
株式会社プラスアルファ・コンサルティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:三室克哉)は、生成AIを活用したVOC(Voice of Customer:お客様の声)分析に関わる担当者329名を対象に「生成AIでのVOC分析に関する実態調査」を実施し、その結果を発表しました。
この記事の目次
調査結果サマリー
本調査では、生成AIによるVOC分析の現状と課題が明らかになりました。調査によると、生成AIでのVOC分析に対して利用者の87.6%が「満足」と回答しており、その主な理由として「効率化」と「速度」が挙げられています。
一方で、活用レベルは「課題抽出・要因分析まで実施(37.1%)」が最も多く、意思決定支援レベルへの貢献は限定的であることが判明しました。また、担当者が最も多く感じている課題は「セキュリティ面での制約」です。
さらに、高度な活用を阻む要因として「改善フローの欠如」「発言者の顧客属性を紐づけられない」「分析の切り口が分からない」「業界用語の取り込みなどのカスタマイズができない」などの問題が浮き彫りとなり、戦略・データ・人材・技術の各側面で根深い課題があることが明らかになっています。
調査概要
調査名称:生成AIでのVOC分析に関する実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2025年8月5日〜同年8月6日
有効回答:生成AIを活用してVOC分析に取り組んでいる担当者329名
※合計を100%とするため、一部の数値について端数の処理が行われており、実際の計算値とは若干の差異が生じる場合があります。
調査結果の詳細
生成AIを活用したVOC分析の満足度は全体で87.6%と高い数値を示し、「作業効率」と「分析速度」の向上が主な理由として挙げられています。
「かなり満足(26.1%)」、「やや満足(61.5%)」を合わせると87.6%が満足と回答しています。満足している理由としては、「大量のデータを効率的に処理できるから(36.8%)」「分析速度が大幅に向上したから(35.8%)」など、作業効率の改善に関するものが目立っています。その他、「分析の客観性が保てるから」「従来見落としていた顧客の声を発見できるようになったから」といった意見も見られます。

活用レベルの実態
生成AIを活用したVOC分析の活用レベルについては、「レベル3:課題抽出・要因分析まで実施」が37.1%で最多となりました。意思決定支援など、より高度なレベルでの活用は3割未満にとどまっています。
次いで多かったのは「レベル2:簡単な傾向分析まで実施」で26.4%でした。一方、「レベル4:改善提案の作成まで実施」(20.4%)や「レベル5:意思決定支援レベルまで実施」(7.0%)といった、ビジネス成果に直結する高度な活用ができている担当者は合わせて約27%に留まることがわかりました。
この結果から、多くの利用者が基本的な分析から一歩進んだ段階にいるものの、戦略的な意思決定に繋がるレベルでの活用には至っていない現状が明らかになっています。

VOC分析における主要な課題
生成AIを活用したVOC分析の課題として最も多く挙げられたのは「セキュリティ面での制約がある」で38.0%でした。次いで、「一般的すぎる提案しか得られない」(33.4%)と「データの前処理や整理が大変」(33.4%)が同率で続き、「企業固有の文脈を理解してくれない」(32.2%)、「分析結果が表面的で深さが足りない」(31.0%)といった課題も多く報告されています。
この結果から、セキュリティというビジネス利用における根本的な障壁に加え、分析の「質」や「手間」に関する課題も僅差で存在しており、利用者が直面する問題が複合的であることが明らかになっています。

データ連携面における課題
生成AIを活用したVOC分析のデータ連携面では、「VOCとその発言者の属性情報(年代、購買履歴など)を紐づけて分析できていない」という課題が最も多く、46.4%に上りました。次いで「部署やチャネルごとにデータが分散しており、VOCを一元管理できていない」(40.9%)、「SNSなどの外部データを継続的に収集・分析する仕組みを構築できていない」(38.4%)といった回答も上位にランクインしています。
これらの結果から、多くの企業で顧客の声がデータとして分断されており、顧客の属性や背景を理解した上での深い分析に至っていない現状が浮き彫りになっています。

調査結果のまとめ
今回の調査により、生成AIによるVOC分析は「効率化」の面で高い満足度を獲得している一方で、その活用レベルは「課題抽出・要因分析」にとどまり、ビジネスの意思決定支援に貢献しているのはわずか7.0%にすぎないという実態が明らかになりました。
このギャップの背景には、本調査で明らかになった「戦略・組織」「データ連携」「人材スキル」「技術」という複合的な"4つの壁"が存在しています。特に、「分析で見つけた課題を、改善アクションに繋げるフローがない」という組織的な課題や、「VOCとその発言者の属性情報を紐づけて分析できていない」というデータ連携の課題など、手軽で汎用的な生成AIでは解決が難しい構造的な問題が利用者の本格的な活用を妨げていることがわかります。
これらの課題を乗り越え、VOCを真のビジネス価値へと変えるためには、単なる効率化を超えた本質的な課題への対策が不可欠であると言えるでしょう。

生成AI搭載データ活用プラットフォーム「見える化エンジン」について
「見える化エンジン」は、企業に寄せられる問い合わせ、アンケート、SNSなどの膨大な顧客の声をテキストマイニングで分析することで、顧客の困りごと、要望、不満、喜び、悲しみなどの感情を可視化できるサービスです。社内の関係部署や経営層へ分析結果をレポートする機能を備え、社内で情報共有を図りながらワンストップで改善活動を推進できる"顧客の声活用プラットフォーム"となっています。
株式会社プラスアルファ・コンサルティングについて
同社は『あらゆる情報から付加価値を生み出し続ける、見える化プラットフォーム企業』として、2006年の設立以来、顧客の声や顧客データ/購買データ、人事情報のビッグデータを「見える化」し気づきを与える力を持つ、「テキストマイニング」や「データマイニング」などの技術を核としたクラウドソリューション事業を展開しています。様々な情報を「見える化」することで、お客様のビジネスに+α(プラスアルファ)の価値を創造するためのソフトウェアの開発・販売、コンサルティング、新規事業創出を行っています。
出典元:株式会社プラスアルファ・コンサルティング プレスリリース