
一般財団法人日本ファッション協会が運営するファッション情報サイト「スタイルアリーナ(style-arena.jp)」は、おしゃれに敏感なZ世代の購買行動を明らかにするため、街頭でのインタビュー調査を実施しました。
前回の調査では、おしゃれなZ世代の購買行動が瞬間的な決断によるものではなく、「いいね」「保存」「検索」といった複数のステップを経て成立していることが明らかになっていたということです。
今回の調査では、こうしたプロセスの中で、どこからインスピレーションを受け取り、どのような方法で情報を選択しているのかという疑問を解明するために、19名への街頭インタビューが実施され、「保存」と「検索」という2つの行動について詳しく分析されました。
その結果、浮かび上がってきたのは、SNSを単に情報を眺めるツールとしてではなく、目的に応じた探索ツールとして巧みに使い分けている姿だったとのことです。
この記事の目次
調査の概要
調査時期:2026年4月19日(日)
調査手法:街頭インタビュー調査
調査地点:表参道エリア
調査対象:おしゃれなZ世代の女性19名
調査項目:
- 普段、コーデの情報をSNSから得ることはありますか?
- 最近保存したコーデと、保存した理由を教えてください
- 最近、SNSで検索したキーワードを教えてください
- 保存やキーワード検索をした後、どんな行動を取りますか?など
調査実施機関:スタイルアリーナ(style-arena.jp)
InstagramとPinterestの保存機能、実は役割が全く異なっていた
おしゃれなZ世代が日常的に利用しているSNSツールの代表格といえば、InstagramとPinterestです。
しかし、この2つのプラットフォームは一見似ているように見えても、実際には想像以上に異なる使われ方をしていることが分かったということです。
Instagramは自分の感性とマッチするものと出会う場所
Instagramでは、流れてくる情報を自分自身のフィルターを通して選別していく使い方が特徴的だとされています。
- アルゴリズムによって表示される投稿の中から、自分の感性にフィットしたものに反応していく
- 世界観の質の高さやスタイリングの完成度が判断基準となっている
- 憧れを抱いている人物やセンスの合うブランドの投稿を、自然な形で選び取っている
Pinterestはどう再現するかを具体化していく場所
Pinterestでは、頭の中にあるイメージを自ら積極的に取りに行く使い方が特徴となっています。
- キーワード検索や画像からの関連表示機能を活用して、能動的に深掘りしていく(例:「スプリングアウトフィット」「カジュアルアウトフィット」)
- 同じテーマに沿ったコーディネートやアイテムのバリエーションを大量に比較検討する
- 過去から現在、国内外を問わず横断的に比較できるため、海外発信の情報や個人の投稿もフラットに取り込める
この2つのプラットフォームを行き来することによって、最初に感じた「感性の一致」が、より具体的なスタイリングへと解像度を高めていくとのことです。つまり、SNSを受動的に見ているのではなく、目的に合わせて能動的に使い分けているということです。
Instagramのおすすめ欄を起点にトレンドを先取りして集めていく
(22歳・会社員・共有いただいた保存画像)
「流行を早めにキャッチしたいので、1月くらいから春服を探し始めています」
Instagramのおすすめ欄を起点として、「アウトフィット」「2026 SS」「ドット」といった大まかなキーワードで検索を行い、気になるものをストックしていく行動が見られたということです。
受動的にアルゴリズムで流れてくる情報を待つのではなく、季節の変わり目を先取りしながら、自分から積極的に情報を集めていく姿勢が特徴的だとされています。
類似したアイテムが手持ちにあればすぐに取り入れ、なければ実店舗やオンラインショップで探すという行動につなげているとのことです。
一方で、トレンドから外れているものや、自分のスタイルに置き換えることができないものは取り入れない姿勢も明確だったということです。情報量は豊富でも、最終的な判断基準はシンプルで明確だとされています。
Pinterestはインスピレーションの宝庫、保存は再構成のための素材として活用
(25歳・会社員・共有いただいた保存画像)
「Pinterestで、自分が軸にしたいファッションアイテムに、"outfit(アウトフィット)"をつけて検索しています」
主にPinterestを活用しているユーザーの特徴として、保存する目的が丸ごと真似することではなく、「インスピレーションを蓄積していくため」であることが明らかになったということです。
例えば、Tシャツにデニムジャケットを合わせたコーディネートが気になった場合、コーデュロイのジャケットに置き換えて考えるといった具合です。
素材やアイテムを入れ替えながら、自分独自のスタイルを具体的に再構成しているとのことです。
購入との関係性にも注目すべき点があるとされています。
『これ可愛い』という直感で先に購入することが多く、後からどのようにコーディネートを組むか考えるために検索する傾向があるということです。買い物が先で、組み合わせは後から探していくという順序です。
保存は完成された正解ではなく、自分で組み立てるための素材集として機能していたということです。
つまり、「完成されたコーディネートを真似る」のではなく、「要素を分解して使う」という前提で情報が蓄積されているとのことです。
自分のスタイルを言語化できると検索の精度が向上する
(23歳・学生・共有いただいた保存画像)
「『ダークロマンファッション』で検索しました。Xで流れてきて、自分のスタイルと少し似ていると思ったので」
検索ワードとして使われているのは、具体的なアイテム名ではなく「海外セレブファッション」「ダークロマン」といったジャンルやスタイルの系統だということです。
黒を基調としたスタイル、という自分の軸を言葉にできているからこそ、検索結果の中から取捨選択する判断が迅速になっているとされています。
興味深いのは、検索のスタート地点が必ずしもInstagramやPinterestではないという点です。
Xで流れてきた投稿を改めてジャンル名で検索したり、海外セレブやアーティストのライブ衣装を参考にしたりしているということです。
言語化する力が高いからこそ、プラットフォームを横断しても一貫したアンテナで情報を引き寄せることができるとのことです。
「バズる投稿」よりも「選ばれる世界観」が重要
今回の調査で明らかになったこと。それは、現在のブランドの情報発信に求められる要素です。
タイムラインに流れてきた一瞬で惹きつけ、世界観で"好き"をつくる必要があるとされています。広く拡散するよりも、深く刺さって「ファン化」する設計が求められるということです。
検索された瞬間に選ばれ、バリエーションで"選択肢に残る"ことが重要だとされています。作り込むよりも、接点を増やす「量」の設計が求められるということです。
どちらか一方だけでは十分に届かないとのことです。
情報発信は「見せること」ではなく、それぞれのSNSの中で、どのように選ばれるかを考えることが重要だとされています。
その起点にあるのは、バズを狙った投稿ではなく、世界観が伝わる投稿です。この設計が、これからの重要な鍵になると考えられています。
スタイルアリーナ(日本ファッション協会)について
日本ファッション協会は、1990年4月4日に通商産業大臣の設立許可を受け、企業や団体をはじめ各地商工会議所などの幅広い支援のもと、財団法人として発足しました。
スタイルアリーナ(style-arena.jp)は、「東京のストリートファッション」をテーマとして2002年6月よりスタートしたファッション情報サイトです。日本の躍動的なファッション=生活文化を、アジアをはじめ広く世界に向けて発信していくことを目的とし、一般財団法人日本ファッション協会が企画・運営を行っています。
スタイルアリーナでは、引き続きZ世代の美容・ファッションに関するリアルなトレンドを追跡し、マーケティングや商品開発のヒントとなる調査を実施していく予定だということです。
出典元:一般財団法人日本ファッション協会(スタイルアリーナ)











