株式会社シード(本社:東京都千代田区、代表取締役:池田 智之)が運営するデジタルマーケティング情報メディア「デジマ部」は、全国の10代〜70代以上の男女1,504名を対象とした「AIによる検索行動の変化に関する意識調査」を実施したことが発表されました。

この調査結果によると、生成AIの普及に伴いユーザーの情報収集行動が「検索エンジン」から「対話型AI(生成AI)」へと移行し始めており、Webサイトの訪問を経由せずに情報を得る「ゼロクリック検索」が日常化しつつある実態が明らかになっています。

調査結果サマリー

  • 検索離れ: 生成AI利用者の44.2%が検索エンジンの利用回数が「減った」と回答。Webサイトへの訪問頻度も30.5%が減少しているとのことです。
  • ゼロクリック: 検索結果のAI回答を見て、Webサイトを開かずに自己解決する行動が48.8%で常態化していることがわかりました。
  • AIへの信頼: AIが生成した回答に対し、60.6%が「信頼できる」と評価しています。
  • 商品検索: 商品を探す際のGoogle利用率はわずか5.3%で、Amazon(49.7%)などのECモールが圧倒的シェアを占めているようです。
  • SNS検索: 全体では少数派ですが、10代〜30代の若年層においてはTikTokやInstagramを検索手段として利用する傾向が顕著であることが報告されています。
  • 今後の検索: 約4割のユーザーが「検索エンジンとAIを使い分ける」または「AIをメインにする」と回答しているとのことです。

調査結果詳細

1. データが示す「検索離れ」の波。AI利用者の4割で検索頻度が減少

米国ではGoogleのSGE(AIによる概要表示)やPerplexity AI等の普及によりWebサイトへの流入減が課題となっていますが、今回の調査から日本でも同様の変化が進行していることが確認されました。

生成AI利用者に「AIを使うようになってからの検索エンジン利用頻度」を尋ねたところ、「かなり減った(14.7%)」「少し減った(23.5%)」と合計38.2%のユーザーで検索頻度の減少が見られたそうです。「ほとんど使わなくなった(6.0%)」層も含めると、約44%のユーザーが「検索からAIへ」という情報行動のシフトを経験していることが明らかになっています。

また検索回数だけでなく「Webサイトへの訪問頻度」についても30.5%が「減った」と回答しており、従来の「検索エンジンで集客し、サイト内でコンバージョンさせる」というWebマーケティングの基本前提が、ユーザー行動の変化により揺らぎ始めていることを示唆しています。

検索離れのグラフ

2. リンクをクリックしない。「ゼロクリック」の常態化とAIへの信頼

検索エンジン上のAI回答(SGE等)を見て、個別のWebサイトを開かずに済ませることがあるかという質問に対し、「よくある(13.5%)」「たまにある(35.3%)」と回答した人が48.8%(約半数)に達し、多くのユーザーがAIの回答だけで情報収集の目的を達成していることが明らかになっています。

ゼロクリックのグラフ

このような「ゼロクリック」行動を支えているのは、AIに対するユーザーの高い信頼感です。AIの回答に対する信頼度を調査したところ、「まあまあ信頼できる(53.8%)」「非常に信頼できる(6.8%)」を合わせて60.6%に達したとのことです。多くのユーザーが「完璧な正解」よりも、AIによる「手っ取り早い要約(タイムパフォーマンス)」を優先する傾向が見られると報告されています。

AIへの信頼度のグラフ

3. 「知りたい」はGoogle、「買いたい」はAmazon。検索行動の分断

調査結果から、「情報収集(Knowクエリ)」と「商品購入(Buyクエリ)」では、利用されるプラットフォームが明確に分かれていることが示されています。

情報収集の場面ではGoogle(64.8%)が依然としてトップの位置を維持していますが、商品購入時にはAmazon(49.7%)や楽天(25.7%)といったECモールが圧倒的な強さを見せており、Google利用率はわずか5.3%にとどまっているそうです。「購買意欲の高い検索」はECモールへ、「情報検索」はAIへと分散が進んでおり、Google検索に依存したSEO対策だけでは届かないユーザー層が拡大していることを示唆しています。

検索プラットフォーム利用状況

4. SNS検索の台頭:若年層に広がる「第三の検索チャネル」

AI検索の普及が進む一方で、若年層を中心にSNS(TikTok、Instagram等)を検索エンジンとして活用する動きも顕著になってきていることがわかりました。全体ではまだ少数派ですが、年代別に見ると10代〜30代の若年層による利用率が高く、デジタルネイティブ世代にとっては「タグる(ハッシュタグ検索)」や「動画で探す」という行動が日常的な選択肢となっているようです。企業は「AI対策」と並行して、若年層向けの「SNS検索対策」も視野に入れる必要が出てきていると報告されています。

SNS検索利用状況

5. 覇権を握るのは?生成AI利用率64%と「日常化」するAI

生成AIの利用は、一般ユーザー層のインフラとして定着しつつあるようです。その利用はプロフェッショナルな場面にも広がっており、仕事での利用頻度を見ると、「毎日(13.7%)」「週に数回(20.1%)」など、約6割がビジネスシーンでも活用していることが明らかになりました。このデータから、AI利用が趣味や娯楽だけでなく、実務的なレベルにおいても深く浸透していることがうかがえます。

生成AI利用状況

利用ツールについては、ChatGPT(71.2%)が引き続きトップシェアを維持していますが、Gemini(39.4%)やCopilot(15.2%)も着実にユーザーを増やしているとのことです。特にGeminiやCopilotは既存の検索・業務環境に統合されているため、ユーザーが特別に意識することなく日常的に利用するケースが増えていることも特徴として報告されています。

AI利用ツールシェア

6. 今後の展望:SEOから「GEO(生成エンジン最適化)」へ

今後の検索手段として、「検索エンジンとAIを使い分ける」「AIをメインにする」と答えたユーザー層は約4割に達しているようです。このような検索行動の変化に対応するため、マーケティング業界では従来のSEO(検索エンジン最適化)に加え、「GEO(Generative Engine Optimization)」や「AIO(AI Overview Optimization)」と呼ばれる新たな対策が重要課題となりつつあることが示されています。

今後の検索手段

AI検索時代に求められる3つのマーケティング視点

視点1:検索基盤を意識したGEO戦略

ChatGPT(Bing検索基盤)とGemini(Google検索基盤)の両方に対して、構造化データやE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を強化し、適切な情報を機械学習させる対策が必要となっていると指摘されています。

視点2:「指名検索」されるための評判(UGC)形成

AIはWeb上の評判を学習します。SNSやレビューサイトでの言及(メンション)を増やし、AIに「このジャンルの代表的なサービス」として認識させるエンティティ最適化が重要な戦略となるとのことです。

視点3:一次情報の提供による「引用獲得」

AI回答の引用元(ソース)として選ばれるためには、ありふれた情報ではなく、独自性の高いデータや専門家の見解を発信していくことが求められているようです。

調査概要

  • 調査対象:日本在住の10代〜70代以上の男女
  • 調査期間:2025年10月28日~2025年11月6日
  • 調査機関:株式会社シード(自社調査)
  • 調査方法:インターネットによる回答
  • 有効回答数:1,504人
  • 回答者の年代:10代 6.4%/ 20代 13.8%/30代 15.6%/40代 20.1%/50代 18.2%/60代 16.8%/70代以上 9.1%

株式会社シード 会社概要

  • 社名   : 株式会社シード
  • 所在地  : 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-14-2 雄邦ビル3F
  • 代表者  : 代表取締役 池田 智之
  • 設立   : 2005年11月1日
  • 資本金  : 2,100万円
  • 事業内容 : Webマーケティング支援/インターネット広告運用/Webメディア運営

出典元:株式会社シード プレスリリース

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