SD exportが発表した2025年BtoB越境ECランキングの概要と市場展望

株式会社ラクーンコマース（本社：東京都中央区、代表取締役社長：和久井 岳）が運営するBtoB向け海外卸販売サイト「SD export」において、最近「2025年BtoB越境ECランキング」が発表されました。

背景と目的

「SD export」は、海外市場への進出に伴う集客、翻訳、輸出手続き、代金回収、アフターサポートなど、多岐にわたる業務を一手に引き受ける輸出販売サービスです。取り扱い商品はアパレルや雑貨を中心に、家具、生活家電、食品など、約86万点に達します。

2025年には、米国の関税政策の変更が世界貿易構造に大きな影響を与える年となりました。中国製品に対する追加関税やデミニミス制度（少額輸入免税）の見直しなど、越境ECを取り巻く外部環境は大きく変わっており、特に輸入規制や関税への対応が事業戦略には欠かせません。ここで紹介する「SD export」の取引データを用いて、これら政策変更や為替の動向を考慮し、2025年の越境EC市場を総括し、2026年に向けた成長分野や市場展望についてお伝えする予定です。

国別流通額 伸び率ランキングはイギリスがトップ

人気商品ランキング（国別）では各国共通で「食器」と「筆記具」が上位にランクイン

2025年の越境EC市場では、前年に引き続き「食器」と「筆記具」が多くの国で上位に位置しており、日本製品の必須カテゴリーとしての地位を確立しています。特に筆記具は、消せるボールペンや多機能ペンなど、日本特有の高機能設計が高く評価され、国を問わず安定した需要があります。今年は「ぬいぐるみ」も各国で人気商品として浮上しており、アニメやキャラクター文化の影響を受けて、関連商品への関心の高まりが顕著に見られます。

2025年の売れ筋カテゴリ

SD exportでは、「ステーショナリー」「手芸クラフト」「推し活などカルチャー系商品」の3ジャンルに特に注目が集まっています。ステーショナリー部門では、高機能な筆記具に加えて、「シール」や「マスキングテープ」といった、手帳やノートを装飾するデザイン性の高いアイテムの需要も増加しています。手芸クラフト部門では、会員購入者数が前年比で13.6%増加し、売上も7.6%増となっており、好調に成長しています。「デニムリペア」に起因する日本の「刺し子（SASHIKO）」ブームや「SNS発のブーケブランケット」の流行により、「糸・毛糸」カテゴリは前年比で52.4%増を記録しました。SNSのトレンドが実販に直結している事象が確認されています。

また、日本のアニメやアイドル文化の広がりを背景に、「Oshikatsu（推し活）」の概念が広まり、関連製品への世界的な需要も拡大しています。アクリルスタンド用の専用ケースや、缶バッジを飾るための「痛バッグ」や「ぬいポーチ」など、日本独自の文化が新たな輸出カテゴリとして定着しつつあります。2026年には、こうした日本ならではの技術と文化が融合した商品群が、越境EC市場のさらなる成長を促進すると見込まれています。

米国市場の変化と今後の対応

2025年8月に米国で施行された「デミニミス制度（800ドル以下の免税）」の廃止に伴い、通関や配送の負担が増加し、市場環境に変化が見られています。このような状況下でも、SD exportは日本メーカーが安全に海外展開を続けられるよう、地域ごとの現地バイヤーとの接点拡大やローカライズ戦略の強化を進めています。今後は国や文化を超えて信頼できるパートナーとして寄り添い、リアルとオンラインを融合したグローバル取引基盤の構築を目指して活動していく所存です。