査結果の主なポイント
企業のマーケティング担当者の約4割にあたる43.7%が「一般生活者は脱炭素を重視している」と想定している一方で、実際に重視していると回答した一般生活者は約4人に1人の23.8%にとどまっています。
一般生活者においては、脱炭素が「欠かせないテーマ」であると認識している割合は約6割の57.6%に達しています。しかし、商品やサービスを選択する際に脱炭素を重視していると回答した割合は23.8%にとどまっており、認識と実際の行動には乖離が見られます。
脱炭素に関する情報について、「伝わっている」とは言い切れない状況が明らかになっており、一般生活者の半数以上が判断できるほど理解できていない実態があります。
一般生活者と企業のマーケティング担当者では「脱炭素情報の重視ポイント」に違いが見られます。一般生活者は自身との関係性や分かりやすい説明を重視する傾向がある一方、企業側は数値や発信内容の説明性を重視する傾向にあります。
脱炭素情報の接触チャネルにも特徴の違いが確認されました。企業は企業サイトやサステナビリティレポートを重視していますが、一般生活者はニュースメディア記事や広告、店頭表示など幅広いチャネルから情報を取得しています。
調査概要
調査名称:脱炭素に関する意識・情報接触調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年3月16日~23日
調査対象:全国の一般生活者(20~60代):210サンプル、企業のマーケティング担当者:206サンプル
調査委託先:QO株式会社
企業担当者の想定と一般生活者の実態に乖離
企業のマーケティング担当者に対し「一般生活者は脱炭素の取り組みをどの程度重視していると思うか」を質問したところ、約4割が「重視されていると思う」と回答しました。その一方で、一般生活者自身への調査では、商品やサービス選択時に企業やビジネスの脱炭素への取り組みを重視すると回答した人は23.8%にとどまっています。
この結果から、企業のマーケティング担当者が想定している一般生活者の意識と、一般生活者自身の実態の間には差があることが明らかになっています。
認識と行動の間にギャップ
一般生活者に対して脱炭素の取り組みについての意識を質問したところ、約6割にあたる57.6%が「今の暮らしに欠かせないテーマだと思う」と回答しました。しかし、商品やサービス選択時に実際に脱炭素の取り組みを「重視している」と回答した一般生活者は23.8%にとどまっています。
この結果から、脱炭素は社会的に重要なテーマとして認識されている一方で、商品やサービス選択時の重視度との間には差が見られることが浮き彫りになりました。
脱炭素情報の理解度が不十分
脱炭素に関する情報のわかりやすさについて一般生活者に質問したところ、「わかりやすい」と感じている人は15%にとどまりました。その一方で、「わかりにくい」「情報に触れたことがない」と回答した層を合わせると、約半数の50.9%の割合が脱炭素について判断できるほど理解できていない状態にあることが明らかになりました。脱炭素の情報の内容や伝え方が、一般生活者の理解につながっていない可能性がうかがえます。
重視する情報のポイントに相違
脱炭素に関する情報について一般生活者の意識を見ると、「知りたい、重視する情報はない」が35.0%で最多となりました。その一方で、「自分へのメリット(安全性・使い勝手等)」が33.8%、「社会全体への効果」が33.1%、「具体的な取り組み内容(工程・素材・物流等)」が31.5%と上位に挙がっており、脱炭素の取り組みが自身や社会にどのような影響や価値をもたらすのか、また実際にどのような取り組みが行われているのかが分かる情報へのニーズもうかがえました。
また、「信頼できる根拠」としては、「生活者向けのわかりやすい説明(図解・比較)」が59.6%で最も高く、「第三者による検証・監査」の52.9%や「定量データ(目標・実績)」の51.8%を上回る結果となりました。一般生活者は、客観的な根拠だけではなく、その内容を理解しやすい形で伝えられていることも重視していることがうかがえます。
その一方で、企業のマーケティング担当者が脱炭素コミュニケーションを検討する際に重視している要素を見ると、「数値(CO₂削減量・目標・進捗)」が53.4%、「わかりやすいスローガン・ビジュアル」が42.7%、「コスト・価格への影響説明」が42.2%と上位となりました。
この結果から、企業側が発信内容の説明性や分かりやすさを重視している一方で、一般生活者側では自身へのメリットや社会への効果、具体的な取り組み内容への関心が比較的高く、両者が重視する情報には違いが見られました。脱炭素コミュニケーションにおいては、取り組みの事実や実績を伝えるだけでなく、その取り組みが生活者にとってどのような意味や価値を持つのかを伝える視点も求められている可能性が示唆されています。
情報接触チャネルにも違い
情報の届け方(チャネル)について見ると、企業側が発信先として重視しているチャネルは「企業サイト」が63.1%、「サステナビリティレポート」が32.0%でした。その一方で、一般生活者が実際に接触している、あるいは今後接触したいチャネルとしては、「ニュースメディア記事」「TV・デジタル広告」「店頭・パッケージ表示」なども上位に挙がりました。特に、「企業サイト」や「サステナビリティレポート」は企業側で活用が進んでいる一方、一般生活者の接触率は比較的低い結果となっており、オウンドメディアでの発信が進む一方で、一般生活者の接触率は必ずしも高くなく、より幅広いチャネルを通じた情報発信の重要性もうかがえます。また、「覚えていない/見ていない」と回答した一般生活者も48.1%にのぼり、脱炭素情報そのものとの接触機会が十分に形成されていない実態も明らかになりました。
その一方で、企業のマーケティング担当者自身も、「効果測定の難しさ(KPI設計)」が39.8%、「わかりやすい可視化・表現ノウハウ不足」が38.3%、「何から始めてよいかわからない」が26.7%といった、コミュニケーション設計に関わる課題を挙げています。これらの結果を踏まえると、脱炭素に関する情報発信においては、「どれだけ発信しているか」という量の問題ではなく、「どこで」「何を」「どのように伝えるか」といったコミュニケーション設計のあり方に違いが見られることが明らかになりました。
企業と一般生活者をつなぐコミュニケーションの可能性
本調査から、脱炭素の取り組みは「実施しているかどうか」を示す段階を超え、一般生活者にとって理解され、選択の判断材料として機能する形で伝えられているかが問われていることが明らかになりました。
その一方で、企業側においても、何をどのように伝えるべきか、またどこで伝えるべきかといった点で、設計や運用に関する課題が存在している実態が見えてきています。
博報堂プロダクツでは、こうしたクライアント企業のサステナビリティアクションに関わる課題に対し、専門プロジェクトチームである「SUSTAINABLE ENGINE(サステナブルエンジン)」を中心に、取り組み内容の整理やコミュニケーションのあり方を捉え直しながら、その伝え方全体を再設計する支援に取り組んでいるとのことです。
今回の調査結果は、一般生活者に脱炭素への関心がないことを示すものではなく、企業が伝えたい情報が、理解や判断につながる形で十分に届いていない可能性を示唆しています。
脱炭素の取り組みを進めるうえで求められるのは、単に情報を発信することではなく、一般生活者にとって自分との関わりを理解しやすく、判断につながる形で伝えられているかという視点です。こうした認識差は課題であると同時に、企業と一般生活者をつなぐコミュニケーションを見直す機会とも捉えることができます。同社では、取り組み内容や情報の意味合いを丁寧に整理しながら、一般生活者との接点の中でどのように受け取られるのかを踏まえたコミュニケーションを構築していくことで、脱炭素の取り組みを「伝える情報」から「選ばれる理由」へとつなげる支援を行っているとしています。
SUSTAINABLE ENGINEについて
博報堂プロダクツは、企業として求められる責任を果たす「サステナビリティマネジメント」と、日々の仕事を通してアイデアの社会実装をしていく「サステナビリティアクション」の両軸で活動を推進し、持続可能な社会と事業成長を共に実現することを目指しています。サステナビリティ領域における企業のコミュニケーション課題に対し、専門性と実施力でサステナビリティアクションを加速させる専門プロジェクトチームとして「SUSTAINABLE ENGINE」を2023年に発足しました。パーパス構築、コミュニケーション設計・発信、具体化アクション支援を通じて、企業のサステナブル実装化サイクルの推進に貢献していくとのことです。
出典元:株式会社博報堂プロダクツ プレスリリース














