株式会社ラクーンコマース（本社：東京都中央区、代表取締役社長：和久井岳）が運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、2024年5月～2025年4月の注文データをもとに、甲信越・北陸地方6県の仕入れ傾向を分析した「地域別仕入れ動向レポート」を発表したことが分かりました。この調査では、各県固有の「地場産業」「気候」「文化」「ライフスタイル」「アウトドア志向」といった5つの要因が仕入れ傾向に顕著な影響を与えていることが明らかになっています。
今回の分析では、福井県の「繊維王国」としての特性がレッグウェア・靴下の仕入れ傾向に反映されていることや、長野県では観光地特有の「カフェ文化」と移住者の「ライフスタイル」が飲料（コーヒー・ココア）の仕入れを活性化させていることなど、地域ごとの特徴的な傾向が浮き彫りになりました。また、長野県の「観光」と「気候」によるパーソナルケア需要や、山梨県の「アウトドアの聖地」としての側面がキャンプ・レジャー用品の仕入れに反映されるなど、地域特性と仕入れ行動の密接な関係性が示されています。
調査の背景と目的
スーパーデリバリーは、国内メーカーと小売店やサービス業などの事業者が取引する卸・仕入れサイトです。国内版に加えて、世界134か国への卸販売が可能な越境版も展開しており、アパレルや雑貨を中心に、家具、生活家電、食品など幅広いジャンルの約199万点の商品が掲載されています。
甲信越・北陸地方は、日本海に面した工業都市、山岳地帯の広大な観光地、世界的に評価される地場産業の集積地という多様な特性を持っています。今後リニア中央新幹線の開通により首都圏との結びつきがさらに強まることが期待されるこの地域では、各県が独自の産業と文化を育んできました。本レポートでは、「スーパーデリバリー」の注文データと1会員あたりの注文点数をもとに、甲信越・北陸地方における地域特性が仕入れの傾向にどのように反映されているかをカテゴリ別に詳細に分析しています。
地域特性に応じた注目カテゴリの傾向
福井県×レッグウェア・靴下：「繊維王国」の地場産業力が牽引
福井県は「繊維王国」として長い歴史と高い技術力を持っており、この地域性が「レッグウェア・靴下」カテゴリーの仕入れに顕著に表れています。絹織物や羽二重の技術を基盤として発展してきた福井県の繊維産業は、現在も高機能素材やデザイン性の高い製品を多数生産しています。このような背景から、地域の事業者は品質を見る目が養われ、レッグウェア・靴下カテゴリーにおける積極的な仕入れ傾向につながっていると分析されています。
長野県×飲料（コーヒー・ココア）：観光地特有の「カフェ文化」と移住者の「ライフスタイル」
長野県は「飲料（コーヒー・ココア）」の仕入れでトップとなっています。軽井沢や安曇野といった観光地には個性的なカフェが点在しており、また自然環境を求めて移住した人々によるカフェの開業や嗜好品需要の高まりが顕著に見られます。このように地域に根付いたカフェ文化と、それを支える人々の特徴的なライフスタイルが、飲料関連市場を活性化させていると考えられています。
長野県×美容液：「観光」と「気候」によるパーソナルケア需要
「美容液」カテゴリーの1会員あたりの注文点数でも長野県が首位となっています。この背景として考えられるのは、軽井沢や白馬などの観光地における高品質なアメニティ需要と、標高が高く乾燥しやすい気候による肌ケアニーズの存在です。観光客へのおもてなしの一環としての需要と、地元住民のパーソナルケア需要が、宿泊施設や小売店による美容液の仕入れを促進していると推測されます。
山梨県×キャンプ・レジャー用品：「アウトドアの聖地」が放つ圧倒的な存在感
「キャンプ・レジャー用品」カテゴリーでは山梨県がトップとなっています。富士五湖や八ヶ岳などの山岳リゾートを有し、多種多様なキャンプ施設や体験型アウトドア施設が多数存在する山梨県は、アウトドア活動の拠点として広く認知されています。都心からのアクセスの良さもレジャー需要を後押ししており、レジャー施設やその周辺の小売店がテントや寝袋、アウトドア関連の便利グッズなど幅広い商品を積極的に仕入れていることがデータから読み取れます。
その他地域（新潟県・石川県・富山県）：各地の特徴が光る仕入れ
新潟県×置物・オブジェ
世界的な金属加工の集積地「燕三条」を擁する新潟県は、「置物・オブジェ」カテゴリーで1位となっています。江戸時代の和釘づくりに始まり、現在はプレス・鍛造・鋳造・研磨など世界最高峰の金属加工技術が集まる「ものづくりのまち」としての特性が、このカテゴリーの仕入れ傾向に反映されています。
石川県×文具・事務用品（クリップ）
「クリップ」カテゴリーでは石川県が1会員あたりの注文点数でトップに立っています。金沢を中心に、伝統工芸や現代アート、機械工業など多様な文化・産業が根付く石川県では、オフィスやアトリエなどでの事務用品需要が存在しています。また、多くの大学や専門学校の存在も、この需要を支える要因となっていると分析されています。
富山県×和菓子（かりんとう）
「かりんとう」カテゴリーでは富山県が注文点数第1位となっています。新潟に次ぐ米どころとして知られる富山県では、米粉を使った伝統的な菓子づくりが盛んに行われています。このため、かりんとうという伝統的なお菓子に対する安定した需要が存在し、小売店による積極的な仕入れにつながっていると考えられます。
仕入れ戦略のヒント：甲信越・北陸市場の攻略には、県ごとの特性理解が不可欠
今回の調査結果から、甲信越・北陸地方は単に地理的に隣接しているだけでなく、各県が長年にわたって育んできた独自の産業と文化、そして多様なライフスタイルが複雑に絡み合い、それぞれが特色ある市場を形成していることが明らかになりました。
これらの分析結果は、甲信越・北陸地方という一つの経済圏の中に、いかに多様で奥深いビジネスチャンスが眠っているかを示唆しています。地域の特性を理解し、それに合わせた商品展開や販売戦略を構築することが、この地域でのビジネス成功の鍵となるでしょう。
ラクーンコマースでは、今後もデータに基づいた詳細な分析・情報提供を通じて、事業者のビジネス判断をサポートしていく方針とのことです。地域ごとの特性を活かした効果的な仕入れ戦略の立案に役立つ情報発信を継続していくことが期待されます。
調査概要
・調査期間：2024年5月～2025年4月
・調査対象：「スーパーデリバリー」国内会員（甲信越・北陸6県）の注文データ
・対象地域：甲信越・北陸6県（新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県）
・分析方法：主要ジャンル別に「1会員あたりの注文点数」を算出し比較
スーパーデリバリーについて
スーパーデリバリーは、メーカーと小売店やサービス業などの事業者が取引する卸・仕入れサイトです。商品掲載数は約199万点に達しています。メーカーにとっては、地域を超えた46万店舗への販路拡大ツールとして効果を発揮し、小売店にとっては3,200社を超える出展企業とインターネットを通して取引でき、仕入先を大幅に拡大することが可能となっています。また、従来の取引におけるコストや手間、リスク等を解消し、効率的な取引を実現するプラットフォームとして機能しています。なお、第1回日本サービス大賞にて地方創生大臣賞を受賞しています。
会社概要
株式会社ラクーンコマース
代表者：代表取締役社長 和久井 岳
所在地：東京都中央区日本橋蛎殻町1丁目14番14号
設立：2018年11月
資本金：300,000千円
株主：株式会社ラクーンホールディングス100％
出典元： 株式会社ラクーンコマース プレスリリース
