Ahrefsが日本市場のAI検索システム引用傾向を分析、YouTubeが両システムで最重視されることが判明

Ahrefs Pte. Ltd.が提供するSEO分析を主軸とした、AI可視化・競合分析・コンテンツ作成支援・ウェブ分析・SNS投稿機能などのマーケティング関連機能を網羅するオールインワンツール「Ahrefs(エイチレフス)」が、AI検索可視化ツールの「ブランドレーダー」を活用した調査結果を発表したことが明らかになりました。

この調査はAhrefsのブランドレーダー機能を用いて、日本市場における両システムのトップ1000引用ドメインの総引用回数を比較したものです。その結果、両システムの引用ロジックには「中程度の正の相関(相関係数 r = 0.65)」が見られる一方で、それぞれが明確に異なる引用戦略を持っていることが明らかになっています。

調査結果サマリー 主要指標

  • 相関係数:0.65(中程度の正の相関)
  • 共通ドメイン:712(55.3%)
  • AI Overviews独自:288(22.4%)
  • AIモード独自:288(22.4%)
  • 総引用回数:AI Overviews約597万回、AIモード約693万回

共通基盤から見える「AIが最重要視する不変の評価軸」

両システムは約65%の部分で共通の評価基準を持っていることが推測できるということです。

1. 圧倒的な王者:YouTubeを筆頭とする「動画ファースト」

日本市場における両システムで1位を獲得したのはwww.youtube.comです。動画コンテンツは両システムで等しく最重要視されており、検索意図やクエリタイプを問わず、最も信頼される情報源となっていることが判明しています。

  • YouTube(動画)- 両システムで1位
  • Wikipedia(百科事典)
  • note(ブログ/記事)
  • Yahoo!ニュース(ニュース)
  • マイベスト(商品レビュー)

2. 共通して重視される強力ドメイン:両システムが認める「信頼のトップ69」

日本国内において、両システムのトップ100に共に入っているドメインは69個存在します。これらは、AI検索時代における「両システムが認める不変の信頼できる情報源」と言えるようです。

共通して引用されるドメインの特徴:

✓ コンテンツの網羅性

Wikipedia、Weblio、Kotobankなど包括的な情報を提供し、単一トピックではなく幅広い分野をカバーしているサイトが優遇されています。

✓ 更新頻度とリアルタイム性

ニュースサイト、天気予報サイトなど、最新情報を常に提供しているウェブサイトが高く評価されています。

✓ 専門性と信頼性

公式サイト(企業、政府機関)や専門家監修のコンテンツを提供するサイトが重視されています。

✓ ユーザー基盤の大きさ

大手プラットフォーム(YouTube、Amazon、楽天)など、多数のユーザーが利用する実績のあるサイトが評価されています。

✓ 日本語コンテンツの質

日本語ネイティブによる自然な文章や日本市場特有のニーズに対応したコンテンツが高く評価されています。

相違点から読み解く「AIの二つの顔」:設計思想に基づく引用戦略の違い

共通基盤がある一方で、日本市場において約45%は独自のドメインであり、この相違こそが両システムの設計思想の違いを明確に示しています。このの差分にこそ、それぞれのAIが目指す情報の提供スタイルが反映されていることが見て取れます。

AI Overviewsの個性:専門性と信頼性最優先の「図書館モデル」

AI Overviewsは、「定義型コンテンツの優位性」と「リスク回避の姿勢」が際立っています。情報の正確性、権威性、信頼性(E-E-A-T)を最優先し、医療や教育など、ユーザーの人生に影響を与えるYMYL分野で圧倒的な強みを見せていることがわかっています。

AI Overviewsが3倍以上引用するドメイン。専門性・権威性・信頼性で圧倒的優位。
特徴的な引用優位性 詳細と倍率
医療・健康分野 医療機関公式サイトや専門的な医療情報プラットフォーム(Ubie、MSDマニュアル)でAIモードの2〜4.6倍の引用回数。
教育・学習分野 英会話や資格学習などのステップバイステップの学習コンテンツサイトで2〜3.7倍優位。
公式サポート Apple / Microsoftの公式サポートサイトでAIモードの3.4〜4.0倍優位。正確な手順書やトラブルシューティング情報を重視。
設計思想 権威性のあるソースへの依存、構造化された正確な情報を提示する「図書館」的な役割。

AIモードの個性:多様性とリアルタイム性重視の「コンシェルジュモデル」

AIモードは、「ユーザー視点の尊重」と「商業的情報の充実」を重視し、リアルタイムで変動する情報や、多様な意見の提供に特化していることがわかっています。これは、ユーザーの「何かを買いたい」「トレンドを知りたい」という探求心をサポートする姿勢の表れだと考えられます。

AIモードが3倍以上引用するドメイン。EC・SNS・UGC分野で圧倒的優位。
特徴的な引用優位性 詳細と倍率
ソーシャルメディア Instagram、X(Twitter)、Facebookなどの主要SNS引用がAI Overviewsの2.4〜3.6倍に急増。リアルタイムなトレンド、ユーザーの生の声の活用が見られます。
ユーザー生成コンテンツ(UGC) クックパッド(12.8倍)、食べログ(3.2倍)など、実体験ベースの口コミやレシピサイトを大量引用しています。
Eコマース・商品情報 Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングの引用がAI Overviewsの2.7〜5.3倍優位。商品詳細、価格、レビューといった商業情報を充実させています。
設計思想 多様な情報の提示、グローバルな情報源の活用、ユーザーに選択を委ねる「コンシェルジュ」的な役割を果たしています。

Ahrefsのコメント

Ahrefsは「相関係数0.65という結果は、両システムが共通の基盤を持ちながらも、明確に異なる目的に最適化されていることを示しています。AI Overviewsは医療や教育などYMYL(Your Money or Your Life)分野で専門性を重視し、AIモードはSNSやECなどリアルタイム性と多様性を重視する傾向が顕著です」と述べています。

調査方法

調査ツール:Ahrefs ブランドレーダー

調査日:2025年11月17日

対象:日本市場におけるAI Overviews / AIモードの引用ドメイン Top 1000

分析手法:ピアソンの積率相関係数、カテゴリー別比較分析

Ahrefs ブランドレーダーについて

Ahrefs ブランドレーダーは、AI検索エンジンにおけるブランドの引用状況を追跡・分析できる機能です。AI Overviews、AIモード、ChatGPTなどのAI検索システムにおいて、自社や競合がどのように引用されているかをリアルタイムで把握することが可能です。

出典元:Ahrefs Pte. Ltd. プレスリリース

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