
資生堂ジャパンは、公式ECサイト「資生堂オンラインストア(SHISEIDO ONLINE STORE)」において、アバター技術と美容専門スタッフの知見を融合させた「アバターPBP(パーソナルビューティーパートナー)」によるライブコマースを10月22日(水)より試験的に開始すると発表しました。この取り組みにより、同社は若年層や男性顧客層への新たなアプローチを強化し、従来のライブ配信では接点を持てなかった顧客層への拡大と革新的な購買体験の提供を目指しているとのことです。
今回の試験展開を通じて、資生堂ジャパンはアバターPBPの可能性検証とノウハウの蓄積を行うとともに、誰もが気軽にパーソナライズされた美容体験にアクセスできる環境構築を推進していきます。最終的には顧客満足度の向上とEC売上の拡大を目標としていると同社は述べています。


この記事の目次
導入の目的
近年の化粧品業界では、EC購入が一般的になる中で、単に商品を提供するだけではなく、ブランド体験や接客の質といった「カスタマーエクスペリエンス」の重要性が高まっています。資生堂ジャパンはこうした市場環境の変化に対応するため、同社の強みであるPBP(パーソナルビューティーパートナー)が持つリアル店舗やデジタルで培ってきた美容専門知識と接客技術を、最新のアバター技術と組み合わせました。
この取り組みは資生堂の調査によると国内化粧品業界では初めての試みとなり、新しい接客スタイルとして試験的に展開されることになりました。アバター技術を活用することで、従来のオンライン接客では難しかった顧客層との接点創出を目指しているとのことです。
アバターPBPならではの価値提供
「キャラクター」という特性を持つアバターは、単なる「相談相手」としてだけでなく「共感者」として受け入れられる傾向があります。これにより、人に対して無意識に生じがちな先入観や緊張感を軽減する効果が期待できるとされています。資生堂ジャパンはアバターPBPによる新たな接客スタイルを導入することで、顧客がより安心してパーソナルな美容相談を受けられる機会を創出するとしています。
特にアバターとの親和性が高い若年層では、購買行動が「モノ消費」から「コト体験」へとシフトしている傾向があります。こうした変化に対応するため、同社はストーリー性やエンターテイメント要素を取り入れたライブ視聴体験を提供することで、若年層との接点拡大を図っているとのことです。
さらに、近年急速に成長している男性化粧品市場を背景に、男性顧客へのアプローチも強化していく方針だと発表しています。アバターを介したコミュニケーションによって、美容相談に対するハードルを下げる効果も期待されています。
アバターPBPについて
今回のライブコマースには、先輩女性キャラクターの「M!ra(ミラ)」と後輩男性キャラクターの「Rai(ライ)」という2名のアバターPBPが登場します。この2名がライブ配信の画面上に現れ、視聴者とリアルタイムで双方向コミュニケーションを行いながら、一人ひとりに寄り添った最新の美容情報や商品紹介を実施するとのことです。
ライブ中に紹介される商品はライブ画面上にも表示され、視聴者はその商品をタップするだけで商品購入ページにアクセスすることができ、スムーズな購買体験を実現する仕組みとなっています。


M!ra(ミラ)のプロフィール
名前の"M!ra"はスペイン語で「見る」という意味を持ち、顧客の美しさを引き出すPBPとしての役割を象徴しています。店頭での接客経験を通じて培った安心感と、最新の美容情報を柔軟に取り入れる能力が彼女の強みです。特にスキンケア分野に精通しており、肌の悩みに寄り添った商品選びや正しい使用方法の提案が得意分野となっています。
リアル店舗での経験を活かし、一人ひとりの肌質や悩みに合わせたパーソナライズされたアドバイスを提供します。最新のスキンケア理論と実践的なテクニックを組み合わせた提案は、多くの顧客から高い評価を受けているとのことです。
Rai(ライ)のプロフィール
名前の"Rai"は「来(未来)」をイメージして付けられており、未来に新しい価値を届ける存在を象徴しています。明るく元気で素直な性格の持ち主で、幅広い顧客の悩みに真摯に向き合ってきた経験を持っています。
ベーシックなスキンケア、特に男性向けスキンケア、そしてUVケア製品の提案を得意としており、美容に関心を持ち始めた男性顧客や、スキンケアの基本から学びたいという顧客にとって頼りになる存在です。親しみやすい接し方と分かりやすい説明が特徴で、美容初心者でも安心して相談できる雰囲気を作り出します。
資生堂オンラインストアでのアバターPBP体験
今回のアバターPBPによるライブコマースは、資生堂ジャパンの公式ECサイト「資生堂オンラインストア(SHISEIDO ONLINE STORE)」で実施されます。このサイトでは、資生堂の多彩な商品ラインナップを取り揃えており、今回のライブコマースを通じて、よりパーソナライズされた商品提案と購買体験を提供することを目指しているとのことです。
ライブコマース中は、視聴者からの質問にリアルタイムで回答する双方向のコミュニケーションが可能で、自分の肌悩みや使用感についての具体的なアドバイスを受けることができます。また、アバターPBPが実際に商品を使用するデモンストレーションなども予定されており、より実践的な使い方の理解につながる内容となっています。
この取り組みは、オンラインでありながらも対面での接客に近い体験を提供することで、EC購入における不安要素を解消し、顧客満足度の向上につなげることを目指しています。さらに、アバターという新しい形態を取り入れることで、従来のライブ配信では興味を示さなかった層にもアプローチし、新規顧客の獲得も視野に入れているとのことです。
今後の展望
資生堂ジャパンは今回の試験展開を通じて得られる知見をもとに、アバターPBPの可能性をさらに追求していく予定だと発表しています。顧客からのフィードバックや購買データを分析し、より効果的なアバター接客のノウハウを蓄積することで、将来的には全国の店舗やオンラインチャネルでのアバター活用拡大も検討しているとのことです。
また、AIやVR技術の発展に合わせて、アバターPBPの機能や表現力も進化させていく方針です。美容カウンセリングだけでなく、新しい美容体験の提案や商品開発へのフィードバックなど、アバターPBPの役割拡大も視野に入れていると同社は説明しています。
こうした取り組みを通じて、資生堂ジャパンは変化する消費者ニーズに応え、美容体験のデジタルトランスフォーメーションをリードする企業としての地位を確立していくことを目指しているようです。
出典元: 株式会社資生堂 プレスリリース