
EC物流代行(発送代行)サービス「ウルロジ」を運営するディーエムソリューションズ株式会社(本社:東京都武蔵野市、代表取締役社長:花矢卓司)が、全国の20-40代の女性で日常的にコスメ・化粧品をECで購入している500名を対象とした「コスメ・化粧品のECでの購買課題に関する実態調査」の結果を発表しました。
この調査では、ECでコスメ・化粧品を購入する女性ユーザーが普段どのような化粧品カテゴリーを購入しているか、ECでの購買時に感じる不安、ECサイトのUI/UXに関する課題などについて詳細に分析されています。
この記事の目次
ECで最も購入されるカテゴリー:スキンケア用品の圧倒的な存在感
ECサイトでよく購入される化粧品のカテゴリーについての調査結果によると、スキンケア用品が76.2%と圧倒的な割合を占めていることが明らかになっています。これはベースメイク(50.2%)、クレンジング・洗顔料(43.6%)、ポイントメイク(40.4%)といった他の主要カテゴリーと比較しても大きな差があります。

この結果から、肌悩みやエイジングケアなど、個人の肌状態に深く関わるスキンケア用品は、自宅でじっくり情報収集し、自分のペースで検討して購入するというECの購買スタイルと相性が良いと考えられます。
特に、コロナ禍以降の「おうち時間」の増加により、スマートフォンなどを利用した情報収集からそのままECでの購買へ移る流れが加速した可能性が示唆されています。
このデータからは、ECサイトにおけるスキンケアカテゴリーの商品展開、詳細な情報提供、効果的な訴求が、サイト全体の売上や顧客エンゲージメントを高める上で非常に重要であることが分かります。
EC購買における構造的な課題:根強い「試せない不安」と口コミの絶大な影響力
ECサイトでの化粧品購買における最も大きな課題の一つが「実店舗のようにテスターを試せないこと」に対する不安です。調査によると、回答者の半数以上(51.6%)がこの点に不安を感じていることが明らかになっています。「非常に強く不安を感じる」が9.2%、「やや不安を感じる」が42.4%を占めており、多くのユーザーにとって、ECでの化粧品購入には心理的なハードルが存在することが分かります。

すぐに効果を実感しにくいとされるスキンケア用品においても、テスターによる使用感やテクスチャーの確認が重視されており、「試せない」というECの構造的な制約が、顧客の購買行動における不確実性を高めているとのことです。
この「試せない不安」を解消するために、不安を感じる人々(n=258)はどのような情報やサービスを重要視しているのでしょうか。調査結果によると、最も多く挙げられたのは「多様な使用者による口コミ・レビュー」で、実に58.1%に達したことが報告されています。これは、詳細な成分情報(38.0%)や商品のテクスチャー・使用感がわかる動画や高画質の写真(36.4%)を大きく上回っています。

このことから、テスターという物理的な体験ができないECにおいて、他のユーザーの「生の声」、すなわちUGC(User Generated Content)が、商品の信頼性や実際の使用感を伝え、不安を払拭するための最も強力かつ有効な代替手段となっていることが強く示唆されています。
ユーザーは、メーカーやブランドからの公式情報だけでなく、自分と同じような肌質や悩みを抱える他の消費者の体験談を通じて、商品の効果や使用感を具体的にイメージしようとしているようです。
EC運営側としては、単に口コミを表示するだけでなく、様々な属性のユーザーからの多様な口コミが集まりやすく、かつユーザーが信頼できる口コミを容易に見つけられるような仕組みづくり(例:肌質や年齢で絞り込める、写真付きレビューを強調するなど)に注力することが、顧客の不安解消と購買促進、さらにはリピート購買へと繋がる信頼関係構築に不可欠であると考えられます。
情報過多による「選択疲れ」:豊富な品揃えがもたらす新たな課題とUI/UXの重要性
ECサイトの利点の一つである豊富な品揃えが、ユーザーにとって新たな課題をもたらしている実態も明らかになりました。ECにて高頻度で化粧品を購入する女性ユーザーの63.0%が、ECサイトの情報過多により「選択疲れ」を経験していることが判明しています。「よくある」(12.2%)と「時々ある」(50.8%)を合わせると、6割以上のユーザーが、多くの選択肢の中から自分に合う商品を効率的に見つけ出すプロセスにストレスや負担を感じていることが分かります。

この「選択疲れ」を軽減し、自分に合う化粧品を効率的に見つけるために役立つと感じる機能や情報について尋ねたところ、ユーザーが重要視しているのは、「成分や肌悩みなどによる絞り込み検索機能」(38.2%)、「信頼できる情報源による製品比較やランキング」(37.2%)、「購入者レビューの要約やポジティブ/ネガティブ意見の分類表示」(36.4%)であることが分かりました。これらの結果は、UI(ユーザーインターフェース)およびUX(ユーザーエクスペリエンス)の工夫が極めて重要であることを明確に示唆しています。

ユーザーは、単に商品を一覧表示されるだけでなく、自分の目的や条件に合わせて情報を絞り込み、比較し、判断するためのツールを求めていることが調査から明らかになっています。特に、ユーザーの肌悩みといったパーソナルなニーズに寄り添ったレコメンド機能(自分の肌質や好みに合わせたパーソナライズされたレコメンド機能 24.2%)は、ユーザーの心を掴み、購買体験をパーソナライズすることで、よりスムーズな意思決定を支援し、選択疲れを軽減する上で鍵となると考えられます。
EC運営側は、サイト構造、ナビゲーション、検索機能、商品表示方法などを最適化し、ユーザーが自分にとって「不要な情報」を排除し、「必要な情報」だけを参照して効率的に目的の商品にたどり着けるような設計に注力する必要があるとされています。これは、単なるサイトの使いやすさ向上だけでなく、ユーザーの離脱防止や回遊率向上、最終的な購買率向上に直結する重要な改善ポイントであると指摘されています。
配送体験の最適化:「過剰梱包」問題とその背景にある顧客心理
ECサイトで購入した化粧品の配送体験も、顧客満足度やリピート意向に影響を与える重要な要素です。これまでに経験したトラブルや不満について尋ねたところ、ユーザーから寄せられた様々な意見の中で最も多かったのは、「梱包が過剰で、開封やゴミ処理が大変だった」という点で、29.8%のユーザーがこれを経験していることが明らかになりました。次いで、「配達日時の指定ができなかった」(26.8%)、「商品の到着が予定より大幅に遅れた」(17.6%)などが挙げられています。

この「過剰梱包」への不満は、単に商品を無事に届けるだけでなく、顧客が商品を受け取り、箱を開け、そして後片付けをするまでの一連の「体験」全体が、ECサイトへの評価に繋がることを強く示唆しています。
化粧品は消費財であり、特にリピート購買が多い商材です。商品の破損を防ぐための適切な梱包は当然重要ですが、必要以上に大きな箱を使ったり、緩衝材が多すぎたりする梱包は、顧客に開封やゴミの分別・処理の手間という負担を強いることになります。また、環境意識の高まりを背景に、過剰な包装材の使用に対するネガティブな印象を持つ消費者も少なくないことが指摘されています。
そのため、商品の安全性と、開封のしやすさ、ゴミの量、そして環境への配慮といった顧客側の負担とのバランスが取れた「適正な梱包」が、多くの顧客に好まれる可能性が高いと言えます。配送はECの最終的な顧客接点であり、ここでの体験の質が、その後のリピート購買(LTV)にも影響を与えるため、EC運営側は単に「送る」だけでなく、開封体験まで含めた物流プロセス全体の顧客満足度を考慮した梱包基準や資材選定を行う必要があるようです。
調査概要
調査対象:20-40代の女性 500名
調査条件:日常的にECでの購買が多い、またはECでしか買わない層
調査対象エリア:全国
調査期間:2025年5月5日~5月8日
調査方法:インターネット調査
ECサイトでの化粧品購入が一般的となる中、消費者の購買行動やサイトへの要望は変化し続けています。特に、日常的にECで化粧品を購入するユーザー層が抱える課題は、EC運営者にとって顧客満足度向上、ひいてはLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)向上を検討する上で重要な示唆を与えます。
この調査資料ではECでコスメ・化粧品を購入する女性ユーザー500名に対して、ECでよく購入する化粧品カテゴリーから、ECでの購買時に不安に感じたこと、ECサイトのUI/UXなどについて詳細に分析されています。
出典元:ディーエムソリューションズ株式会社 プレスリリース