
Pinterest(ピンタレスト)が、2026年の消費トレンドを予測する年次レポート「Pinterest Predicts 2026」を発表したことがわかりました。このレポートは機械学習と専門家の洞察を組み合わせ、世界中の5億人以上のPinterestユーザーの検索行動や保存されたビジュアルスタイル、カラー、アイデア、購入計画などを分析したものです。同レポートは過去6年間で88%という高いトレンド予測精度を持ち、企業が2026年の消費者動向をいち早く把握し、特にZ世代の顧客獲得機会を最大化するための貴重なインサイトとなっています。
今回のレポートでは「ambient chaos(アンビエント・カオス)」という概念を軸に、情報過多のデジタル環境で静けさを求めるZ世代の新たな消費行動パターンが明らかになっています。このレポートによると、Z世代は過剰な刺激や絶え間ないデジタルノイズから離れ、よりゆっくりとしたペースで自分らしいオンライン体験を求める傾向が強まっているとのことです。
これからの消費トレンドを先取りしたいブランドや企業にとって、Pinterestが提供するこのレポートは貴重な情報源となりそうです。
この記事の目次
「ambient chaos(アンビエント・カオス)」が形づくる消費環境
Pinterestの最新レポートでは、現代のオンライン環境を「ambient chaos(アンビエント・カオス)」と名付けています。これは過度な刺激、あふれるコンテンツ、絶え間ないデジタルノイズといった喧噪を指す概念です。このような環境下で、特にZ世代は従来のデジタル行動のルールを書き換えつつあり、よりスローペースで優しく、自分の意に沿ったオンライン体験を模索していると同レポートは指摘しています。
この動向は2026年に向けて3つの主要なカルチャードライバーとして表れているとのことです。
- 感情的な安らぎや帰属意識:自己を肯定してくれる居心地の良い空間への欲求と、そこから生まれる原点回帰への美学が特徴です。
- 模倣よりも、キュレーション:他人の真似ではなく、個性や心地よさを生む意図的な選択によって自己を定義する傾向が強まっています。
- 現実に根ざした楽観主義:現実をしっかり見据えながらも、より良い未来を思い描き、創造的な回り道を楽しむ姿勢が見られます。
情緒的安心感を求める消費者心理
不確実性が高まる現代社会において、人々は実際に触れられ、懐かしく、感情的につながりを感じられるものに魅力を感じ始めています。Pinterestの調査によると、世界の月間アクティブユーザーの4人に1人が、ビンテージやレトロアイテムの収集など、ノスタルジックな気持ちになれる活動を増やしたと回答しています。
これは過去に心を落ち着かせてくれたものと再びつながりたいという願望の表れといえるでしょう。また、アナログ習慣への回帰も顕著になっており、Z世代とミレニアル世代の4分の1以上が手書きや手紙のやり取りを生活に再び取り入れているとのことです。このような「デジタルデトックス」の傾向は、情報過多の時代における心の安らぎを求める動きの一環と考えられます。
自己表現としてのキュレーション文化
Z世代の特徴として、意図的なキュレーション行動が挙げられます。Pinterestの調査では、Z世代ユーザーの約4割が「トレンドはクリエイティビティを刺激する」と回答しています。彼らはPinterestを単なる発見の場所ではなく、自分らしさをデザインするための空間として積極的に活用しているようです。
こうした自己表現のキュレーションは住空間にも広がりを見せています。「アフリカン BOHO リビング」や「アフロシックインテリア」といった検索の増加は、ルーツや文化的背景に根ざしたインテリアへの関心の高まりを示しています。これらの動きは「アフロボヘミアン インテリア」という新たなトレンドとして結実しつつあるとのことです。
さらに注目すべきは、消費者の住空間に対する考え方の変化です。暖かく安心感のある色に惹かれるユーザーが45%、住まいのリフレッシュが気分改善につながると答えるユーザーが26%に上っています。これらのデータは、人々がインテリアを通じて、より穏やかで心を回復させる空間づくりを意識的に行っていることを示しているようです。
アジア太平洋地域におけるZ世代の動向
Pinterest アジア太平洋地域 コンテンツパートナーシップ担当シニアディレクターの中島歩氏は、Z世代の新たな動向について次のように述べています。
「Z世代はアンビエント・カオスの中でも、自分自身のための空間を静かに再構築しています。他のプラットフォームのようにスクロールするだけではなく、意図を持って検索するようになっています。企業にとっては、Z世代が最も創造的に意思決定する瞬間に立ち会える絶好の機会です。アジア太平洋地域全体で、内省的な美学と大胆な自己表現の両方を受け入れる姿が見られます。この世代がデジタルのインスピレーションを静けさと持続する自分らしさへと変えていく様子は、非常に刺激的です。」
この発言は、特にアジア太平洋地域におけるZ世代の消費行動が、単なるトレンドの追従ではなく、より意識的で個性的な選択へと変化していることを示唆しています。企業がこの地域で成功するためには、Z世代の価値観や行動パターンを深く理解することが不可欠といえるでしょう。
バイラリティからパーソナリティへ:2026年の消費文化の変容
2026年は、過去10年間主流だった「バイラリティ(拡散性)の文化」から、より個人的な表現と内面的な創造性が重視される時代へと移行すると、Pinterest Predictsは予測しています。特にZ世代にとって、創造性は従来のようなスピーディーでカオスなものではなく、静かで、思慮深く、深く個人的なものとして捉えられるようになるでしょう。
この変化は企業にとって極めて重要な意味を持つとされています。Z世代の購買決定を左右する要素は、真正性、一貫性、そして価値観の一致へと移行しつつあるようです。こうした状況下で、企業が明確な目的を持って一貫した姿勢を示すことが、単なる「発見」の瞬間を実際の「行動」へと転換させ、インスピレーションを具体的な成果へと結びつける鍵となるとレポートは指摘しています。
企業はこれまでのような派手でセンセーショナルなマーケティング戦略を見直し、より誠実で持続可能なアプローチを模索する必要があるかもしれません。このような変化は、ソーシャルメディアの使用方法やデジタルコンテンツの消費パターンにも大きな影響を与えることが予想されています。
Pinterest(ピンタレスト)について
Pinterestは、インスピレーションを得たり、行動に移すためのアイデアを見つけたり、商品を購入したりすることができるビジュアル探索プラットフォームです。サンフランシスコに本社を置くPinterestは、2010年にサービスを開始し、現在では月間アクティブユーザー数が世界中で5億人を超えているとのことです。
同プラットフォームは、ユーザーが関心のあるトピックに基づいて画像やアイデアを発見し、整理し、共有することを可能にする独自の視覚的アプローチで知られています。Pinterestは単なるソーシャルメディアではなく、ユーザーの創造性やインスピレーションを刺激し、具体的なアクションにつなげるためのツールとして、世界中の消費者やブランドに活用されています。
出典元:ピンタレスト・ジャパン合同会社 プレスリリース












