
SNSを活用した情報発信や広告施策が日常的になっている現代において、「見た情報がきっかけで実際に行動する」ユーザーはどの程度存在するのか、また、行動を促す情報の特徴は何なのかを明らかにするための調査がダッシュボード株式会社により実施されました。
この調査では、ダイエット分野におけるSNS活用の実態や、行動の有無・決め手となった情報・年代別の傾向を詳しく分析し、効果的なSNS施策を設計するためのヒントが示されています。
この記事の目次
調査サマリー
SNSで情報を閲覧しても実際に行動に移す人は限られており、「自分に合った方法がわからない」という声が最も多く、パーソナライズの不足や情報の信頼性の見極めといった課題が明らかになりました。
- ダイエットの目的:「健康維持(66.4%)」「見た目改善(57.9%)」の二大目的が明確。
- SNS閲覧者は約7割と多数を占めましたが、実際に行動に移した人は約4割にとどまり、"見るだけ"で終わる傾向が顕著。
- SNS改善要望:「自分に合った方法がわからない」が最多(約4割)。パーソナライズへのニーズが高い。
- 年代別傾向:40代以降はSNS利用率が約半数と若年層に比べて低く、情報閲覧も限定的。また、行動に移した人の割合は3割未満であり、SNSを通じたダイエット行動につながりにくい傾向が見られました。
詳細と考察
1. ダイエット目的は"健康"と"見た目"の両軸
調査全体では「健康維持・病気予防」が66.4%で最も多く、「見た目をよくしたい(体型・サイズダウン)」も57.9%と高い支持を得ており、この2つが主要な目的として浮かび上がりました。

年代別に分析すると、若年層は見た目を重視する傾向が強く、中高年層になるほど健康目的が優先される傾向が見られました。

2. SNSは見るけど行動に移せない?そのギャップの背景
SNS閲覧者は全体の約7割に達し、ダイエット情報収集にSNSが広く活用されている実態が確認できました。
全体で最も利用されているSNSプラットフォームはYouTubeで、動画による視覚的なわかりやすさが支持を集めていると考えられます。
次に人気を集めたのは意外にもテキストが中心のX(旧Twitter)です。特に20〜30代ではYouTubeとほぼ同等の利用率を示しており、短文や口コミ的な投稿形式が手軽に情報を得られるソースとして機能している可能性があります。


しかし、SNSをきっかけにジム体験の予約やサプリメント購入などの実際の行動に移したのは約4割にとどまりました。
SNSの利用率が9割近くある20~30代では、約6割と行動を起こした人が過半数を上回りましたが、40代以降は3割未満という結果となりました。情報閲覧自体が限定的であり、SNSを通じたダイエット行動につながりにくい傾向が確認されました。

また、実際に行動した人に「決め手となった情報」について質問したところ、最も多かったのは「インフルエンサーやモデルのおすすめ」(20.3%)でした。
続いて「キャンペーン・割引情報」(14.5%)、「画像や動画の演出・構成」(12.9%)、「効果やメリットが一目でわかる図・イラスト」(12.3%)などが上位を占めました。
ビジュアル表現や具体的なメリットの伝達が購買行動や実践を後押しする要因となっていることがわかります。

さらに年代別に分析すると、20代では「インフルエンサーやモデルのおすすめ」が特に高く(31.9%)、若年層ほど人物ベースの共感・信頼が重要視されていることが明らかになりました。
一方、50~60代では「キャンペーン・割引情報」が比較的高い割合を示し、価格メリットが行動を促進している傾向が見られました。
30代以降では回答が全体的に分散しており、年代によるばらつきも目立つため、明確な共通傾向を見出すことは難しい結果となりました。これは人によって響く理由が多様であることを示しており、広告クリエイティブを設計する際には様々な切り口や訴求軸を検討することが効果的だと考えられます。

3. SNS情報の"選び方"における課題──パーソナライズと信頼性の不足
SNS改善要望として最も多かったのは「自分に合った方法がわからない」でした。次いで「信頼できる情報とそうでない情報の見分けがつかない」「情報が多すぎて整理できない/続けづらい」といった回答が続きます。
情報は豊富に存在するものの、自分に適しているかどうかの判断ができず、行動に移せない人が多いことがうかがえます。他者の成功体験ではなく、"自分自身の課題に合った具体的なアプローチ"が求められています。

4. 人気インフルエンサーに共通する「継続性」と「親しみやすさ」
参考にしているインフルエンサーや公式アカウントについての質問では、回答は比較的分散していましたが、最も多かったのは「のがちゃんねる」さん、次いで「竹脇まりな」さん、「ひなちゃんねる」さんという結果でした。
これらのインフルエンサーに共通するのは「自宅でできる」「継続しやすい」「明るく前向きな発信スタイル」など、視聴者が無理なく取り組める姿勢を重視している点です。人気の背景として、共感を得やすく実践しやすい内容が影響していることがわかります。

5. ダイエット手法とアプリ活用のギャップ
試したことがある、または今後試してみたいダイエット方法として「運動・筋トレ」「食事制限・管理」が上位を占めましたが、それらの管理に便利なダイエットアプリの利用率は全体で約4割にとどまりました。
特に40代以降では7割以上がアプリを使用していないという結果となり、感覚的な管理や紙・メモ帳などのアナログ手法で対応している可能性があります。デジタルツールの活用が進みにくい層への適切なサポートやガイダンスが課題として浮かび上がります。


調査概要
調査期間 :2025年5月
調査機関(調査主体) :ダッシュボード株式会社
調査方法 :アンケート調査サービス「FastTask」を用いたオンラインアンケート
調査対象 :男女881名(男性:441名、女性:440名、いずれも20~69歳)
有効回答数(サンプル数) :848件
集計方法(算出方法) :集計ツール「Fxross」を使用
行動しない6割を動かすための改善策
「SNSで見た情報に納得しても、いざ自分に当てはめると迷ってしまう」という意見が多く寄せられ、情報の"自分ごと化"が大きな課題となっています。
企業側の情報発信においても、一般的な訴求ではなく、ターゲット属性ごとにセグメント化した伝え方や表現が求められています。


出典元:ダッシュボード株式会社 プレスリリース