ユナイテッドアローズ、サステナビリティ活動「SARROWS」の2024年度実績を報告 - 繊維製品廃棄率が目標達成に近づく

株式会社ユナイテッドアローズ(代表取締役 社長執行役員 CEO: 松崎 善則、本社所在地:東京都渋谷区)が、サステナビリティ活動のスローガン「SARROWS(サローズ)」のもと、3つの活動目標「Circularity(循環するファッション)」「Carbon Neutrality(カーボンニュートラルな世界へ)」「Humanity(健やかに働く、暮らす)」について、2024年4月から2025年3月までの主な活動実績と数値目標の達成状況を公表しました。

2024年4月~2025年3月のサステナビリティ活動「SARROWS」の実績と総括

繊維製品の廃棄率:2023年0.03%→2024年0.01%
商品の廃棄率:2023年0.08%→2024年0.10%
環境配慮商品の割合: 2023年7.6%→2024年8.8%

「繊維製品の廃棄率」については、リサイクル推進などの取り組みにより、2030年に向けて設定した目標値(0.00%)に非常に近い0.01%を達成したとのことです。

一方で、「商品の廃棄率」は前年より若干増加して0.10%となりました。この要因として、革・合成皮革・金属・ゴムなど複数の非繊維素材で構成された製品は、現状ではリサイクルが技術的に困難であることが挙げられています。ただし、2030年に向けた数値目標(0.10%)は達成できたようです。今後は素材分離や再資源化に関する新技術の導入や、そうした技術に対応可能なリサイクル事業者との連携を模索することで、長期的な改善を目指していく方針とのことです。

また、「環境配慮商品の割合」については前年から増加して8.8%となり、引き続き全事業を横断した環境配慮素材の活用や新素材開発を進めていくことを表明しています。

Circularity(循環するファッション)について

「Circularity(循環するファッション)」の主な取り組みとして、以下の活動が報告されました。

商品廃棄の極小化に向けた具体的な取り組み

同社では、現場対応・品質管理・流通最適化・再活用という4つの観点から、商品廃棄の極小化を多角的に推進しています。

1. KPIによる管理

商品廃棄を「繊維製品」と「商品全体」に分類してKPIを設定し、精密な目標管理と進捗確認によって廃棄削減の効果を数値で可視化する取り組みを行っています。

2. 規格外品(傷物品)の発生抑制

店頭での商品試着や陳列時に生じやすい傷や汚れを減らすため、スタッフによる丁寧な商品取り扱いを徹底しているとのことです。また、試着時にはお客様にフェイスカバーの使用を積極的に案内するなどの対策を講じています。

3. 2023年度導入の規格外品判定フローの継続運用

店舗から専門部署へオンラインで情報を共有し、必要な商品のみを本社へ送付する仕組みを構築することで、輸送負荷と廃棄負荷の両方を削減しています。また、判定プロセスの迅速化により、販売機会のロスが減少し、定価販売比率も向上する成果が得られているようです。

4. 品質管理の強化

オリジナル企画商品を生産委託している国内外26の工場とQC(クオリティ・コントロール)ミーティングを実施し、商品不良の事例共有や技術向上のための方策を協議しています。工場との信頼関係を深めることで、品質の安定と向上を図る取り組みを続けています。

5. 売れ残り商品の再活用

販売しきれなかった商品についても即座に廃棄せず、外部企業と連携して再販売やリサイクルを促進する施策を展開しています。

先進的な環境配慮素材を使用した商品の開発

同社では、高いデザイン性と機能性を確保しながら、先進的な環境配慮素材を活用した商品開発に取り組んでいます。

参考リリース:

スパイバーの「ブリュード・プロテイン™ ファイバー」を原料に含む素材を、株式会社ユナイテッドアローズとして初めて6ブランド横断で商品化(2024年12月5日発表)

リサイクル素材を活用した商品企画および回収活動の継続

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」では、2015年から継続してリサイクルダウンを使用したダウンウェアの企画・販売を行うとともに、年間を通して全店舗でダウンウェアの回収活動を実施しています。

参考リリース:

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」がグリーンダウンプロジェクトのリサイクルダウンを使用したダウンウェアを発売。今年で継続10年目を迎え、クリーンな再生羽毛を使用したダウンウェアを展開(2024年11月27日発表)

また、循環型ファッションの推進活動として、「Circularity」の各目標達成に直結する取り組みではないものの、不要になった衣類の回収を行う「UAリサイクルアクション」を毎年8月と2月に継続的に開催しています。多くのお客様の賛同を得て、毎回高い回収実績を上げており、不要品の廃棄削減に貢献しているとのことです。

参考リリース:

不要な衣料品をさまざまな形でリサイクル。廃棄物削減と循環型ファッションの推進に向けてお客様とともに取り組む「UA RECYCLE ACTION」(2025年1月31日発表)

Carbon Neutrality(カーボンニュートラルな世界へ)について

CO2排出量の削減率(Scope1&Scope2):2023年-13.4%→2024年-32.5%
CO2排出量の削減率(Scope3):2023年-13.1%→2024年+2.8%
再生可能エネルギーの割合:2023年12.5%→2024年24.6%

CO2排出削減に関しては、Scope1(直接排出)およびScope2(エネルギー起源の間接排出)において前年から大幅に改善し、2024年は前年比19.1ポイント改善の-32.5%を達成したとのことです。また、「再生可能エネルギーの割合」も前年から12.1ポイント増加して24.6%となりました。この進展は、同社の店舗が入居する大手商業施設等における電力のグリーン化が進み、店舗専有部での再生可能エネルギー導入が開始されたことが主な要因だそうです。2024年度には新たに34拠点が再生可能エネルギーを導入し、2023年度末の12.5%から約2倍となる24.6%まで増加しました。

一方、Scope3(その他の間接排出)については前年よりも削減が進まず、むしろ増加傾向(+2.8%)を示しました。今後の対策として、オーガニックや再生素材を使用した商品の拡充、商品素材の見直し、再生可能エネルギーを導入している工場の優先的選定などに加え、CO2排出量の算定方法の精緻化も検討していくことが報告されています。

「Carbon Neutrality(カーボンニュートラルな世界へ)」の主な取り組みとしては、以下の活動が紹介されました。

商業施設のエネルギー状況調査の実施と再生可能エネルギー導入に向けた意見交換

同社は店舗を出店している各商業施設を対象としたエネルギー状況調査を実施すると同時に、各施設の担当者との面談を通じて、将来的な再生可能エネルギー導入に向けた協議を進めています。

CDPの気候変動分野においてB評価、水セキュリティでA-評価に認定

2025年2月、同社はCDP(企業などの環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体)の評価において、「気候変動」分野でマネジメントレベルの「B」評価を、「水セキュリティ」分野ではリーダーシップレベルの「A-(Aマイナス)」評価を獲得しました。また、2024年度の活動ではありませんが、同年7月にはCDPが実施する「サプライヤー・エンゲージメント評価」において、サプライチェーンにおける温室効果ガス削減への取り組みが評価され、最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に初めて選定されたことも報告されています。

3、Humanity(健やかに働く、暮らす)について

行動規範同意書の取得率:2023年74.4%→2024年77.2%
従業員エンゲージメントスコア(e NPS):2023年-42.0→2024年-45.6
従業員意識調査 肯定的回答率:2023年74.5%→2024年73.8%

「行動規範同意書の取得率」については前年から2.8ポイント増加し77.2%となり、着実な進展が見られました。同社では今後も早期の100%達成を目指していくとしています。一方、「従業員エンゲージメントスコア(e NPS)」は前年から3.6ポイント低下してー45.6となり、「従業員意識調査 肯定的回答率」も同じく0.7ポイント減少して73.8%となりました。

詳細な分析によると、若手社員のエンゲージメントスコアは向上したものの、中堅層の同スコアが低下したことが全体の指標を押し下げる結果となっているようです。この状況を改善するため、今後は中堅社員を対象としたリスキリングプログラムの拡充や成長支援の強化、社員個々のライフスタイルや個別事情に配慮した相談窓口の充実、キャリアデザインセミナーの強化などに取り組んでいくことが報告されています。

「Humanity(健やかに働く、暮らす)」の主な取り組みとしては、以下の活動が挙げられています。

行動規範同意書の取得、国内提携工場の実地監査の継続実施

サプライチェーンの透明性向上を目的として、「商品調達取引先様向け行動規範」を策定し、取引先からの同意書取得を継続的に推進しています。また、2023年2月から開始した国内提携工場の実地監査については、2024年度においても3つの生産拠点で実施されました。

参考:「商品調達取引先様向け行動規範」

従業員エンゲージメント向上に向けた各種人事施策の推進

同社では従業員のエンゲージメント状況を適切に把握するため、2012年から毎年従業員意識調査を実施し、その結果を人事戦略に反映させています。2024年度は特に、若手社員に対するキャリアパスの明確化や教育機会の拡充、業務効率と顧客サービスの質を高めるための店舗DX推進、マネジメント層との対話機会の創出などを重点施策として取り組んできたとのことです。

参考資料:

「ESGデータブック(2024年4月1日~2025年3月31日)」(2025年8月7日発表)

主にESG投資に関心を持つステークホルダー向けのレポートとして、ESG関連の項目別データを体系的に整理したものです。

株式会社ユナイテッドアローズのサステナビリティ活動「SARROWS(サローズ)」について

「SARROWS(サローズ)」は、ユナイテッドアローズのサステナビリティ活動を表す合言葉であり、「Sustainability」の「S」と、「ARROWS」の「A」を組み合わせた造語です。

同社は2020年4月にサステナビリティ推進の指針として5つのテーマと16のマテリアリティ(重要課題)を策定しました。さらに2022年8月には、2030年に向けた3つの活動目標として「Circularity(循環するファッション)」「Carbon Neutrality(カーボンニュートラルな世界へ)」「Humanity(健やかに働く、暮らす)」を掲げ、これらのカテゴリーに関連する具体的な数値目標を設定しています。同社では、これらの目標達成に向けた取り組みを推進するとともに、その進捗状況を積極的に情報公開していく方針です。

株式会社ユナイテッドアローズについて

株式会社ユナイテッドアローズは1989年に創業。独自のセンスで国内外から調達したデザイナーズブランドとオリジナル企画の紳士服・婦人服および雑貨等の商品をミックスし販売するセレクトショップを運営しています。「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」などのブランドやレーベルを展開しています。

出典元:株式会社ユナイテッドアローズ プレスリリース

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