AnthropicがAI経済指標レポート第4回を発表、日本はAUI1.59で翻訳用途が世界の2.5倍に

先進的なAI安全性の研究および開発を行うフロンティアAI企業のAnthropicは、第4回となる「Economic Index Report(経済指標レポート)」を公表しました。このレポートでは、AIが世界各国の労働環境や経済構造にどのような影響を及ぼしているのかを、従来とは異なる精密さで明らかにする革新的な指標が取り入れられています。

今回公表された最新レポートにおいては、「経済プリミティブ」と名付けられた5つの新しい指標が導入されました。これらの指標には、業務の複雑性、達成率、時間削減の効果、AIに付与されている自律性のレベルなどが含まれており、AIの実際の活用状況を把握することが狙いとされています。従来の測定指標と併用することにより、研究者および政策決定者は、AIが対応できる業務範囲だけでなく、実際に成果を挙げている業務分野についても理解を深めることができるようになったとのことです。

このレポートでは、2025年11月に発表されたAnthropicの最新モデル「Claude Opus 4.5」が公開される直前の時期における、Claude.aiならびにClaude API全体での活用状況が分析されています。

世界全体における主な調査結果

新規に導入された経済プリミティブを、Claudeの活用傾向に関する従来の指標と併せて分析することで、世界中におけるClaudeの利用実態をより多角的に理解することが実現したとされています。

AIが労働に及ぼす多様な影響

職業分野によって変わるAIの影響

放射線診断医やカウンセラーといった専門職においては、AIが時間を要する業務の一部を担当することにより、人間のスキルが部分的に補強され、患者やクライアントとのコミュニケーション時間が拡大する可能性があります。その一方で、データエントリー担当者、ITスペシャリスト、旅行代理店などの職種では、AIが高度な学歴や訓練を必要とする業務の大半をカバーできるケースも多く、人間の業務が単純化されたり、スキルの退化(デスキリング)を引き起こしたりする可能性があるということです。

人間との連携と監視は依然として重要

AIは、高度な専門職を代替するのではなく、人間との連携を通じて生産性を向上させていると考えられています。Claude.aiにおいては、AIを補助的に活用する「拡張型」の利用形態が会話全体の51.7%と、再び過半数を超える結果となりました。これはスピードと信頼性のバランスを考慮すると妥当な結果といえます。大学教育レベルを必要とする業務では12倍のスピード向上が確認される一方、高校レベルの業務では9倍に留まっています。ただし、業務の複雑性が増すほど、人間による判断や監視の重要性は増大します。AIの能力を最大限に活用し、そのアウトプットを適切に評価するためには、専門的な知識が必要不可欠であるとされています。

AIは過去100年間の主要テクノロジーを超える速度で米国全域に拡大

現在のペースが維持されれば、今後5年以内に米国の全50州において均等な利用レベルに到達する可能性があります。これは20世紀の主要なテクノロジーと比較して、およそ10倍の速度で広範に普及することを意味しています。

世界では米国、インド、日本、イギリス、韓国がClaude.aiの活用を主導

  • 世界全体におけるClaudeの利用傾向においては、地理的な集中という顕著な特徴が見られます。一部の国々が利用全体の大部分を占めており、その背景には経済的な水準が大きく関わっています。
  • Claudeの利用状況は、国民一人当たりの平均所得と強い関連性があります。(米国の州別分析においては、所得よりも労働力の構成が利用を決定する要因となっています)
    • 一人当たりGDPが1%上昇すると、Claudeの利用は0.7%増加する傾向が観察されます。一方、現時点では低所得国がこの格差を急速に埋めているという証拠は見られていないとのことです。
  • 世界全体で見ると、Claudeは主にビジネス用途で活用されています。また、地域ごとに独自の利用パターンも観察されています。
    • バルカン諸国とブラジルでは、ビジネス利用率が最も高い水準
    • ブラジルは、法律分野におけるAI活用の中心地として浮上
    • 日本は、フィクション創作での活用が際立っています
    • インドネシアは、教育・課題解決用途で先導

Claudeはビジネス用途を軸に対応可能な分野を拡大中

  • Claudeは、コンピュータおよび数学関連業務で最も頻繁に使用されていますが、Claude.aiではクリエイティブ業務、Claude APIではバックオフィスや管理業務での活用も拡大しています。
  • Claudeが対応できる業務の範囲も広がっており、現在では49%の職種において業務の少なくとも4分の1でAIが利用されています。これは以前の調査結果の36%から増加しているとのことです。

日本における調査結果

前回のレポートにおいてAnthropicは、「Anthropic AI Usage Index(AUI)」を発表しました。これは、特定地域で生産年齢人口の規模に対してClaudeが過剰または過少に利用されているかを計測するものです。AUIが1を超える場合は人口規模以上にClaudeが集中的に活用されており、1を下回る場合は想定より利用が少ないことを表します。

  • 日本ユーザーのAUIは1.59に到達し、言語を重視した利用傾向が顕著となっています。翻訳用途でClaudeを活用する割合が世界平均の2.5倍で、テキストや文書を翻訳する業務が全利用の4.3%を占めており、最も頻繁に利用されるユースケースとなっています。
  • プログラミング言語や開発業務全般におけるコードのデバッグ、修正、リファクタリングにClaudeを使用するケースは、全体の3.8%を占めており、2番目に多い活用法です。
  • その他の特徴的な活用例としては、校正・編集・ビジネス文書作成(世界平均比1.4倍)、複数の形式や業界にまたがるマーケティングコンテンツの作成および最適化(世界平均比1.5倍)、チャットボットやワークフロー自動化を含む応用AI開発(世界平均比1.2倍)が挙げられます。
  • これらの傾向から、日本においてはClaudeが主に人間の判断や専門性をサポートする「拡張型AI」として活用されていることが判明しました。これは高所得国全体に共通する傾向とも合致しています。

Anthropicについて

Anthropicは、信頼性が高く、解釈可能で、制御可能なAIシステムを構築するフロンティアAI企業です。2021年に創設され、現在は米国で最も企業価値の高い非上場企業トップ10の一社として、史上最も急速に成長している企業の1つとなっています。同社のフラッグシップ製品である大規模言語モデルClaudeは、Fortune 500企業や政府機関から中小企業、個人ユーザーに至るまで、毎日数百万人の利用者にサービスを提供しています。

出典元:Anthropic

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