
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(代表取締役社長:阿久津 知洋)と京王運輸株式会社(取締役社長:窪田 洋)は、多摩都市モノレール株式会社(代表取締役社長:奥山 宏二)と連携し、12月5日(金)より、モノレールを活用した商品配送の取り組みを開始することが発表されました。モノレールによる店舗への商品納品は日本初となる画期的な物流改革です。
この取り組みは、物流業界が直面する「2024年問題」などの課題に対応するため、効率的かつ持続可能な配送体制の構築を目指すもので、配送トラック台数の削減やドライバーの労働時間改善、CO₂排出量削減などの効果が期待されています。

この記事の目次
モノレールを活用した新たな物流配送モデルの背景
現在、物流業界では「2024年問題」と呼ばれる深刻な課題に直面しています。これは、2024年4月から施行される改正労働基準法によって、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用されることで生じる物流への影響を指します。この規制により、これまでの配送体制の見直しが急務となっており、より効率的かつ持続可能な物流システムの構築が求められています。
こうした社会的背景のもと、セブン‐イレブン・ジャパン、京王運輸、多摩都市モノレールの3社は、公共交通機関であるモノレールを活用した新たな配送モデルの実現に取り組むこととなりました。通常の道路交通に依存しない配送経路を確保することで、交通渋滞の影響を受けにくく、定時性の高い配送が可能になるとのことです。
特に都市部における物流の効率化は喫緊の課題であり、既存のインフラを活用した革新的なソリューションとして、今回のモノレール活用は大きな注目を集めています。この取り組みは、単なる物流効率化にとどまらず、環境負荷の低減や働き方改革にも貢献する多面的な価値を持っているということです。
実施概要:モノレールを活用した商品配送の仕組み
今回導入される新たな配送システムでは、京王運輸の配送員が多摩モノレールの高幡不動駅で商品を積み込み、モノレールに乗車します。その後、沿線の駅構内にセブン‐イレブン店舗が出店する5駅(多摩センター駅・立川南駅・立川北駅・玉川上水駅・上北台駅)で降車し、6店舗に商品を納品するという流れになります。
対象となる商品は、日配品を中心としたおにぎりやお弁当・サンドイッチなどのチルド商品と、アイスクリームなどのフローズン温度帯の商品です。これらの商品は鮮度管理が重要であり、定時配送の実現によって品質維持と食品ロスの削減にもつながるとされています。
多摩モノレールによれば、モノレールという公共交通機関を物流に活用する試みは日本初の取り組みとなります。公共交通機関と小売業、物流業者の連携による新たなビジネスモデルとして、今後の展開が注目されています。
期待される効果:物流課題解決と環境負荷低減
本取り組みによって期待される効果は多岐にわたります。まず、配送トラック台数の削減が可能になります。従来であれば複数のトラックを使用して各店舗へ配送していたものを、モノレールという一つの交通手段に集約することで、道路を走行するトラックの台数を減らすことができます。
次に、配送ドライバーの労働環境改善効果があります。トラック運転手の労働時間の短縮や負担軽減につながり、「2024年問題」への対応策としても有効だとされています。道路渋滞に左右されない定時運行が可能なモノレールを活用することで、配送スケジュールの安定化も実現します。
さらに、環境面での効果も見逃せません。モノレールは電気を動力とする交通機関であり、ディーゼルエンジンを搭載したトラックと比較してCO₂排出量が少なくなります。この取り組みによって、物流に関わる温室効果ガスの排出削減にも貢献することが期待されています。
また、最適な配送コースの編成により、物流全体の効率化も図られます。従来の道路網に依存した配送ルートに加え、モノレール路線を組み合わせることで、より効率的な物流ネットワークの構築が可能になるということです。
各社の役割と連携体制
本プロジェクトにおいて、各社は以下の役割を担っています。
■セブン‐イレブン:配送の企画・検討
日本最大のコンビニエンスストアチェーンとして、店舗への配送計画の立案や全体の企画・調整を担当しています。持続可能な物流体制の構築を目指し、新たな配送モデルの検討を主導しています。
■京王運輸:配送および企画・検討
実際の配送業務を担当するとともに、その専門知識を活かして企画段階から参画し、実現可能な物流モデルの構築に貢献しています。配送員の教育や商品の取り扱い手順の確立なども担当しています。
■多摩モノレール:物流への車両活用の協力
公共交通機関として、その車両とインフラを物流目的に活用することに協力しています。通常の旅客輸送に支障をきたさないよう配慮しながら、物流用スペースの確保や乗降の際の調整など、新たな取り組みの実現に向けた体制を整えています。
三社の緊密な連携により、それぞれの強みを活かしながら、社会課題の解決に向けた革新的な物流モデルを実現しているとのことです。このような企業間連携は、単一の企業では解決が難しい社会課題に対するアプローチとして、今後さらに重要性を増していくと考えられています。
今後の展望と物流革新への道
セブン‐イレブン・ジャパン、京王運輸、多摩都市モノレールの3社は、今回のモノレールを活用した商品配送の取り組みを皮切りに、さらなる物流システムの改革と持続可能な配送体制の構築を目指しています。
現在は試験的に5駅6店舗を対象としていますが、今後は対象店舗の拡大や配送商品カテゴリーの拡充なども検討されているようです。また、この取り組みで得られたノウハウを活かし、他の地域や路線への展開も視野に入れられています。
物流業界が直面する課題は、単に一企業の努力だけでは解決できません。今回のように異業種間の連携や既存インフラの新たな活用方法を模索することで、社会全体として持続可能な物流システムを構築していくことが重要であると考えられています。
3社はこの取り組みを通じて、物流における環境負荷低減と効率化の両立、そしてドライバーの労働環境改善という社会課題の解決に貢献していく姿勢を示しています。また、この試みが他企業や他地域にも波及し、物流業界全体の変革につながることが期待されています。
持続可能な社会の実現に向けた企業の責任として、今後もさまざまな取り組みを通じて社会課題解決につなげていく姿勢を、3社は明確に示しています。
本取り組みは、物流業界における「2024年問題」という喫緊の課題に対する具体的な解決策として注目されるだけでなく、既存のインフラを新たな視点で活用する社会イノベーションのモデルケースとしても評価されています。効率化と環境負荷低減の両立は、今後のビジネスにおいて不可欠な要素となりつつあり、この事例が他業種や他地域にも良い影響を与えることが期待されています。
公共交通機関を旅客輸送以外の目的で活用する試みは、今後の都市設計や交通政策においても重要な視点をもたらすでしょう。特に、時間帯によって利用密度が変化する公共交通機関の空き時間や空きスペースを物流に活用することで、社会インフラの効率的な運用モデルが構築される可能性があります。
これからの社会では、異なる業種間の連携によって新たな価値を創造し、複合的な社会課題を解決していく取り組みがますます重要になってくるでしょう。今回の3社による先進的な取り組みが、そうした未来への第一歩となることが期待されています。
※多摩モノレール調べによると、モノレールによる店舗への商品納品は日本初の取り組みとなります。
出典元: 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン プレスリリース











