
三井不動産株式会社は、グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」のもと、2025年度のロジスティクス事業における開発計画を策定したことを発表しました。2025年度には6物件の着工を予定し、国内外の開発施設は78件、総延床面積約610万㎡、累計総投資額約1兆3,000億円へと事業を拡大する計画です。
この記事の目次
本リリースのポイント
・2025年度、6物件の着工を予定。国内外開発施設は78件、総延床面積約610万㎡、累計総投資額約1兆3,000億円に事業拡大。これまで培ってきたノウハウと知見を活かし、今後も着実に事業を展開。
・「MFLP &LOGI」サービスをシリーズ化し、顧客ニーズに応じた様々なソリューションを提供することで、サプライチェーン全体の基盤強化を支援。また、荷役時間を可視化し、共同輸送を促進する新サービス「(仮称)MFLP &LOGI Berth」の実証実験を開始。「ポスト2024年問題」をはじめとする物流課題に対応。
・新たに関西にてデータセンターの開発を決定し、データセンター事業への累計投資額は約3,000億円に。加えて、BTS型施設や冷凍冷蔵倉庫、複合用途施設など、インダストリアル領域へさらに事業を拡大。
・地域交流にとどまらない、都市インフラとしての「街づくり型物流施設」の開発を通じて、地域社会との共生・連携を推進すると共に、地域・産業の活性化に寄与する"次世代"の街づくりを実現。
計画の背景
「物流の2024年問題」から1年が経過した現在も、輸送力の低下や人手不足の深刻な状況が続いており、生活者や働く人々に多大な影響を与えています。EC市場の拡大や消費者ニーズの多様化により、宅配便を中心とした商取引は多品種化・小口化の傾向を強めています。1件あたりの貨物量は1990年からの30年間で約3分の1に減少し、貨物全体の輸送量も約40%減少した一方で、配送件数は約2倍に増加しているとのことです。
このような状況を受け三井不動産は、単なる施設の賃貸・分譲にとどまらず、「MFLP &LOGI」サービスの拡充やデータセンター、マルチユース機能を備えた複合業務施設の開発など、様々なヒト・コト・モノをつなげる事業拡大を継続していく方針です。これにより、顧客のあらゆる物流課題の解決に寄与するとともに、「産業デベロッパー」として、街や社会全体のイノベーションを加速させ、より豊かで持続可能な地域・街づくりに貢献していくとしています。
三井不動産 ロジスティクス事業におけるこれまでの歩み
2025年8月時点で、三井不動産のロジスティクス事業として開発・運営する施設は計78物件(国内68物件・海外10物件)、総延床面積は約610万㎡となっています。累計総投資額は約1兆3,000億円に拡大しています。同社は今後も引き続き、これまで培ってきたノウハウと知見を活かし、着実に事業展開していく考えです。
開発施設数、総延床面積の推移(各年度)

物件数 | 国内:68物件 海外:10物件 計78物件
(竣工稼働施設:国内54物件・海外4物件 計58件) |
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総延床面積 | 約610万㎡ (竣工稼働施設:約465万㎡) |
累計総投資額 | 約1兆3,000億円 (2012年4月事業開始以降) |
※2025年8月1日時点
「MFLP &LOGI」 サービスのシリーズ化により、物流サプライチェーン全体の基盤強化を支援
三井不動産は2023年以降、「MFLP &LOGI Solution」や「MFLP &LOGI Sharing」など、物流課題解決に向けた様々なサービスを提供してきました。2025年7月には、「MFLP船橋」において、荷役時間を自動で可視化し、待機・荷役時間の削減および共同輸送を促進する新サービス「(仮称) MFLP &LOGI Berth」の実証実験を開始しています。
この度、「MFLP &LOGI」サービスをシリーズ化することで、多様化・複雑化する物流課題の一つひとつを的確に抽出し解決へと導くとともに、既存の顕在課題の解決から長期的な成長戦略策定まで伴走可能な体制を整備していくとのことです。今後も本サービスをはじめとするあらゆるソリューションの提供を通じて、物流施設の提供だけでなく、物流サプライチェーン全体の改革、基盤強化を支援するとともに、「ポスト2024年問題」をはじめとする複雑化した物流課題に対応していく方針です。

多様化・複雑化する顧客ニーズに対応する拠点開発及び事業領域の拡大
三井不動産は、単なる物流施設にとどまらず、オフィス・研究開発・ラボといったマルチユース機能を備えた複合業務施設の開発を通じて、テナント企業の多様なビジネス展開を支援するとともに、イノベーション創出と新たな価値の共創を促進しています。
データセンター

生成AIやIoTなどによるニーズ拡大を捉え、データセンター事業を強化しています。新たに関西エリアにおける新規物件の開発が決定し、累計投資額は約3,000億円に拡大しました。今後もデータセンター事業者とのリレーションを強化するとともに、都心型やコロケーション型にも事業ウィングを拡大し、様々なニーズを探索していく考えです。
BTS型(オーダーメイド型)物流施設

これまで培ってきた開発実績・ノウハウや、あらゆるステークホルダーとの豊富なリレーションを活かして顧客ニーズを早期に把握し、課題の解決に寄与します。開発・営業・運営マネジメント面における支援に加え、不動産の有効活用や共同事業開発の提案、さらには「MFロジソリューションズ株式会社」との連携により、拠点戦略の立案・見直しについても支援が可能としています。
冷凍冷蔵倉庫

ネットスーパー、冷凍食品の拡大を受け、冷凍・冷蔵倉庫が集積している船橋エリアや厚木エリアを中心に全館冷凍冷蔵倉庫の開発を推進しています。改正オゾン法による自然冷媒への転換目標の達成にも寄与していくとのことです。
ラボ・研究開発施設

倉庫・オフィス・ラボ等の産業活性化に寄与する複合用途施設の開発を推進しています。マルチユースに対応可能な施設の開発を通じて産業及び地域の発展に寄与することを目指しており、2025年4月には「三井不動産インダストリアルパーク海老名&forest」が着工しました。
賃貸工場

2025年秋頃には、グルメプラットフォーム「mitaseru(ミタセル)」の製造拠点を「MFLP船橋」内に新設予定です。商品製造工場から保管、配送まで、一気通貫した独自のサプライチェーンを構築していくとしています。
都市インフラとしての「街づくり型物流施設」の開発を通じた "次世代"の街づくり推進
三井不動産は、「物流+αの機能」を持つ場として物流施設を再定義し、「街づくり型物流施設」として、大規模かつ主要インフラへのアクセスが良い好立地に、先進的な物流施設を開発してきました。働きやすい快適な空間・地域に調和し洗練された外観デザインや、免震構造や非常用発電機など、顧客の物流インフラを支えるスペック、さらに、地域に開かれた空間の整備や、そこでの各種イベント開催による地域交流、レジリエンスへの取り組みなど、地域の人々の豊かで安全な暮らしに貢献すべく、地域社会との共生・連携にも力を入れています。


2025年3月には、8年にわたる「HANEDAインダストリアルパーク」計画の総仕上げかつ、街づくり型開発の一つの集大成として、「MFIP羽田」と東京モノレール「整備場」駅とを結ぶ「青宙橋」が竣工・開通しました。地域・行政・企業の三位一体の街づくりを通じて、羽田旭町エリアをさらに活性化し、地域の賑わい創出や新たな産業の創出、災害時の新避難経路への活用など、人とまち・産業と暮らしを未来へつなぐ架け橋となっています。
街づくりにおける環境との共生宣言「&EARTH for Nature」に基づき、環境配慮の取り組み強化
三井不動産グループは太陽光発電設備の設置を推進し、オフサイトPPAによるグリーン電力の供給や、テナントの要望に応じた専有部への「グリーン電力提供サービス」等、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
国内初の木造構造採用新産業創造拠点の開発
2025年4月に国内初の木造構造採用新産業創造拠点となる「三井不動産インダストリアルパーク海老名 &forest」が着工しました。複数テナント型の物流(マルチ型倉庫)用途を含む施設として国内で初めて、建物構造の一部に木造を採用しています。木造とした共用部の一部では木質デザインを積極的に取り入れることにより、鉄骨造で建築した場合と比較してCO2排出量が約40%低減することを見込んでいます。
グリーン電力の創出と活用

2023年10月には、三井不動産と三井不動産ロジスティクスパーク投資法人が保有する全施設の共用部供給電力の100%グリーン化を達成しました。また、新築・既存全物件において、「DBJ Green Building認証」、各種「ZEB認証」または「arc」いずれかの外部認証を取得しています。
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」では施設屋上全面に設置した約4MWの太陽光発電設備から、余剰電力を自治体施設へ供給(オフサイトPPA)するなど、先進的な環境配慮の取り組みを推進しています。「MFLP入間I」では非常用発電機や太陽光発電設備の充実により自己託送の仕組みを実現し、さらに「MFLP横浜新子安」では、2,600kWhの容量の大型蓄電池を導入するなど、先進的な脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
三井不動産について
三井不動産のロジスティクス事業ステートメント

『ともに、つなぐ。ともに、うみだす。』
入居企業の皆様の課題解決パートナーとして、
多種多様なヒト・モノ・コトをつなげ、
既存の枠にとらわれない価値づくりに挑戦します。
そして、社会のさらなる豊かな暮らしに貢献します。
三井不動産グループのサステナビリティについて
三井不動産グループは、「共生・共存・共創により新たな価値を創出する、そのための挑戦を続ける」という「&マーク」の理念に基づき、「社会的価値の創出」と「経済的価値の創出」を車の両輪ととらえ、社会的価値を創出することが経済的価値の創出につながり、その経済的価値によって更に大きな社会的価値の創出を実現したいと考えています。
2024年4月の新グループ経営理念策定時、「GROUP MATERIALITY(重点的に取り組む課題)」として、「1.産業競争力への貢献」、「2.環境との共生」、「3.健やか・活力」、「4.安全・安心」、「5.ダイバーシティ&インクルージョン」、「6.コンプライアンス・ガバナンス」の6つを特定しました。これらのマテリアリティに本業を通じて取組み、サステナビリティに貢献していくとしています。

また、2025年4月に、街づくりにおける環境との共生宣言「&EARTH for Nature」を策定し、「環境」を自然と人・地域が一体となったものと捉え、豊かな「環境」を広げ、未来の世代へつなぐ街づくりを推進しています。本宣言における重点課題として、「緑を守り育む」「水の魅力を生かす」「生態系を豊かにする」「地域の想いをつなぐ」「自然資源を循環させる」の5つを定めています。
三井不動産の国内物流施設マップ(2025年8月1日時点)

出典元:三井不動産株式会社 プレスリリース