
株式会社マイスタースタジオが、全国の男女500人を対象に「口コミを書きたくなる瞬間に関する意識調査」を実施しました。調査結果から、ユーザーが口コミを書く目的や書きたくなる瞬間、投稿する際に気をつけていることなどが明らかになりました。
商品やサービスを選ぶ際、多くの人が口コミを参考にしています。では実際に口コミを書く人たちは、どのような状況で口コミを投稿し、どんなことに気をつけているのでしょうか。
今回、気になる口コミ探索サービス「みん評」を運営する株式会社マイスタースタジオが実施した調査から、口コミ投稿に関する実態が浮き彫りになりました。
この記事の目次
調査概要
調査対象:全国の男女
調査期間:2025年4月12日~14日
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:500人(女性355人/男性145人)
回答者の年代:10代 1.0%/20代 21.6%/30代 37.6%/40代 23.4%/50代 13.0%/60代以上 3.4%
調査結果サマリー
・口コミを書く頻度は「年に3回以下」が7割
・口コミを書く目的は「参考情報を提供したい」
・口コミを書きたくなる瞬間1位は「満足したとき」
・口コミを書くときに気をつけていることは「正直に書く」
口コミを書く頻度は「年に3回以下」が7割
全国の男女500人に「口コミを書く頻度」について質問したところ、最も多かった回答は「年1~3回(42.4%)」で、次いで「年に1回未満(31.0%)」という結果になりました。これにより、口コミを書くのは年に3回以下という人が7割以上を占めていることが明らかになりました。
高頻度で口コミを投稿している人は少なく、多くの人にとって口コミ投稿は日常的な習慣ではなく「特別な行動」であることが判明しています。
この背景として考えられる理由には、「時間や手間がかかる」「自分の意見を公開することへの抵抗感」などが挙げられます。そのため実際に投稿する場合には、面倒さや恥ずかしさを超える強い動機や目的があると推測できます。
口コミを書く目的は「参考情報を提供したい」

口コミを書く目的について質問したところ、1位は「参考情報を提供したい(33.4%)」、2位は「おすすめしたい(28.8%)」という結果になりました。3位には「特典をもらう(17.6%)」、4位は「注意喚起したい(8.8%)」が続いています。
「参考情報を提供したい」「注意喚起したい」といった回答から、他のユーザーに貢献したいという思いで口コミを書いている人が多いことがわかります。また「おすすめしたい」「意見を発信したい」など、自身の体験や思いを共有したいという動機も見られました。全体的にはポジティブな動機が多い結果となっています。
1位 参考情報を提供したい
・「自分が口コミを参考にしているので、自分の意見を他の人にも参考にしてほしいため」(40代 女性)
・「実際に使ってみた感想を誰かの参考にしてもらえたら、と思うからです。自分が買う前に口コミに助けられることも多いので、お返しのつもりもあります」(60代以上 男性)
普段から口コミを見てネットショッピングや宿選び・店選びをしている人も多いでしょう。そのため「自分が口コミに助けられたから、今度は自分が他の人の助けになりたい」という気持ちで口コミを書く人が多いことがわかります。「利他的」「社会的な貢献意識」が動機になっていると言えるでしょう。
2位 おすすめしたい
・「いい商品や場所だったときに、口コミを見ている人におすすめしたいと思うから」(20代 女性)
・「気に入った商品を紹介したい」(40代 男性)
・「『良いお店なのに知ってる人が少なそうだ』と思ったときに、教えたいから」(50代 男性)
商品購入や店舗利用で満足できる経験をしたときに、「誰かと共有したい」「伝えたい」という気持ちで口コミを書く人も多いことがわかりました。これもポジティブな動機と言えます。
「まだあまり知られていない良いお店や商品を広めたい」という気持ちで口コミを書く人もいます。発信欲や発見した喜びを共有したいという心理がうかがえます。
3位 特典をもらう
・「美容室の口コミが多いです。口コミを書くとマッサージやシャンプーなど、何かのサービスが受けられる場合に書きます」(20代 女性)
・「ポイントなど、何か口コミに関して特典がもらえるときに書きます。購入後に口コミを書くように促されて、促されるままに書いています。お知らせがなければ書きません」(40代 男性)
口コミを書くことで、次回使えるクーポンやおまけがもらえることもあります。書いて伝えることより見返りが原動力となるため、「口コミに込められた熱量」という点では、やや弱くなる可能性があります。
4位 注意喚起したい
・「掲載されている商品と実際に到着した商品に違いがある場合などに、注意喚起として書くこともあります」(30代 男性)
・「不具合があったときや不快に感じたときに、他の人に同じ思いをしてほしくなくて書きます」(40代 女性)
商品や店で嫌な体験をした場合に、「他の人が同じ目に遭わないように」という親切心で口コミを書く人もいました。トラブルや期待はずれな体験をした場合には、感情が高ぶった状態で書くことも考えられます。
自分がした嫌な経験を共有したいという気持ちが、「他者への注意喚起」という目的につながっていると考えられます。
5位 応援したい
・「いい商品の場合は、口コミを共有して需要が上がることにより、商品が販売中止になるのを防ぎたいから」(20代 女性)
・「気に入った商品や企業を応援したいため」(40代 女性)
好きな商品やサービスを「支えたい」「もっと広めたい」という目的で口コミを投稿している人もいます。売上や評価を上げることで、店舗の撤退や商品の廃盤を防ぐ狙いがあることがわかります。商品や店舗のファンになったときに抱きやすい目的意識だと言えるでしょう。
6位 意見を発信したい
・「自分の声が届いてほしいから」(20代 女性)
・「自分の考えが販売店や販売企業に伝わってほしいと願っているから」(40代 男性)
「自分の声を届けたい」「聞いてほしい」という気持ちで口コミを投稿している人もいます。声を届けたい相手は、他のユーザーや企業・店舗です。
改善点や使ってみて感じたことを届けることで、他の人や企業に影響を与えたいという目的が感じられます。SNSのように「自己表現を目的とした投稿」に似た傾向があると推測できます。
7位 感謝を伝えたい
・「店員さんの対応が素晴らしかったときのお礼として」(20代 女性)
・「とっても気に入ってしまったとき、製造業者さんや販売者さんへの感謝の意を込めて」(50代 女性)
商品や接客に満足した場合に、お礼を伝える目的で口コミを投稿している人もいます。これはポジティブで温かい動機だと言えるでしょう。
飲食店や美容室などの店舗利用であれば直接お礼を言えますが、通販などで直接伝えられないケースもあるため、口コミを活用しているのです。口コミがユーザーと店舗・企業をつなぐコミュニケーションツールになっていることがわかります。
口コミを書きたくなる瞬間1位は「満足したとき」

どのような時に口コミを書きたくなるのかという質問に対しては、圧倒的1位は「満足したとき(62.8%)」、2位は「不満を感じたとき(33.8%)」という結果になりました。ポジティブであれネガティブであれ、感情が大きく動いたときに口コミを書きたくなることが明らかになっています。
また「注意喚起したい」「他の口コミと自分の意見が違う」といった回答からは、自分の意見を表に出したいという欲求も感じられます。
1位 満足した
・「期待を大きく上回るサービスや対応を受けたときです。例えば『旅行先のホテルでスタッフが親身に対応してくれて、子どもが体調を崩したときに薬を用意してくれた』など。感動レベルの出来事があると、自然と『誰かに伝えたい!』という気持ちになります」(30代 女性)
・「お店の対応がよく、満足度が高かったとき」(40代 女性)
感動的な体験をしたときに口コミを書きたくなる人が多いようです。感動や好意が「お礼を伝えたい」「お店や商品を応援したい」「他の人におすすめしたい」という気持ちにつながるからでしょう。
「期待よりかなり良かったとき」「感動レベルだったとき」など、事前の期待を大きく上回り、満足感が強いほど口コミ投稿につながりやすくなることがわかります。
2位 不満を感じた
・「商品だけでなく、会社側の対応に問題があると感じたとき」(30代 女性)
・「期待はずれのとき。あまりにも理想とかけ離れている商品だったとき」(50代 男性)
満足とは反対に、不満を感じたときも口コミを投稿しようと考える人が多いことがわかりました。特に商品やサービスの質が期待を大きく下回った場合には、失望や怒りを感じて「ネガティブな思いをぶつけたい」「誰かに聞いてほしい」という気持ちになるようです。
「商品の質がかなり悪かったとき」「トラブルに対して店舗・企業の対応が悪いとき」など、不満の程度がかなり大きかったときのみ書く人もいました。
3位 特典が魅力的
・「ポイントがつく、お礼の品がもらえるなど、口コミを書くことによって何か自分にメリットがあるとき」(20代 女性)
・「口コミを書き込むことによって得られる特典が、面倒くささを上回ると感じたとき」(30代 女性)
口コミ投稿に対して魅力的な特典を提示されたときに、口コミを書こうという気持ちが高まる人もいます。手間をかけても見返りがあるからでしょう。
感情ではなく損得勘定が優先されるため、ユーザーによって特典が魅力的なものでないと口コミ投稿にはつながらない可能性もあります。
4位 注意喚起したい
・「他の人に知らせてあげたい何かがあったときです」(40代 女性)
・「購入するにあたって注意してほしいとき」(60代以上 男性)
商品画像や通販サイトの説明ではわからない点などについて注意喚起をしたいときに、口コミを投稿するユーザーもいます。「買ったり利用したりしたあとに、がっかりしてほしくない」という親切心が根底にあると考えられます。
不満がきっかけになることもありますが、「使い方の注意点」「合う・合わないの注意点」などを書く人もいるようです。
5位 他の口コミと自分の意見が違う
・「レビューだとあまり良く書かれてなかったのに、実際には良かったときは、書きたくなります」(50代 女性)
・「他の人の感想と自分の感想が全然違うときも、つい書いてしまいます」(60代以上 男性)
「自分の感想が他の人の評価と違う」と感じたときには、自分の視点を届けたいという気持ちが強くなるようです。例えば口コミの内容がかなり偏っていると、違和感をもった人が「実はそうじゃない」と声を上げたくなるのでしょう。
口コミは多くの人が参考にしているため、「偏った状況を変えたい」という気持ちが起こりやすいと考えられます。
口コミを書くときに気をつけていることは「正直に書く」

「口コミを書くときに気をつけていること」の1位は「正直に書く(25.6%)」、僅差の2位は「伝わりやすく書く(25.2%)」という結果になりました。
「誠実さや信頼性」と「わかりやすさ」が、口コミ投稿で特に重視されていることがわかります。また「口コミを受ける側に配慮する」「主観的になりすぎない」と答えた人も多く、感情的な口コミをしないよう意識している人が多いことも明らかになりました。
ランキング上位の項目を見ると、口コミを書くにあたって、信頼できる正確な口コミを提供しようとする責任感が感じられます。
1位 正直に書く
・「当時の対応や発言などをそのまま書くこと。嘘を書いたり内容を盛ったりしても誰の得にもならないから、すべて素直に書く」(30代 男性)
・「ネガティブな意見でも、名誉毀損にならない程度に、正直に書きます。肝心なことを書かないと伝わらないし、書く意味がないため」(40代 女性)
・「事実を正確に伝える。嘘や誇張表現をしないように気をつける」(50代 女性)
多くの口コミ投稿者は、誇張や嘘を交えずに事実をありのまま正直に書くことを心がけていることがわかりました。虚偽や誇張は読者に誤解を与えますし、自分の信用も損なってしまうからです。
正直であることは口コミの基本と言えます。評価がネガティブな場合でも、名誉毀損にならないよう注意を払いつつ、重要な点はきちんと伝えようとする意識がうかがえます。
2位 伝わりやすく書く
・「自分がしてもらったことや対応を簡潔に短く、伝わりやすくして記入しています」(20代 女性)
・「おすすめできる点を箇条書きにして、わかりやすく伝えられるように気をつけています」(40代 男性)
伝わりやすく書くことで、他ユーザーは正確な情報がわかり、誤解を防ぎやすくなります。具体的には「難しい専門用語は避ける」「あいまいな表現はしない」「簡潔に書く」といったチェックポイントが挙げられました。
例えば長文だと読み手の負担になって最後まで読んでもらえなかったり、「AIで生成したのでは」「サクラ・ヤラセでは」などと疑われたりすることもあります。また感情的になっていると、長文でくどくどとクレームじみた内容を書いてしまう可能性もあります。
そのため、伝えたいポイントだけを簡潔にまとめ、箇条書きなどでまとめる人も多いようです。「必要以上の感情表現」や「細かすぎて不要な説明」を省くことで、必要な情報を効率的に伝えたいという配慮が感じられます。
3位 口コミを受ける側に配慮する
・「お店の迷惑にならない投稿であること」(20代 男性)
・「正直に書くようにするが、営業妨害や人権侵害になるようなことは書かない」(30代 女性)
・「ネガティブなことも、心証を損ねないように書く」(40代 女性)
特にネガティブな口コミを書く場合に、口コミを受ける店舗や企業への配慮をする人が多いことがわかりました。例えば「言葉遣い」「クレームではなく改善提案として書く」などです。
感情的に悪口や誹謗中傷を書いてしまったり、個人が特定できるような情報を入れてしまったりすると、「営業妨害」や「名誉毀損」といった事態に発展しかねないからです。
あまりに攻撃的な口コミは、店舗・企業だけではなく、他ユーザーの心象を悪くしてしまう可能性もあります。正直な意見や事実であっても、伝え方には注意が必要なのです。
4位 主観的になりすぎない
・「悪い評価を自分だけの思い込みで書かないようにしている」(50代 女性)
・「なるべく主観だけじゃなく、誰に向いてるか・使い方のポイントなども書くようにしています。感情だけで書かず、客観的な内容も意識してます」(60代以上 男性)
感情的な投稿は誤解や偏見を生みかねませんし、口コミを書かれた側とのトラブルを引き起こす可能性もあります。そのため多くの人が客観性を意識していることがわかります。
特にネガティブな評価をする際は、「トラブルがあって熱くなってしまった感情」や「思い込み」だけで書くのではなく、他ユーザーにとって公平な判断材料になるよう書くことが大切だと考えられています。
5位 メリットもデメリットも書く
・「自分の口コミを見て購入検討される人に誤解を与えないように、いいところも『ここがこうだったらな』という意見も含めて書きます」(20代 女性)
・「褒めるだけではなく、改善点もあれば書く」(50代 女性)
使ってみてわかるメリットとデメリットを記載することで、よりバランスよく、読者の参考になる口コミになります。また、あまりに褒めすぎるとヤラセを疑われる可能性もあります。
つまり、自分が読んだ場合に信用できるかという視点で口コミの内容を構成している人が多いのです。これは口コミの信頼性向上につながる工夫だと言えるでしょう。
まとめ
今回の調査結果から、商品・サービスが「期待を大きく上回ったとき」または「大きく下回ったとき」に口コミを書きたくなる人が多いことが明らかになりました。
満足すれば他の人にすすめたくなったり、店舗・企業側にお礼を伝えたくなったりします。反対に不満であれば、他の人に注意喚起したくなったり、店舗・企業にクレームや改善提案を伝えたくなるのです。
全体的には自分の感情を伝えるためというより、「他の人の助けになりたい」「他の人にもいい経験をしてほしい」という動機が多くなっています。
なお口コミを書くときには、正直さやわかりやすさを意識している人が多数。また正直な意見であっても、店舗・企業や他ユーザーに配慮して、言葉遣いや伝え方のトーンを工夫している人も多いことがわかりました。
出典元:株式会社マイスタースタジオ プレスリリース